日本 プロライフ ムーブメント

木瓜と認知症

庭先に木瓜(ボケ)が、みごとに赤く咲いている。木瓜の花の、無邪気で爛漫な様子は、以前はどうしても「痴呆症」 を想起させた。痴呆症を「ボケ」と呼んだとき、人はやはりこの花を想い描いたのではないかと、疑いなく思えたものだ。 つまり多少のトゲはあるものの、それは人を明るくする無邪気さに溢れていた。 

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働くことが自然な日本人 ー「自分を見くびってはいけない」 玄侑宗久が語る仕事-4 (完)

「食べる」「寝る」と同じ。「仕事」は基本的な欲求  世界でもまれな気質ですが、日本人にとって働くことは決して苦役ではありません。欧米や他の国々の「ワーク」は、ノルマや義務を意味することが多いですが、日本人には、生きている限り働くことは当たり前で、寝食と何も違わない。外国の人々から「ワーカホリック」と非難を込めて呼ばれても、実はピンとこないというのが本音ではないでしょうか。 

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事が起きれば自力が出るー「自分を見くびってはいけない」 玄侑宗久が語る仕事-3

システムが壊れたら人間力しかない  このたびの東日本大震災では、多くの人が家や仕事環境を失いました。 私の住む福島県三春町にも避難してきた方々が多いのですが、 家だけではなく土地も失っていますから農業を再開しようにもかなわず、漁業はもちろん難しい。 それぞれの町の被害も甚大ですから、勤め先を失った若い人も数え切れないでしょう。 将来の計画が崩れ去ったと嘆くかもしれませんが、だとすれば別の道を見つけるしかありません。 進むべき道は自分の頭で思い描いていたことだけではないし、少ない経験の中で考えていた将来がベストとは限りません。 

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「本来の自分」信仰を捨てよう ー「自分を見くびってはいけない」 玄侑宗久が語る仕事-2

多くの職業現場を体験した20代 小説家とかお坊さんにとっては、どんな体験も肥やしになると考えて、私はさまざまな仕事に就きました。たぶん全体を知った上で仕事を選択した、というス タンスをとりたかったのでしょうね。ナイトクラブで水商売もしてみたし、土木作業もやりました。この機会にやらなければ一生しないだろうと思ったのがセー ルスマン。当時ワンセット二十数万円した英語教材を売るのですが、営業成績は悪くないのに売れるたびになぜかすまないような思いにとらわれる(笑)。 

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迷う時間の大切さー「自分を見くびってはいけない」 玄侑宗久が語る仕事-1

宗教か、文学か私は長く悩み続けた  10代の頃には、ものを書きたい気持ちが生まれていたのですが、 その一方で家を継いで坊さんにならなくてはいけないのかという重い気分も抱えていました。 答えを出しようもなく模索していた高校時代に、哲学者の星清先生に出会います。 

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タケノコ狩りと自立について

ふつうタケノコは、「採る」ものであって「狩る」ものではない。しかし竹藪が広く、食べきれない分を宅配便で知人に 送ってもなお出てくる余分については、もう「狩る」しかない。うちでは、「やっつける」とも言っている。柄の長い鎌や 、長靴を履いた足そのものが武器になる。エイヤっと、切ったり蹴ったりして廻るのである。 

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人間のいのちの重さ

十八歳のとき、ボーイフレンドと同棲を始めるために引っ越した直後、妊娠していることに気づきました。私は子どもがいる生活を想像できず、脅え不安になりました。友人や家族に相談した結果、中絶することが現実的なように思えました。なんといっても、私は美しさも知性もある若い女性なのだし、輝かしい未来が待ち受けていると考えたからです。 

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最終局面:生殖技術の進歩と自然生殖の消滅

今我々が棲むこの時代、将来の見通しは急速に変化し、人の生殖技術の進化に脅かされている。この論文ではまず実例をいくつか挙げ、次に最も恐ろしい技術的オプションの一部を概説し、最後に生殖技術及びその力と社会との関係を分析する。

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人間のクローニングと権力の乱用

『ザ・マトリックス』(1999年)というカルト映画の中で、大部分の人間の胎児が生まれるべき運命にある少数の選ばれた胎児の食料として育てられるという未来世界に私たちは引き付けられました。非常にたくさんの人間の胚や胎児が木のような構造物からぶら下っていて、それは『搾られ』て液体にされるのを待っていました。その結果として生じる『ドリンク』は、その後少数の選ばれた者の静脈の中に注入されるのです。

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結婚・生命と愛の共同体 ー ビクターガレオネ司教の司牧書簡

主において兄弟姉妹の皆さん、 1。 現在、いくつか州議会では、結婚というものを性別にかかわらない2人の成人の結合として、再定義しようとする法案が審議されています。そのような法律が制定されれば、伝統的な結婚と同性カップルの結合が等しいものになります。そのうえ、離婚件数は増加し続けて、オンラインで$50から$300の手数料を支払えば、今では正式な離婚さえ成立する状況にまでなっています。 こういった最近進行している事柄は、より深刻な無秩序の単なる症状に過ぎません。この無秩序の根本的原因が解決されるまで、失敗に終わる結婚は急増し続け、また社会のあらゆる面において性行動がさらに乱れ続けるだろうと憂慮しています。 この無秩序とは、避妊のことです。避妊はたいへん広く行われており、既婚カップルの90% が結婚生活のどこかで避妊を実践しています。どのキリスト教派の信者でも同じです。司教の最も重要な役割は教えることですので、私はこの分野におけるカトリック教会の見解と、より重要なこととして、その理由を皆様に再検討していただきたいと思います。 

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《生きることの意味》を問い直す

ある二人部屋の病室を訪問したときの話です。一人は、80歳代の女性で、もう一人は60歳代後半の婦人でした。 両者を仕切っているカーテンは開かれており、後者の女性はベットの上に正座して考え事をしているようでした。 私がお見舞いに伺ったと言って病室に入ると、彼女の方から話しかけてきました。 

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私の病気体験から

今から15年前、釜ケ崎で病気に倒れ、大阪の公立病院で入院したときの出来事です。 病気のいろいろな症状で苦しんでいました。ある夜、9時頃だったと思います。 寝る前の検温のため若い看護師が私のところに来ました。そのとき、 私がある意味で耐えられないような表情をしていたのだと思います。その看護師は、そんな私を見て、「 私はクリスチャンではありませんが、聖書は読むのです。聖書の言葉に励まされますよね。‘ あなたがたを耐えられない試練に遭わせられることはない(1コリント10-13)’という言葉、あれ、私、 あの言葉が大好きです。」と言うのです。何か、そのとき、「神父であれば、 そのような言葉に支えられるはずではないのですか」と遠回しに説教を受けているように感じました。しかし、 その言葉を投げかけられても心に入ってこないのです。言葉が返せないのです。かえって心が重くなるのです。 

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今も無視されている中絶と乳癌の関連 ー 医学論文の4件のうち3件は重大な因果関係を指摘している

1957年以降発表された35の論文のうちの27の論文で、中絶が乳癌に関与することが指摘されているにもかかわらず、『家族計画連盟』などの中絶賛成団体はそのような関連性が存在することを否定し続け、中絶手術を受けようと考えている人にその論文のことを知らせることを拒否しています。  カレン・マレックをリーダーとする、「ABC(Abortion-Breast Cancer:中絶:乳癌)連合」は、中絶提供者が概してその関連性について人々に知らせないので、そのことを人々に知らせる取り組みをしています。「科学者は、この関連性を44年間研究し続けています。にもかかわらず女性たちがこれらの研究の存在を今まで知らされてこなかったことに私たちは大変驚いています。なぜ女性たちは自分たちの健康管理に関する議論から除外されているのでしょうか?私たちはこの重大な不公正を正すつもりです。」と彼女は話しました。  シカゴの「ABC連合」のボランティアは先月、中絶と乳癌の関連性についての研究のことを読者に知らせる冊子を配布しました。マレックは、中絶と乳癌の関連性を証明するほぼ半世紀にわたる研究にもかかわらず、「女性たちが依然として自分たちの健康管理に関する議論に加えられないでいること」に彼女のグループは驚いていると言っています。「このような情報が今まで女性たちに隠されてきたということには、弁解の余地はありません。」と彼女は話しました。  「7件のうち5件の研究で携帯電話と脳腫瘍の関連性が指摘されたとき、そのことが人々に知らされたにもかかわらず、なぜ女性たちは、20数件もの研究がこのいのちに関わる病気の危険要因としての中絶の関連性を指摘しているという情報を知る権利を与えられていないのでしょうか?悲惨なことに、この危険要因に対する、危険だと判断される基準が上げられたので、100人に1人は中絶による乳癌で死亡することになるでしょう。」とマレックは主張しました。  乳癌は生殖ホルモン、特にエストロゲンと関連があります。何が乳癌を引き起こすかはまだ科学によって特定されてはいませんが、女性が第一子を産むのが早いほど、乳癌発症の危険性は低くなるということは異議を唱えようのないことです。『乳癌予防協会』の会長であり、いわゆる『ABCリンク(中絶と乳癌の関連性)』の研究の第一人者であるジョエル・ブリンド博土によると、女性のエストロゲンの値は妊娠するとすぐ通常の何百倍に増加し、妊娠した女性の身体の最初の変化のひとつが乳房に起こります。ホルモンの急増は、母体が生まれてくる赤ん坊のために母乳を作り出す準備をするために、乳房に「未分化」細胞を増加させることになります。未分化細胞は傷つきやすいのです。  妊娠の最終週には、それらの細胞はまだほとんど解明されていない過程を経て「最終的に分化」し、母乳を出す準備が整うのです。分化細胞は発癌物質の影響を受けません。しかしながら、もし万一妊娠が細胞の分化よりも早く終わってしまえば、女性の身体は未分化の細胞の数が異常に多い状態のままとなり乳癌の発症の危険性が増加することになるのです。  危険性増大の割合は、女性が思春期に達する年令と、最初の妊娠の年令と、中絶前の妊娠期間の長さに左右されます。ほとんどの研究で30%から100%まで、あるいはそれ以上危険性が増大することが明らかになっています。  ブリンド博土によると、自然発生的な中絶つまり流産は、一般的にはまずエストロゲンの不足によって起こるので、危険性の増加とは普通関係がありません。  ほとんどの避妊用ピルは、妊娠したときに起こるホルモン作用と同じホルモン作用を発生させることによって効果を発するので、ABCリンクの研究においてそれもまた乳癌の原因だとして疑われています。  『英国王立産科婦人科大学』は中絶提供者に向けて、ABCリンク研究を「無視することはできない」と警告するガイドラインを昨年の2000年3月13日に発表しました。その大学はブリンド博士によって1996年に行なわれた、世界中の研究の再調査を検証し、博士の研究は、「注意深く行われ」、「研究方法に重大な欠点はない」と発表しました。  そして今年の初めに、閉経後の女性に行なわれるエストロゲン補充療法薬(ERT)が発癌物質の全国リストに加えられました。ERTは、妊娠の際に女性の卵巣で自然に作られるエストロゲンとほぼ同じ化学物質です。乳癌の危険因子として知られているものの大多数は、エストロゲンの影響を過度に受けることと関連があります。  世界の最も有力な医学雑誌、『ニューイングランド医学ジャーナル』でさえ、密かにABCリンクについての姿勢を変え始めています。3年前、『ニューイングランド医学ジャーナル』は、中絶と乳癌の関連性を否定するデンマークの論文を発表しました。それはメルビー論文として知られていますが、その研究者たちは、「人工中絶が乳癌の危険性全体に与える影響は全くない」と結論づけました。また、女性が中絶を考えるとき、「乳癌の危険性を心配する必要はない。」と断言する国立癌協会の疫学者による論説も、『ニューイングランド医学ジャーナル』に掲載されました。  しかし、ペンシルバニア医科大学のカトリーナ・アームストロングを中心とする研究者たちによる『乳癌の危険性の査定』と題した咋年の記事の中で、次のような見解が述べられました。それは、「ダイエットや経口避妊薬の使用、授乳、中絶といった他の危険因子は、乳癌との関連性における一貫性が少ない」というものでした。大々的な宣言では決してありませんが、その発表は、その雑誌が以前とっていた姿勢からの大きな転換を表しています。  しかし、中絶や避妊薬の使用が乳癌を引き起こす危険性があるという明白な証拠があるにもかかわらず、収益性の高い中絶産業はいかなる関連性も存在しないと否定し続けています。ブリンド博士や他の研究者が行なった研究の信頼性を攻撃して、中絶擁護団体はその問題に関して科学者の見解は一致していないと主張し、患者たちは乳癌の危険はないと教えられているのです。  『家族計画連盟ロサンゼルス支部』の代表、ナンシー・L・ササキは次のように述べています。「『家族計画連盟』の見解は、中絶によって健康にもたらされる実証された危険はないというものです。人工中絶と乳癌の関連性は、その安全性にもかかわらず中絶に反対している人々が唱えている理論なのです。その理論は研究によって生み出されたものではありません。『家族計画連盟』は、女性は病気の危険性に影響するすべての要因についての情報を手に入れることができるべきだと信じていますが、『家族計画連盟ロサンゼルス支部』はまた、女性には医学的に実証され、政治的な問題に染まっていない情報を受ける価値があると信じているのです。研究者たちが、乳癌と中絶に関して一致した見解を持つには至っていないので、『家族計画連盟』は、その要因(中絶)だけが原因だと断定できるだけの現在実証済みの健康への危険性はないと、妊娠を終わらせようと考えている女性たちにアドバイスしているのです。」  中絶と乳癌の関連性を女性たちに教えることに関わっているマレックや他の人々は、中絶支持者には女性たちに知らせないでおく政治的な動機があると言います。もしABCリンクについての情報が広く認識されれば、『安全な』中絶という神話が修復できないほどダメージを被るかもしれないのです。  「我々の組織は、女性のために中絶反対の立場をとっています。残念ながら、この政治的に間違った情報のこととなると、誰もが女性の健康を第一には考えているわけではないのです。」とマレックは断言しました。  Foster, Julie (フォスター・ジュリー)Copyright © 2004 .7.2.許可を得て複製  

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妊娠中絶とクローニング:新しいはぐらかし

私はこれから、今までいろいろな主要な場で話されてきた公演を振り返ってみようと思います。つまり、母親の希望でおなかの中の子どもが殺されることをよしとする確立された政策のもっともらしい説明や、未確立ではあるけれども新しく出てきた政策で、体の一部を他人に提供するためだけに生まれてこさせられた子どもたちの現状についてです。これから私が振り返る公演や議論のほとんどは、選択や行動を覆い隠そうとするはぐらかしに他ならないのです。これが私の話の題目です。

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