教会に戦争責任を問えるか
カトリック教会にいわゆる昭和戦争の責任を問えるか? 答えは否である。教会はあくまで宗教団体であって、政治団体ではないからである。「国権の発動」である戦争の全責任は国家権力にしかあり得ない。教会は戦争に協力するよう強要された被害者である。 しかし、教会の中には『カトリック教会の戦争責任』という本を書いた司祭がおり、当時の教会指導者の戦争責任を追及する者がいたりするのはなぜか。政治共同体と教会とを混同し、政教分離の大原則を知らないばかりか、当時の教会が置かれた社会的、政治的情勢を知らないからであろう。第2バチカン公会議は、「政治共同体と教会は、それぞれの分野において、互いに自主独立である」(現代世界憲章76)と教えており、古来、霊的共同体である教会は政治共同体から区別され、常に政治権力の支配下にあってプラス・マイナス両面の影響を強く受けてきたのである。
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