日本 プロライフ ムーブメント

おなかの赤ちゃんのいのち

 「力ある方が、わたしに偉大なことなさいました」とマリアさまは、イエスさまを宿された喜びに満ちて主を賛美されました。赤ちゃんを宿したすべてのお母さんが、マリアさまと同じように喜びに満ちて主を賛美できるような社会になればと願います。

 コロナ禍において、人の命の尊さを意識する機会がたくさんありました。医療従事者の方々は、人命救助のため本当によく励んでくださっております。また東京オリンピック・パラリンピック開催の是非が問われた時も、経済的なことも含め人の命を優先するためには、どうしたらよいのかが議論の中心だったと思います。大震災や豪雨による洪水など人の命に関わる災害も、ニュースで大きく報道されます。八月六日は広島で、八月九日は長崎で、多くの犠牲者のためにお祈りし、かけがえのない命の尊さと平和を訴えます。このように人の命に関わることは、マス・メディアで大きく報じられます。しかし胎児の命についてはほとんど報道されることがありません。

 フランシスコ教皇様が来日した時のテーマは「すべてのいのちを守るため」でした。胎児も大切な尊いかけがえのない命であり、守られ大切にされる存在であることをマリアさまも強く願っておられると思います。

 現在日本では、一年間に失われる胎児の生命は届け出数だけでも一六万二千人。その内十代の中絶件数は約一万四千件。届け出をしていない数もあるなら、実際はもっと多いのかもしれません。一日に平均するとおよそ四五〇人(内十代の平均はおよそ四〇人)になります。ちなみに新型コロナウイルスで亡くなった人の数は、日本において一万五千人です(二〇二〇年三月〜二〇二一年七月)。戦後七十年に葬り去られた生命は総計三千九百万の約二倍、七千八百万以上に上るといわれます。コロナや災害や戦争よりもはるかに多い数の胎児が葬られているのが日本の現実です。この数を知るだけでも、何か深く考えさせられることがあるのではないでしょうか?

 聖コルベは家族の父親の身代わりとなって殉教されました。胎児もまた家族でしょう。マリアさまも聖コルベも胎児の命を守ることを強く望んでおられると感じております。どうか、すべてのいのちを本当に守るために、おなかの中の赤ちゃんにも関心を持って欲しいと思います。そしてお祈りください。

 被昇天の聖母が、戦争の犠牲者、災害の犠牲者、コロナで亡くなった方々、そして流された赤ちゃんと共にいてくださいますようにお祈りいたします。

参考文献 

・N H K特設サイト

・「生命尊重ニュース」

Masatoshi Yamaguchi(ヤマグチ マサトシ)
山口 雅稔
出典 けがれなき聖母の騎士会会報 181号
Copyright©2021年(令和3年)8月1日
2021年8月25日許可を得て複製