日本 プロライフ ムーブメント

堕胎の問題を「倫理様式」モデルで考える

■堕胎と「いのち」の問題の解決のために 堕胎(あるいは堕胎を目的とした人工妊娠中絶)についてひとはどういう受け止め方をしているか。いわゆるプロチョイスとプロライフの対立として語られる既成の認識パターンを超えて、堕胎をめぐる倫理的な問題を構造として捉えてみたいと思います。

Continue reading

お腹の赤ちゃんと妊婦さんを守ろう!

経口中絶薬反対活動詳細 はじめに 昨年末 英国の製薬会社ラインファーマが、厚生労働省に経口中絶薬(ミフェプリストン)の製造販売の申請をしたと発表があり、早ければ一年以内に承認されると報じられました。 日本では1日約400人の胎児のいのちが失われております。いのちはお腹の中から始まっています。経口中絶薬が日本で承認されると、さらに、いのちへの畏敬の念が薄くなります。十代中絶等に拍車がかかり、子ども達に急速に広がることも懸念されます。 経口中絶薬は危険な薬です。胎児のいのちを奪い、女性の身心をむしばむ薬です。私たちは、下記の4つの観点から経口中絶薬の承認に反対します。

Continue reading

【vol.478 近すぎる親・遠すぎる親】親の距離感がつくる生きづらさ

親の距離感と子供の生きづらさ 子供の頃、普通の家庭で育ち、虐待などの大きな問題があったというわけではないけれど、大人になって人間関係がうまくいかないとか、自分に自信がもてないという悩みを抱えている方は少なくありません。 今日は親の心理的距離が、子供に与える影響を考えてみたいと思います。

Continue reading

「 四つ葉のクローバー 」

 皆さんこんにちは。昨日は午後に周の検診があり、小児科らしい暖かい男の先生が「(ダウン症の)病気とは言えないくらい、元気だねぇ・・・」という言葉に、僕と嫁さんは歓びを感じ、周が生まれた直後に入っていた病棟の看護婦さんも来てくれて「大きくなったわね」と笑顔でだっこしてくれて、周のまわりに集まる人との間は、いつも暖かい雰囲気になる恵みを感じます。受診後は嫁さんに車で駅まで送ってもらい、僕がリスペクトする友達のアーティスト・菜穂さんがヴォーカルのTajaというユニットのライブで、暖かい音楽の夜を過ごしました。

Continue reading

はじめに・私の人生を導いてくれた天使のような息子

はじめに・息子が生まれてからの物語 はじめまして。田中伸一です。 私には23歳になる息子がいます。とってもかわいくて、人間的にも尊敬していて、私の人生を導いてくれる天使のような存在です。 息子はダウン症で、生後2カ月で声を失いました。呼吸器機能障害で気道が塞がり、笑い声や泣き声も出ません気道の下の方に穴を開ける気管切開の手術をしそこから呼吸をしています。(写真の首の下の白いガーゼ部分***原文には写真があります。) はじめは息子の将来が不安でした。

Continue reading

私の「現代環境論」(5)化学物質による環境汚染

20世紀文明は化学物質文明であったということができます。 20世紀、それもその後半、化学物質は大量に生産・消費・廃棄されてきました。それらはくらしに「便利さ」「快適さ」をもたらした反面、人間の健康障害、環境汚染を引き起こしてきました。私たちは、その「負の遺産」を背負っているといわねばなりません。

Continue reading

老いぼれ神父が若年層の皆さんに期待すること  

本稿では、やがて次の世代を担われる、現在は若年層の皆さんに期待を述べさせていただきたいと思います。 ① 私(現在80才)より5年位以前に生まれた世代の方、つまり昭和10年代前半生まれの方はお国のために命を捧げることが余儀なくされ、戦争に巻き込まれました。その戦争に敗れ、戦前・戦中の情況を生世代世代は少数になり、以後77年の間に世界各地で戦争があったのに、日本が曲がりなりにも戦争に巻き込まれることなく過ごせたことがどうして可能であったかを検証し、今後これをどのように維持するのかはまさに戦争を知らない世代が大多数を占める有権者に委ねられています。戦争体験者の身体的・心的・物理的に過酷な体験を無駄にしないようによろしくお願いします。

Continue reading

「僕等の道」

皆さんこんにちは。今日はどんな1日でしたか?僕は、昨日はテンション低めの1日でしたが、今日はほど良い調子の1日でした。やはり天気と同じで晴れの日も雨の日も、ありますねぇ・・・。  今日はデイサービスのお年寄りを家に送る帰りの車内で、皆を家に送ってほっ・・・とするひと時に、車を運転する同僚と語らいました。その人は女手一つでもう長い間、2人の子供を育てているので、僕は「人は話してみると、普段の表情では分からない苦労があるものですねぇ・・・1人で悩みを背負っていると思うと辛いけど(自分だけじゃない)と思うと少し気持が違いますよね」と言うと、同僚は運転しながら「そうそう」と頷いてくれました。「人それぞれに、長い時間をかけて答を探す人生のテーマ(課題)が与えられているような気がしますね」と言うと、深く頷いてくれました。1日の仕事を終えた後の語らいに、同僚との友情を感じるひと時でした。 

Continue reading

周ちゃんのお宮参りへ

皆さんこんにちは。今日は職場でとても充実した1日を過ごし、前回に更新して載せた詩「絵の世界へ」とコラムに書いた思いが実現して来ているのを感じています。このポエトリーシアターというブログの場で語らう事を通じて、僕自身の自己実現を目指す事で、読者の皆さんにも自分らしく導く風が吹くように・・・願っています。 

Continue reading

ネロの木靴「フランダースの犬」のネロを悼む希望の物語

今年、最初に読んだ本。名作「フランダースの犬」のその後の物語。年末に地湧社の増田圭一郎社長と会って、私が土井響くんと出会ういきさつを伝えると、黙って聞いていた増田さんが何を思ったか「フランダースの犬を知っていますか?」と言う。増田さんは、口下手なので、自分の中に思いついたことをいきなり話しだすことがあり、(え、なんで急に?)と思ったけれど、きっと彼のなかでは繋がっているんだろうと、話をこの有名なベルギーの物語に切り替えた。

Continue reading

経口中絶薬の真実

  いのちの危機が迫る幼子の隣人になりましょう。 2020年1月に日本で初めて患者が確認されてから、新型コロナウイルス感染症は全国民の最大関心事となっています。死者数は毎日数十人と報道されています。多くの重症者の方々もおられます。若年者から高齢者まで、いつ感染して同様の状態になってしまうのかという恐怖感の中で生活している状態ではないでしょうか。新しい変異ウイルス感染報道で恐怖に震えたり、ワクチン接種業務の遅滞や医療ベッドの不足を声高に非難するのもその流れからでしょう。

Continue reading

司教の手紙 ㉕「普遍教会の保護者 聖ヨセフの年」に寄せて

教区の皆さま、お元気でしょうか?昨年12月8日に発表された使徒的書簡で、教皇フランシスコは、2021年を「聖ヨセフの年」と宣言なさいました。これは、聖ヨセフを「普遍教会の保護者」と宣言した、教皇ピオ9世の使徒的書簡発布の150周年を記念して催されるものです。

Continue reading

COP26への「神」(大家)の視点

   国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が来月1日から12日の日程でイギリスのグラスコーで開幕される。COP26では、「パリ協定」と「気候変動に関する国際連合枠組条約」の目標達成に向け、締結国が具体的な行動を推進させるために協議する。

Continue reading

ゲノム編集の今 ― 何が問題か

はじめに 「ゲノム編集」という言葉は最近まであまり聞かなかったが、昨年11月に中国の研究者による「ゲノム編集で双子の女児誕生」の報道で一気に知名度が上がった。しかしこの技術は数年前から世界中で深く静かに研究が進行し、AIに続く次世代の産業革命になると期待されるまでに成長していた。因みにゲノム編集の道具の一つである「KRISPR/Cas9」についての世界の論文数は、昨年1年間だけで4000編を超えたと言われる。この技術が農畜産物や医療分野における産業の今後の発展につながる、と期待されているのである。日本でも基礎研究レベルでは様々な議論があったが、学術会議や日本医師会などでも「生命を操る」技術について「生命倫理」の立場から慎重な意見が多かった。しかし2018年6月15日「統合イノベーション戦略」が閣議決定され、一気に開発ムードが高まった。その前日の「総合科学技術・イノベーション会議」の席上で議長の安倍首相が「(この技術を)成長戦略のど真ん中に位置付け、関係大臣はこれまでの発想にとらわれない大胆な政策を、一丸となって迅速かつ確実に実行に移して下さい」と述べた、とされている(週刊エコノミスト2019年1月22日号)。その結果省庁の動きが活発化し、環境省と厚労省は「外来遺伝子を導入したものについては、従来の遺伝子組換え同様安全審査の対象とするが、目的の遺伝子を削除したノックアウト作物(後述)については規制対象外」とした。

Continue reading

「喫煙の罪は管理者」死の五重奏

前に死の四重奏について書いたが、ここに喫煙が加わるとさらに危険で「死の五重 奏」と呼ばれている。一九六四年にアメリカ公衆衛生総監諮問委員会は「喫煙には肺 がんとの因果関係があり、喫煙の影響は他の因子よりもはるかに大きい」と報告し た。俳優ウィリアム・タルマンはアメリカ政府が喫煙の危険を知らせたテレビCMの 最初の出演者だった。人気のテレビ番組弁護士ペリーメイスンで好敵手パーカー検事 役を演じていた彼の言葉に多くの喫煙者が耳を傾けた。広大な敷地を抜けて大邸宅に 帰った彼を家族が迎える場面で彼は言う、「私は名声や財産その他いわゆるアメリカ ンドリームを達成した。家族にも恵まれ私の人生たった一つのことを除いて成功だっ た。喫煙のために肺癌になって私の命はあとわずかです。皆さんタバコは止めましょ う」と。そして一九六八年八月三十日に死亡した。一九七〇年にアメリカではタバコ の箱に「警告:米国公衆衛生総監は喫煙があなたの健康に害を及ぼすと判断した」と いう情報の記載が義務づけられた。世界保健機関(WHO)によると、タバコは九秒 間に一人、一年に世界中で三百五十万人の人命を奪っている。

Continue reading

日本の十八番「いのちをいつくしむ文化」がSDGsを完成させる。

持続可能な開発目標SDGsは、国連がそのマニフェストの中で「誰一人取り残さない」と宣言したように、人類が一つの家族になることを目指す壮大な取組みです。17個の色とりどりのシンボルマークは、それぞれの分野で「誰一人取り残さない」を実現するための具体的な目標を示します。一人残らず家族みんなが、家族みんなに関わる大切なことがらが、ぜんぶそこに描かれているんですね。なるほどSDGsってすごいんだね!って感心しながらうちの家族みんなで17のピクトが並んだ図を眺めていたら、すみっこの空いているスペースに、もうひとつ「18番目」を置いてみたくなりました。だって、一人足りないんじゃないの? お腹の赤ちゃんも家族だよね? 上の息子の指摘にこたえ、下の娘が妊娠12週のときのエコー画像をモデルに、勝手に18番目のシンボルを作ってみました。SDGsを推進するみなさん、どうでしょう。こうしたらもっとおさまりがよくなる気がしませんか。だって、この子たちも誰一人取り残したくないよね?

Continue reading

聖ヨゼフ:父であることと信心深さの模範

神は、その英知において、「父として」ご自分を私たちに啓示することを選んだ。神の啓示のうちにそう示されたのである。神学者たちは神の本質と属性についてこの神秘が明らかにすることを探求しながら、神の父性について広い範囲で考え巡らせてきた。

Continue reading

難民支援の実際

参加していた聖書研究会の祈りの時間に、あるコンゴ人ファミリーのための祈りが祈られるようになって、その祈りの内容は月を追うごとに深刻になっていた。8歳と11歳(当時)の小学生のいる家族から、母親だけが突然品川の入国管理局に収監されて、子どもたちは家に取り残された。父親は食べるためのわずかな仕事のためにほとんど家にいない。

Continue reading

おなかの赤ちゃんのいのち

 「力ある方が、わたしに偉大なことなさいました」とマリアさまは、イエスさまを宿された喜びに満ちて主を賛美されました。赤ちゃんを宿したすべてのお母さんが、マリアさまと同じように喜びに満ちて主を賛美できるような社会になればと願います。

Continue reading

世界代表司教会議(シノドス)第3回臨時総会 準備文書への日本司教団回答

臨時シノドス事務局への回答 日本カトリック司教協議会としては、時間が限られていたので、臨時シノドス事務局からの準備文書を司教たちと男女修道会・宣教会の上長に送付して回答を求めた。その回答結果をさらに数名の有識者(司祭、信徒)に送りコメントを求めた。司教、修道者たちは現代の家庭の問題にかかわってきており、精通しているといえるので、彼らの回答は今の日本の家庭の状況を十分に反映していると思われる。

Continue reading

ラジオから流れるロザリオの祈り

読書グループの女性たちは今、ヨハネ・パウロ2世の使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』を読んでいるが、そろそろ後半に差し掛かってロザリオの祈りのすばらしさがいよいよ身に沁みて理解される段階に入ったようである。「ロザリオはすばらしい祈りです。その単純さと深さのゆえに」(使徒的書簡2)と教皇は言われる。単純さとは、天使祝詞(マリアへの祈り)を繰り返しながら主キリストの生涯の出来事を思い出すだけの、誰にでも祈れるからであり、深さとは、主イエスとその母マリアの生涯から20の出来事(神秘)を思い出しながら、神のうちに秘められた人類救済の偉大な神秘を、聖母とともに観想し、その恵みにあずかるからである。

Continue reading

尊厳死の奥に深い人生と愛 (「海を飛ぶ夢」映画評)

 観(み)おわってしばらく、奇妙な高揚感に包まれた。  ある人々に対してこの映画は、尊厳死に関する映画だと紹介することも可能だろう。主人公のラモンは25歳のときに引き潮の海に飛び込み、海底に頭を強打して首から下が不随になってしまう。実家のベッドの上だけを住処(すみか)に、ラモンは詩を綴(つづ)り、家族の世話になって二十数年を過ごす。そんな彼がギリギリに選択したのが、自らの尊厳と自由のために死ぬことだった。

Continue reading

名古屋教区正義と平和委員会学習会報告

「生命倫理を考える」第4回 “生命倫理の関わるゲノム編集”  私たちは意識しないと単に、安さや便利さにだけに目が行きがちである。しかし、安全性の確認されていない遺伝子組換え作物やゲノム編集作物を摂取していると、自己の健康を害し生命を損ねるだけでなく、将来世代や環境に負の遺産をもたらす加害者になってしまう。

Continue reading