皆さんこんにちは。今日はどんな1日でしたか?僕は、昨日はテンション低めの1日でしたが、今日はほど良い調子の1日でした。やはり天気と同じで晴れの日も雨の日も、ありますねぇ・・・。
今日はデイサービスのお年寄りを家に送る帰りの車内で、皆を家に送ってほっ・・・とするひと時に、車を運転する同僚と語らいました。その人は女手一つでもう長い間、2人の子供を育てているので、僕は「人は話してみると、普段の表情では分からない苦労があるものですねぇ・・・1人で悩みを背負っていると思うと辛いけど(自分だけじゃない)と思うと少し気持が違いますよね」と言うと、同僚は運転しながら「そうそう」と頷いてくれました。「人それぞれに、長い時間をかけて答を探す人生のテーマ(課題)が与えられているような気がしますね」と言うと、深く頷いてくれました。1日の仕事を終えた後の語らいに、同僚との友情を感じるひと時でした。
僕の職場に日々集まるお年寄りの皆さんも、そんな様々な人生の季節を乗り越えて来たのでしょう。まだ若い世代である僕等もそれぞれの荷を背負いながらも、1日の中でお年寄りの皆さんと共に笑い合える瞬間を求めて、この仕事をしていると思います。
さて・・・前回更新したエッセイで息子の周について書いたら、読者の皆さんが反応して下さっているのを感じたので、今月は周について書いた詩をいくつかここに載せようと思います。先々月出演した朗読会で反響のあった詩なので、何か、伝わるものがあれば嬉しいです。
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僕等の道
服部 剛
周ちゃんがダウン症と知った翌朝
僕はこれからのことを考えようと
近所の林へ歩いていった
林の中に入り、ふと見下ろせば
不恰好ないも虫さんは
にょっきり土の上を這っていた
周よ
いも虫さんが自分らしく生きるように
お前はお前のペースで、ゆっくり歩め。
林の中を進んで、ふと見上げれば
枝に留まった蝉さんが
(つくつくほうし、つくつくほうし)
と鳴いている
周よ
蝉さんが全身で自らを奏でるように
お前はお前らしい声で、自らを歌え。
予定日より早く生まれた
小さいお前が退院したら
パパもママもいつもお前といるのだから
いかなる天気の日にも
僕等の道を一緒に歩み
僕等の歌を一緒に歌おう
林の中を更に歩むと、木々の間から
新たな日射しが、道を照らした
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何か大事な考え事や悩みのある時、僕は歩きながら心を整理する事があります。息子の周がダウン症であるという現実を受け入れる為に歩いていた林の中で、僕の目に映るいも虫や蝉の生きる姿そのものが、メッセージを伝えてくれているようでした。自然の中で、他の誰でもない個性を自分らしく、無心に生きている彼等の姿が周に重なり(この世界にたった1人である周が自分らしく輝いてほしい・・・)という父親になって最初の願いが、胸の奥から湧いて来るのを感じながら、林の中を歩き続けました。
周は人より染色体が1本多い、という事を聞いてから、嫁さんと深く悩んだ後に見出した新たな希望は(僕等3人の間にいつもともる灯が周囲を暖めるような家庭をつくりたい・・・)という切なる願いでした。今回ここに載せた「僕等の道」という詩には、これから人生の旅路を歩む僕等がずっと忘れずにいようと思う、言葉にならぬ初心の思いがこめられています。
Go Hattori(ハットリ ゴウ)
服部 剛
日本の詩人。
出典 「ポエトリー・シアター」
Copyright©2011.11.25.
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