日本 プロライフ ムーブメント

天国のイメージと個人主義

「このような(天国)の希望は、近代になってますます厳しい批判にさらされるようになりました」。婦人たちの読書会で今読んでいるベネディクト16世の回勅『希望による救い』(カトリック中央協議会訳)の一節(13)である。この批判とは一体なにを意味するのだろうか。教皇が強調するからにはやはり今日的な理由があるに違いない。

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2月11日は『世界病者の日』

教皇ヨハネ・パウロ2世は1993年、「ルルドの聖母の記念日」である2月11日を「世界病者の日」と定めた。聖母マリアは、救い主キリストの母として、十字架のもとに立って御子の苦しみに深くあずかり、同時に、信じる人々の母として彼らの苦しみをともにしながら、人類の救いのためにとりなしておられる。だから、聖母の記念日に病者を記念することはふさわしいと思う。

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ラジオから流れるロザリオの祈り

読書グループの女性たちは今、ヨハネ・パウロ2世の使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』を読んでいるが、そろそろ後半に差し掛かってロザリオの祈りのすばらしさがいよいよ身に沁みて理解される段階に入ったようである。「ロザリオはすばらしい祈りです。その単純さと深さのゆえに」(使徒的書簡2)と教皇は言われる。単純さとは、天使祝詞(マリアへの祈り)を繰り返しながら主キリストの生涯の出来事を思い出すだけの、誰にでも祈れるからであり、深さとは、主イエスとその母マリアの生涯から20の出来事(神秘)を思い出しながら、神のうちに秘められた人類救済の偉大な神秘を、聖母とともに観想し、その恵みにあずかるからである。

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いのちの神秘とその召命

いのちは神秘である。そして、いのちの神秘の解明は有史以来、人類の根本的な課題であった。そのいのちが、今日も、さまざまに脅かされ、虫けらのように殺害されている。だから、あらためていのちの神秘と召命について根底から問い直さなければならない。 

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「いじめ自殺」が残した教訓 – いのちを守る家庭の再建と隣人愛を育てる教育

昨年もいじめや虐待死など、幼児・児童・生徒にまつわる悲しい事件が相次いだ。いじめは昔からあったが、その後の報道によれば、いじめの実態はかなり深刻で、全国に広がっているという。あらためて、いじめ自殺からいくつかの教訓を引き出してみたい。

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80回目の正月に思う

門松80回目の正月を前にしてこの一文を綴っている。日本人の平均寿命を超える、 ずいぶんと長い人生をいただいたものである。戦前、戦中、戦後を経て今日まで、 めまぐるしく変わっていった時代に生きてきて、出遇った様々な人や出来事を感慨深く思い浮かべている。そして今年は、 どうしてか長い間忘れていた「年の始めの歌」を思い出した。 

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離婚しない結婚の準備

先日、珍しい友人が突然訪ねてきてくれた。イエズス会の元管区長粟本昭夫神父である。80歳になる彼は、 東京からレンタカーでドライブしてきて、九州各地の殉教地や教会を巡礼しているのだという、老いても元気な神父である 。その夜は、隣に住んでいる同じくイエズス会員である「内観」の岡俊朗神父を交えて夕食を共にして語り合った。 

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「白衣の天使」が「カラフル天使」に

先日の定期診察で採血をしてくれた看護師は緑の衣服を着けていた。隣で採血していた看護師は真っ赤な服だった。 何か変な感じがして、思わず「もう白衣の天使ではないのですね。なんと呼んだらいいんでしょう?」とつぶやいたら、「 先日ある会合でカラフル天使と呼ばれました」という返事が返ってきた。「なるほど、そういえばそうですね」 と答えたものの、親しんできた看護婦さんから看護師さんに変わってまだ十分心の整理がつかないうちに、 白衣の天使がカラフル天使に変身する。長生きしているといろんなことに出会う。 

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エロスと甘え「求める愛」をめぐって

「エロスと甘え」とは奇妙な取り合わせだが、最近読んだ本の中でこの二つは「求める愛」という表現の中で一つにつながったのである。その本とは、一つは教皇ベネディクト16世の回勅『神は愛』(2005年・邦訳はカトリック中央協議会)であり、もう一つは土居健郎の『続「甘えの国」』(2001年、弘文堂)である。これは、独りでは生きられない人間本来の姿を理解するうえできわめて重要だと思うので、あえて話題にしたい。 

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あるシングルマザーのうぬぼれ

先日、テレビのチャンネルを変えていたら、精子バンクを利用して子供を産んだアメリカの、あるシングルマザー( 未婚の母)のインタビュー番組が目に入った。まず驚いたのは、精子バンクという商売が繁盛していること。 さらに驚いたことに、そのシングルマザーは言ったのである。「精子バンクを使えば後腐れがない。 自分独りで自由に子育てができる」と。後腐れとは何たる暴言、独りで育てるとは何たるうぬぼれ。一言、 世に警告を発せざるを得ない気分になった次第。 

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「ゆるし」を体現した人の物語

このほど、今評判になっている本、『生かされて。』を一気に読んだ(イマキュレー・イリバギザ著、PHP、2006) 。十年余り前、アフリカのルアンダで吹き荒れた民族浄化の大量虐殺の時代、両親と兄弟二人を奪われた中で、 肉親への愛情と共に、これに反比例するかのように繰り返し沸き起こる憎しみと復讐の情念に打ち勝って、「ゆるし」 というキリスト教の恵みを文字通り身を持って体現した一人のカトリック信者の物語である。 彼女が神のゆるしに与って救われたということは、彼女が真にカトリック信者としての教養を身に着けていたと同時に、 本書の中で彼女自身が言うように、深く長い祈りの中で神の愛に触れたためだと思うのだが、このゆるしのゆえに、今、 本当に平和であり幸せであると彼女は断言している。 

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「貧しさ」、キリスト教のキーワード

キリスト降誕の神秘的な夜、天使たちは羊飼いたちに告げて言った。「恐れることはない。わたしは、 すべての民に及ぶ大きな喜びの訪れをあなた方に告げる。きょう、ダビデの町に、あなた方のために、 救い主がお生まれになった。この方こそメシアである。あなた方は、うぶ着にくるまれて、 飼い葉桶に寝ている乳飲み子を見るであろう。これがしるしである」(ルカ2,10-12)。 

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「働きたくない者は、食べてはならない」

「勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝し合う」国民の祝日・勤労感謝の日に思いを致し、また、最近の労働事情、 たとえば生活保護不正受給問題などを考えているうちに、「働きたくない者は、食べてはならない」 という聖パウロの言葉を思い出した。 

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無縁社会から共同社会へ

過ぎた2010年を振り返って、一番心に残っているのは社会生活の根幹にかかわる「無縁社会」の問題である。 昨年1月31日のNHK/BSテレビ番組「無縁社会 “無縁死”3万2千人の衝撃」は文字通り衝撃的であったが、 その取材記録が11月15日、「中間報告」として出版された。そこで、この現象をどう見るか、あらためて考えたい。

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子育ての意義を考えるチャンス

 「子ども手当」や「高校授業料無償化」がいよいよ現実化しそうである。この際、 この画期的な企てが何を意味するかを考える機会にしなければならないと思う。なぜなら、現代の家庭は、 社会と文化の急激な変化のあおりを受けて危機に直面しているからである。

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臓器提供は人間愛の行為

さる7月13日、参議院本会議において、臓器移植法改正案(いわゆるA 案)が可決され、成立した。これによって、わが国では脳死が一律に人の死とされ、また本人の意思が不明な場合は、 家族の書面による同意があれば、臓器移植が可能となり、15歳未満の臓器摘出と移植も容認されることになる。

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