日本 プロライフ ムーブメント

「夫婦に映し出される神の愛」結婚の秘跡を考察、教皇一般謁見

教皇フランシスコは、バチカンで2日、水曜恒例の一般謁見を行われた。会場の聖ペトロ広場には、暖かい春の日差しの下、およそ8万人の巡礼者が集った。謁見中のカテケーシス(教会の教えの解説)で、教皇はカトリック教会の7つの秘跡をめぐる考察の最後として、「 結婚の秘跡」を取り上げられた。教皇のカテケーシスは以下のとおり。 

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親の心と子どもの心 

こんにちは津崎と申します。私は大阪市の出身です。大阪市は少年犯罪が多く、私はここで35年間児童相談所に勤務していました。児童相談所というのは、所轄のエリアがあります。大阪市の場合は市域全体がそうです。人口は約260万人です。児童相談所は一箇所しかありません。大阪はいろんな問題が起こります。最近の児童相談所は虐待相談所と言われるくらい、虐待問題が大きなテーマとなっています。 

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人類への預言的奉仕:預言的メッセージ

ある人たちは統計などを見て、避妊と「産児制限」に関する回勅『フマネ・ヴィテ』のメッセージは列挙される事実によって打ちのめされ、現行の文化によってうやむやにされてしまうと感じるかもしれません。しかし、もしわたしたちが注意深く反省して、ある裕福な国々で避妊メンタリティー、それを支持する政策、この考え方の結果である劇的出産減少のために生じた人間疎外のパノラマを直視するとき、その真実さは高まり、強調されます。 

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家族の価値と安全なセックス

私がBBCのインタビューに応じヨハネ・パウロ二世のローマ教皇在任25年周年の前日にあたる2003年10月12日に放映された、とマスメディアは伝えている。あの時、私は30分以上にわたりさまざまな質問に回答したが、家族に関するものが主だった。しかし、驚くべきことにインタビュー全体からBBCのパノラマ番組『性とバチカン(Sex and Holy City)』で放映されたものはわずか3つの問題、それぞれ30秒にも満たなかった。わたしの答えははるかに詳しいものであったのだが。この番組は明らかに、HIV/AIDSの予防にコンドームの使用を認めないことが人々の死の一因になっているのではないかと、カトリック教会を意図的かつ計画的に批判しようとしたものだと思われる。

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見えるもの、見えないもの

白い上着を着た女性が部屋に入ってきて、室内灯のスイッチを点け、妻の眠りを妨げた。妻・ベサニーは、この一日で一番長く続いた30分ほどの居眠り中だった。医師から充分な眠りをとるよう命ぜられていたにもかかわらず、看護師がひっきりなしにやって来ては体温や血圧を測っていく。 

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もっとも大きい声の勝ち?

命の尊厳に関して議論したことがありますか。つまり、もっと明確に言いますと、「人工妊娠中絶」に関しての議論です。経験者はよくわかるとおり、中絶賛成派の方々はとても感情的になることが多く、効果的な議論にならないのです。それは何故でしょうか。その答えを理解することは大切なことです。 

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「生活習慣病と食時五観」死の四重奏

死の四重奏 毎日世界中で約四万人が餓死している。日本では逆に食べ過ぎた結果と考えられる死亡が増えている。 いわゆる生活習慣病であり、過食による肥満で増悪する 動脈硬化だ。自覚症状が無い間に徐々に血管が脆くなっていく。 そして日本人の約半数が動脈硬化による脳卒中や心臓病などの病気で死亡している。特に過食が 関係する上半身肥満、高血糖、高脂血症、高血圧の四つの合併は非常に危険であり死の四重奏、デッドリィ・ カルテットと呼ばれている。   私がカルテットという言葉を最初に知ったのは十代頃、モダン・ジャズ・カルテット、 略してMJQという名前からであった。名曲ジャンゴのもの哀しい調べに惹かれた。このMJQの代表作は名ギタリスト、 ジャンゴ・ラインハルトのための葬送ミサ曲、レクイエムとして作曲されたという。 仏教の葬儀でも真言宗等では声明という音楽が唱えられるが、新しく作曲されることは少ないと思う。 レクイエムは通常鎮魂歌と訳されるが、カトリックの葬儀式文で「彼らに安息 (レクイエム)を与えたまえ」と神に祈ることに由来するので、死者の鎮魂とは少し趣が違うようだ。 レクイエムはミサ曲であり、ミサはキリストの救済行為を 最後の晩餐でのイエスの言葉に基づいてパンとブドウ酒を使って再現する儀式だそうだ。 キリストの身体と血と思ってパンを食べワインを飲む。これをわきまえずに飲み食いする者は裁きを受けるという。 仏教においても食事には意味があり、食欲にまかせた過食は戒められている。  食事療法 死の四重奏の根底には内臓脂肪の過剰蓄積がある。内臓脂肪蓄積は過剰な食物摂取や運動不足が大きく関わっており、 減食療法と運動療法が重要だ。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて貯まりやすいが減りやすい。減量に成功しても、 少しでも食べ過ぎると内臓脂肪は蓄積するので、長期にわたる生活習慣の改善と維持が必要だ。アルコールや砂糖・ 果糖の過剰摂取も控える必要がある。また効率よく脂肪を燃焼させるために、 一回三〇分以上の持続的な運動をすることが望ましい。毎日体重を量り、目標体重まで減量したら一生その維持に努める。   現在のところ内臓脂肪を減らす良い薬はない。将来は、薬による食欲のコントロールも可能になると期待される。 というのはコレシストキニン、レプチン、ペプチドYY3ー36などの満腹感を生じさせるホルモン、 グレリンという逆に食欲を高めるホルモン、その他の研究で肥満を来す機序が解明されつつあるからだ。しかし現状では、 合併する糖尿病、高血圧症、高脂血症などが薬を使うべき基準を満たす場合にだけ薬を使って、 極度の肥満の場合を除いて内臓脂肪を減らす目的では薬は使わない方がよい。  なまぐさ 古い経典に「なまぐさ」とは肉食をすることではないと説かれている。 生き物を殺すこと盗むこと嘘をつくこと等がなまぐさであり、肉食をすることではない。 欲望を制することなく美味を貪る等がなまぐさであり、肉食をすることではない。 物惜しみし他人に与えない人々等がなまぐさであり、肉食をすることではない。怒り驕り偽り嫉妬する等がなまぐさであり 、肉食をすることではない。等々。なまぐさとは肉食をすることではないと計七回繰り返して説かれている。

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「キリスト教と仏教」ローマ教皇庁訪問雑感

健全なる精神は病気の身体に宿る お釈迦様の病気と死について前回書いた。お釈迦様は死に至る病の覚悟をされておられたので、 死亡の当日まで変わることなく法を説かれた。生まれたものは 必ず死ぬ。これが釈尊出家の課題でした。そして死ぬことを覚悟された。覚悟は「さとり」で、 これによって最高の徳をそなえた人になられた。 

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「釈尊の死亡診断」お釈迦様の病気

日本の6月は梅雨の季節、インドでは雨期が3ヵ月も続く。雨を意味する梵語が雨安居とも漢訳され、 陰暦4月16日から7月15日頃まで、お釈迦様の集団は遊行を休んで定住修行された。80才の時、 釈尊はヴァイシャーリーの近くの竹林村にて阿難尊者と二人で最後の雨安居に入られた。そこで死ぬほどの激痛が起ったが 、禅定に入って苦痛を癒されたという。その後、有名な「自灯明、法灯明」の話をされた。そして安居が明けたとき、 残り3ヵ月の命であると宣言された。その後も遊行を続け、約200キロ離れたクシナガラで死亡された。 1日平均7km歩かれた計算になる。 

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「四門出遊で見た病人」病気の苦しみ

端午の節句は薬草採り  五月は鯉のぼり、今の日本の風景だ。鯉のぼりは登竜門の故事「鯉の滝のぼり」に由来する。 霊山の竜門という滝を登った鯉が光輝く龍に変身して天に昇ったという。 端午の節句に鯉のぼりを揚げて子供の成長を願うようになったのは江戸時代からだ。元来は万葉集の額田王の歌「 茜草さす紫野行き標野行き」のように、端(最初)の午の日に菖蒲などの薬草を摘んで健康を願ったのだ。 

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「潅仏会と不老不死」死ぬことの苦しみ

甘茶で潅頂 「甘露」はサンスクリットで「アムリタ」と言い「不死」を意味する。お釈迦さまは「不死」を覚られて「老病死」の問題を解決された。それで誕生会には、潅頂の香水に代えて「不死」を意味する「甘露」の甘茶をかけるのだ。これは江戸時代から始まった日本独自の風習だが、そこにお釈迦様の教えを観じることができる。

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「痴呆症とお彼岸介護」老いる苦しみ

老いる苦しみ 前回紹介した物語『河童』の主人公は痴呆症だった。痴呆症、それは高齢化が進んだ現代、年老いての主な苦しみの代表だ。四門出遊伝説によると、お釈迦様 は東の門から出ていって一人の老人に遇った。その老人は老衰のあらゆるさまをあらわし、脈絡はふくれ、歯はかけ、 皺だらけで、杖をついてよろめき、手足がふるえていた。当時は、まだ痴呆症は主要な老苦でなかったようだ。 

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「遺伝子診断と差別」生まれる苦しみ

河童 芥川竜之介作『河童』は昭和2年に書かれた。物語は痴呆症の主人公によって語られる。「けれどもお産をするとなると、 父親は電話でもかけるように母親の生殖器に口をつけ、お前はこの世界へ生まれて来るかどうか、 よく考えた上で返事をしろ、と大きな声で尋ねる・・・すると細君の腹の中の子は多少気兼ねでもしていると見え、 こう小声に返事をした。僕は生まれたくはありません。第一僕のお父さんの遺伝は・・・」。 

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医師として僧侶として

私は寺で医療を行っている。それで全日本仏教会から推薦を受け、ローマ教皇庁医療国際会議に計4回招待された。 そこで仏教の立場を発表するとともに、他宗教の状況を知る機会を得た。この会議では、 毎回異なる重要な医療関連のテーマについて、 広い分野から30名くらいの専門家が講演を行う。実質的には医療に従事するカトリック宗教者の勉強会といえる。 ローマ教皇庁関連の医療機関は世界中に10万8千もある。会議は3日間で、 約80ヵ国から800人くらいが参加している。 

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「ハンセン病回復者の闘いと祈り」   すべてのわざには時がある

はじめに 好善社 理事長 棟居 勇 1996年『らい予防法』が廃止されました。1998年「『らい予防法』違憲国家賠償請求訴訟」が熊本で提訴され、 2001年原告勝訴の判決。国の控訴断念によって長くハンセン病の故に苦しんできた元患者の方たちに「人間回復の春」 が訪れました。その春をほんとうの春にするために「ハンセン病問題に関する検証会議」が組織され、 2年5ヶ月を費やして2005年3月「報告書」が纏められました。ハンセン病問題の解決はむしろこれからであることを 「報告書」は明らかにしています。 

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望まない妊娠を受け入れた女性たち

日本では、人工中絶が母体保護法第14条によって次の三つの条件下で認められます。その妊娠が継続されることにより母体の生命が脅かされる場合。例えば母体が心疾患をもっており、妊娠により重篤な心不全に進展する危険性がある場合。二番目は妊娠を継続できないほどの貧困。そして三番目が性暴力の結果の妊娠。この法律のもとに、161,741件(平成30年度)の人工中絶が登録報告されています。ただ、暴行による妊娠中絶の報告数は少ないとされています。古い報告ですが、アメリカ合衆国では、生殖年齢(12ー45才)の性暴力犠牲者のうち妊娠は5%で、34例の妊娠後の結果は、50%が中絶、32%が子供を引き取り、6%が養子に出しています。 

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