日本 プロライフ ムーブメント

子どもは親だけの責任ではない – こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)が提起したもの

Itonaga, Shinnichi (イトナガ ・ シンイチ) 『糸永真一司教のカトリック時評 』 2007年6月10日 掲載 http://mr826.net/psi/catholic/0611-0710/070615/ 許可を得て複製  こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)の運用が始まった。赤ちゃんポストについては反対論や慎重論もかなりあったが、賛成論が次第に大勢を占めるようになったという。今度の企ては、いのちの尊厳や、子育てに困難を背負う孤立した母親たち思い出させ、子どもたちの養育を引き受けたいという善意を呼び覚ましたから、まさに摂理的であったといえる。

Continue reading

家庭の教育的役割とその危機

Itonaga, Shinnichi (イトナガ ・ シンイチ) 『糸永真一司教のかトリック時評』 2006年12月1日 掲載 http://mr826.net/psi 許可を得て複製  いま、教育に関する議論が盛んである。学校崩壊や教育崩壊の言葉が飛び交い、教育のひずみやゆきづまりが心配されているのである。そこで今回は、教育再生の鍵であると思われる家庭の教育的役割とその危機について、日ごろ思うところを述べてみたい。

Continue reading

あらためて問う、胎児は人間か

Itonaga, Shinnichi (イトナガ ・ シンイチ) 2009年4月26日掲載 『糸永真一司教のカトリック時評』 http://mr826.net/psi 許可を得て複製  さる2月、この欄で「オバマ大統領、妊娠中絶を容認」と題した記事を公開したが、これに対していくつかのご意見をいただいた。人工中絶を選択する女性に対する同情と同時に、厳しい倫理を押し付けて自分は何もしないとして教会を非難する言辞が中心であったように思う。人工妊娠中絶についてこれを容認する意見があることはわたしも十分承知しており、あえて反論するつもりはないが、もう少し教会の立場を説明しておきたいと思う。 

Continue reading

小さないのちが尊ばれないわけ

Itagaki, Tsutomu (イタガキ ツトム) 板垣 勤 カトリック会津若松教会司祭 許可を得て複製  私たちは「いのち」や「平和」の尊さについて話し合うことがあります。世の中が何かと物騒でせわしなく、人の心を不安にさせることが多い現代において、「いのち」と「平和」について語られることが増えるばかりです。 

Continue reading

胎児は人間です

Ishii, Yasuto (イシイ・ヤスト)8月2006年許可を得て複製  中絶をやめさせるには、胎児が人間であるということを、どうしても納得させる必要があります。他のこと、たとえば「かわいそう」とか「その後ずっと罪悪感になやまされますよ」など、いろいろ言ったところで、それは実行後に生じるものであって、実行前のものにはどうも説得力がないと、いつも感じています。そこで誰かそういうことを力強く証明してくれないものかと、いつもまっているのですが、なかなか実現しません。

Continue reading

母の旅立ちー神のいつくしみ

Ihara, Shoichi (イハラ・ショウイチ)井原 彰一聖マルチン病院 精神科医 ドミニコ会出典  カトリック高松教区 ウイークリーメッセージ2016年10月9日掲載許可を得て複製  「今年の7月22日、私は東京の渋谷修道院に会議に参加するために来ておりました。その日の夜、 マルチン病院のシスターから電話があり、母が夕方7時半に亡くなったとの知らせでありました。 すぐに坂出に引き返したかったのですが、翌日は仙台の教会で聖ドミニコ会創立800周年を記念する行事があり、 そこで聖ドミニコについて講演することになっていたのです。母のもとに駆けつけることは出来ませんでした。 シスターにはドライアイスとマルチン病院の聖堂の冷房で対応をお願いし、 気持ちも落ち着かないまま翌日北仙台教会で御ミサを捧げ、午後講演を済ませた後すぐに仙台空港に駆けつけました。夜、 母のベッドに戻ったのは10時過ぎでした。 

Continue reading

この子が死んでしまったのに私が食べるなんて

Ihara, Shoichi (イハラ・ショウイチ) 聖マルチン病院 精神科医 ドミニコ会 許可を得て複製  私の診療室に小林里子さん(仮名)22歳が来るようになったのは、一年半前のことでした。高校生の頃からダイエットを試みることが幾度もあり、一時的に成功してもリバウンドでもとに戻ってしまいがっかりしてイライラが続き、今度は過食と嘔吐を繰り返す日々が続くといったありさまでした。体重が一定しないのと感情の波が激しいことの間にはかなりの関連性があるのです。抗うつ剤、安定剤、睡眠剤を服用しながら規則的な食事を摂る生活をしようと励んだ結果、精神的にも落ち着きを回復し、恋人もできて結婚したのです。新しい生活が始まり、希望をもって生活してゆきました。 

Continue reading

遺棄される老人たち

Honda, Jirou (ホンダ・ジロウ) 心臓血管外科医・本田二郎 『温心、涼脳 WarmHeart、Cool Head』 2010年8月6日掲載 http://surgeonx.blog101.fc2.com/blog-entry-7.html#cm 許可を得て複製  高齢者の不在問題が急速に表面化している。恐ろしい話である。 いったいその高齢者たちはどこへ消えてしまったのだろうか?特に実子など、 一親等の身内がいることが明らかにもかかわらず、生死の確認もできないというのは尋常ではない。

Continue reading

NHKドラマ「マドンナ・ヴェルデ」を少しだけ鑑賞して

Honda, Jirou (ホンダ・ジロウ) 心臓血管外科医・本田二郎 『温心、涼脳 Warm Heart、Cool Head』 2011年5月3日掲載 http://surgeonx.blog101.fc2.com/ 許可を得て複製  つい先ほど、「マドンナ・ヴェルデ」というNHKドラマを30分ほど見た。連続ドラマで、どうやら代理出産に関する重いテーマのドラマらしい。断片的な鑑賞で、一応ホームページであらすじを確認した。

Continue reading

NHKクローズアップ現代、ある少女の選択

Honda, Jirou (ホンダ・ジロウ) 心臓血管外科医・本田二郎 『温心、涼脳 Warm Heart、Cool Head』 2010年12月9日掲載 http://surgeonx.blog101.fc2.com/blog-entry-49.html 許可を得て複製  NHKクローズアップ現代(12/8) 「ある少女の選択~“延命”生と死のはざまで」  今回のクローズアップ現代は大変印象深く、心揺さぶられる内容であった。 

Continue reading

内部被曝問題研究会への思い

Hida Shuntarou (ヒダ シュンタロウ)肥田舜太郎出典 市民と科学者の内部被曝問題研究会 許可を得て複製  1 内部被曝問題研究会の誕生 被曝後66年、原爆放射線の被害、特に内部被曝問題が医学、医療関係者の間で公式に論議されたことがあったのか、 どうか、あったとすれば、その結果、どのような結論になっているのか、寡聞にして筆者は聞いていない。 

Continue reading

思いもよらぬ結果

Hendrickson, Cindy (ヘンドリックソン・シンディー) 許可を得て複製  私は小さな町医者の一人娘でした。16歳になり、高校卒業まで後二年を残した頃、どうして私のことを好きになってくれる男の子がいないのか神様をうらんだものです。私は大学に入学して、お酒を飲みはじめ、酔っ払っている時に処女を失くしました。その後私は、大学を留年し、ドラッグもやりはじめめました。 

Continue reading

赤ちゃんの癒す力

Habiger, Matthew (ハビガー・マシュー)  赤ちゃんが何を考えているだろうかとか、赤ちゃんの心に何が起きているのだろうかとか考えたことがありますか。私は赤ちゃんに本当に戸惑った時がありました。私は赤ちゃんにどう話しかけ、赤ちゃんとどう関係を持ち、さらにはどう理解したらいいかわかりませんでした。どうしてお母さんが赤ちゃんが求めているものや、どこが痛いのかや、赤ちゃんの喜ばし方がわかるのか私はよく不思議に思いました。というのはお母さんは普通の言葉で赤ちゃんと意志疎通はできないからでした。 

Continue reading

人のいのちに対する神の計画

マシュー・ハビガー神父ベネディクト会 序論 現在、新しい千年期の最初の復活祭のシーズンを迎えています。私たちは復活祭の重要性と、神がその子であるイエス・キリストの生と死と復活を通じて私たちのためにしてくださった全てのことを今もなお考え続けているのです。私たちは、素晴らしいことが私たちを待ち構えていることを知っています。60億の人々が生き、教育や科学やテクノロジーが発達した現在、21世紀が、宗教経験が増す時代になるか、大いに危険に満ちた時代になるか、そのどちらかであろうと信じることは当然のことだと思います。

Continue reading

両親が最も愛するのは?

Habiger, Matthew (ハビガー・マシュー) 許可を得て複製 英語原文より翻訳: www.lifeissues.net 両親が最も愛するのは? 自分達の子どもだろう。子ども達が最も愛するのは? 自分の両親だろう。しかし我らが主は、キリストよりも自分の子どもや両親を愛する者は、神にふさわしくないと説く。キリストは「私より汝の配偶者を愛するなら、私にはふさわしくない」と語ったとも伝えられる。この言葉の真意は? 自分のために最も尽くしてくれる相手を最も愛するべきだと、キリストは私達に理解してほしかったのだろう。我々はなぜ両親を愛するのか?生活を共にし、毎日、場合によっては毎時間、心と体、全方面から私達を慈しみ、無数の愛情をもって世話してくれ、その愛に終わりがないからである。 

Continue reading

医者、慈悲、生命を奪うこと

Gomez, Carlos F (ゴメス・カルロス) 許可を得て複製  ジョーゼフ・スターリンはかつて、死が全てを解決すると言いました。死は、きたならしさやあいまいさ、優柔不断や疑惑、苦しみや苦痛を終わらせます。しかしそれは繁栄をもたらす人間のすべての素晴らしい面も一緒に終わらせてしまうのです。 

Continue reading

「普遍」なカトリック教会

メアリ-・アン・グレンドンハ-バ-ド大学法学部教授 英語原文より翻訳: www.lifeissues.net その名前が意味しているように、カトリック教会は普遍です。教会の使命は始めから、地球上のあらゆる所によい知らせを広げることです。2000年来その使命を遂行しているうちに、文化の違いはもちろん文化の変容による挑戦に直面しました。

Continue reading

日曜論壇 なんのための改名か!

Genyu Sokyu (ゲンユウ ソウキュウ )玄侑 宗久(芥川賞受賞作家、臨済宗僧侶)「福島民報」福島民報社出典 日曜論壇 23回2008年4月13日号許可を得て複製   このところ、聾学校を「聴覚支援学校」と改名しようとして、当の聾学校の人々の反撥を招いている。つまり、彼らは「 聾」という言葉に誇りさえ持っているのに、「支援されるべき」人々と見られたことでその誇りが傷つけられたのである。

Continue reading

約束

Genyu Sokyu (ゲンユウ ソウキュウ )玄侑 宗久(芥川賞受賞作家、臨済宗僧侶)「福島民報」福島民報社出典 日曜論壇 16回2007年1月28日号許可を得て複製  人はさまざまな約束をしながら生きている。明日の約束もあれば、死ぬまでにきっと、という誓いのようなものもある。 キリスト教圏には神との契約という考え方があるが、これだって約束の一種に違いない。 

Continue reading

日曜論壇 母から子への手紙

Genyu Sokyu (ゲンユウ ソウキュウ )玄侑 宗久(芥川賞受賞作家、臨済宗僧侶)「福島民報」福島民報社出典 日曜論壇 15回2006年11月17日号 許可を得て複製  毎年、猪苗代町が主催する「母から子への手紙」コンテストの審査に関わっている。これはアメリカ留学中だった野口英世に宛てて書かれた母シカさんの手紙に因み、母が子を想う切々たる慈愛の気持ちを現代日本で掘り起こしたい、という主旨の募集なのだろうと思う。 

Continue reading

日曜論壇 母から子への手紙

Genyu Sokyu (ゲンユウ ソウキュウ )玄侑 宗久(芥川賞受賞作家、臨済宗僧侶)「福島民報」福島民報社出典 日曜論壇 15回2006年11月17日号 許可を得て複製  毎年、猪苗代町が主催する「母から子への手紙」コンテストの審査に関わっている。これはアメリカ留学中だった野口英世に宛てて書かれた母シカさんの手紙に因み、母が子を想う切々たる慈愛の気持ちを現代日本で掘り起こしたい、という主旨の募集なのだろうと思う。 

Continue reading

日曜論壇 無鉄砲と、鉄砲

Genyu Sokyu (ゲンユウ ソウキュウ )玄侑 宗久(芥川賞受賞作家、臨済宗僧侶)「福島民報」福島民報社出典 日曜論壇 14回2006年9月17日号許可を得て複製  この夏、二人の青年がお寺に別々に訪ねてきた。一人は滋賀県から、もう一人は埼玉県からだ。 なぜ二人を一緒に語るのかというと、二人とも自転車でやってきたのが新鮮だったからだ。 

Continue reading

日曜論壇 木瓜と認知症

Genyu Sokyu (ゲンユウ ソウキュウ )玄侑 宗久(芥川賞受賞作家、臨済宗僧侶)「福島民報」福島民報社出典 日曜論壇 12回2006年5月14日号許可を得て複製  庭先に木瓜(ボケ)が、みごとに赤く咲いている。木瓜の花の、無邪気で爛漫な様子は、以前はどうしても「痴呆症」 を想起させた。痴呆症を「ボケ」と呼んだとき、人はやはりこの花を想い描いたのではないかと、疑いなく思えたものだ。 つまり多少のトゲはあるものの、それは人を明るくする無邪気さに溢れていた。 

Continue reading

危うい優生思想

Genyu Sokyu (ゲンユウ ソウキュウ )玄侑 宗久(芥川賞受賞作家、臨済宗僧侶)「福島民報」福島民報社出典 日曜論壇 71回2017年5月28日号許可を得て複製  デザインベビーという言葉が使われるようになって久しい。アメリカではノーベル賞受賞者の精子を高く買い、美人でグラマラスな女性の卵と受精させる、というのもあながち冗談ではないらしい。 

Continue reading

日曜論壇 「満」と数え年

Genyu Sokyu (ゲンユウ ソウキュウ )玄侑 宗久(芥川賞受賞作家、臨済宗僧侶)「福島民報」福島民報社 出典 日曜論壇 11回2006年3月12日号許可を得て複製  最近の新聞の死亡記事は、満年齢で書かれることが多い。うちの寺では死亡年齢を「数え年」で書くため、 ちょっとした混乱が起こることもある。まぁ混乱といったって、生き返るほどのことはないが……。 

Continue reading

いくつもの春

Genyu Sokyu (ゲンユウ ソウキュウ )玄侑 宗久(芥川賞受賞作家、臨済宗僧侶)「福島民報」 福島民報社 2006年1月8日号出典 日曜論壇 10回許可を得て複製  日本人は何度も春を祝う。  お正月には「頌春」とか「寿春」と書き、もう春を祝っている。また節分は本来一年に四回あり、立春、立夏、立秋、 立冬の前日をすべて「節分」と呼ぶのに、特に立春の前日だけを行事として祝う。   

Continue reading

日曜論壇 ネコとヒトの教育

Genyu Sokyu (ゲンユウ ソウキュウ )玄侑 宗久(芥川賞受賞作家、臨済宗僧侶)「福島民報」 福島民報社 2005年2月20日号出典 日曜論壇 9回 許可を得て複製  最近、どうも屋根裏にネズミがいるようだ。本堂の屋根裏にはハクビシンがいるからそちらには行かないのだろうが、 庫裏ではときどきネズミが何かを転がして遊んだりする。 

Continue reading