日本 プロライフ ムーブメント

「人類は新しい精神的な方向性が必要」

14日付のバチカンニュースは2日から開催中の世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会に関連する記事を満載しているが、その中で著名なチェコの宗教哲学者トマーシュ・ハリク(Tomas Halik)のバチカンラジオとのインタビューが紹介されていた。ハリク氏は「教会は病んでいる」と述べた聖職者であり、チェコスロバキア共産党政権時代の1978年、密かに神父に叙階され、地下教会を体験してきた人物だ。カトリック神父、宗教哲学者、神学者であり、特に宗教的対話や信仰と社会に関する問題で国際的に評価されている。彼は多くの著作を執筆し、信仰と現代世界の問題を橋渡しする知識人として知られている。

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司教の手紙 ㉗ 聖母月に寄せて — 神の望まれる家庭像

教区の皆さま、お元気でしょうか。今回は「聖母月に寄せて―神の望まれる家庭像―」についてお話ししたいと思います。 聖ヨゼフ年に相応しい「家庭」の考察 ご存じのように今年は、聖ヨゼフ年に指定されています。ヨゼフさまといえばマリアさまということで、この5月に夫婦によって始まる家庭について考察することは相応しいことだと思います。

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世界に「NO」と言える、 世界に「LIFE YES !」と言える日本に

今年2月、週刊文春のスクープ記事がYahoo!のニューストピックにあがっていた。それは、違法中絶をおこなっていた疑いのある産科クリニックを告発したものだ。現行、日本では妊娠22週以降の中絶は違法となるが、そのクリニックでは、違法であることをわかりながらそれ以降の中絶手術をしばしば手がけていたというのである。妊娠34週での中絶事例もあったという元スタッフの証言もある。もちろん記者が現場の関係者を取材した上での、事実をもとにした記事であろう。商業誌ゆえに「違法中絶横行」という見出しで読者を煽ろうとする意図はうかがえるが、とくに踏み込んだ内容ではない。その意味でPro-Lifeに傾いている訳でもPro-Choice(中絶推進)を支持する訳でもなく、中絶という行為そのものについて週刊誌は何も責任をとろうとはしない。そうであるがゆえに、日本最大のコミュニティサイトであるYahoo!でニュースとなったこの記事は、妊娠22週以降の中絶という行為をめぐって受け手がどんな反応をするのかを知る恰好の題材である。

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「骨髄の布施行」

  水無月と檀那 六月を意味する水無月の語源には多くの説があるが、「皆仕尽月」や「雷月」よりも、田ごとに水を張る「水の月」の方が最もらしく思える。水無月という名は稲作に関連して付けられたようだ。稲作はお釈迦様とも関係が深い。釈尊の父親は浄飯王で、その弟四人の名前にも皆「飯」が含まれている。

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苦難から生まれる「善」のために祈ろう

ポーランドのローマ・カトリック教会のイェジ・ポピェウシュコ神父の名前をご存じだろうか。同神父は1984年10月19日、共産主義政権の秘密警察によって拉致され、殺害された。あれから今月で40年が過ぎた。 ポーランドでは先週末、国民的英雄のポピェウシュコ神父の追悼が行われた。アンジェイ・ドゥダ大統領とヴワディスワフ・コシニャク=カミシュ副首相は、ワルシャワにあるポピェウシュコ神父の墓に花輪を捧げた。ポピェウシュコ神父が務めていたゾリボジュ地区の教区教会で行われたミサで、ドゥダ大統領は「ポピェウシュコ神父や彼の世代の他の人々の努力のおかげで、今日のポーランドは自由な国となった」と述べ、共産主義時代に自由のために勇敢かつ決然と立ち向かった神父に感謝した。

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キリスト教信仰の社会的展望

キリスト教とは何か、をあらためて問うとき、キリスト教信仰の共同体的、社会的展望に触れないわけにはいかない。単なる個人の救いではなく、人類全体の根源的な一致回復こそがキリスト教の本質的救いであり、教会のカトリックたるゆえんである。 キリスト教における「救いの希望」について、それが個人主義的なものではなく、共同体的なものでることについて、教皇ベネディクト16世は、述べている。

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多様性を認めて神の国が豊かになる

マルコ9:38-43,45,47-48 信徒の皆さんは、司祭の異動を通して次の経験をしたことがあるでしょう。「前の神父様はこうしていたけれども、今度の神父様は違う仕方をする。」ここで信徒の皆さんが偉いなぁと思うのは、以前のやり方と今度の神父様のやり方が違っていても、徐々に合わせてくれるという点です。

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広島平和宣言【令和6年(2024年)】

皆さん、自国の安全保障のためには核戦力の強化が必要だという考え方をどう思われますか。また、他国より優位に立ち続けるために繰り広げられている軍備拡大競争についてどう思いますか。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエル・パレスチナ情勢の悪化により、罪もない多くの人々の命や日常生活が奪われています。こうした世界情勢は、国家間の疑心暗鬼をますます深め、世論において、国際問題を解決するためには拒否すべき武力に頼らざるを得ないという考えが強まっていないでしょうか。こうした状況の中で市民社会の安全・安心を保つことができますか。不可能ではないでしょうか。

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【緊急声明】

新型コロナウイルス感染症予防接種に導入されるレプリコンワクチンへの懸念 〜 自分と周りの人々のために 要約 一般社団法人日本看護倫理学会は、次世代型 mRNA ワクチンとして、世界で唯一日本のみで認可され、2024 年 10 月 1 日から定期接種を開始するとされている自己増幅型 mRNAワクチン(レプリコンワクチン)の安全性および倫理性に関する懸念を表明します。

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長崎平和宣言  2024年

長 崎 平 和 宣 言   原爆を作る人々よ!しばし手を休め 眼をとじ給え昭和二十年八月九日!あなた方が作った 原爆で幾万の尊い生命が奪われ家 財産が一瞬にして無に帰し平和な家庭が破壊しつくされたのだ残された者は無から起ち上がらねばならぬ血みどろな生活への苦しい道と明日をも知れぬ”原子病″の不安とそして肉親を失った無限の悲しみがいついつまでも尾をひいて行く

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『道をひらく』は私の“心の救急箱”(押切もえ)

松下幸之助氏の「道をひらく」(初版1968、PHP研究所)が500万部を突破したそうだ。永遠のベストセラーと言われているこの本が、ファッションモデル、タレントの押切もえの愛読書との記事が「PHP Business Review松下幸之助塾2014年3・4月号のトップに掲載されている。実は名前は聞いたことがある程度で、あまり押切もえを良く知らないが、インターネットで見ると恋人の死、家庭崩壊、ハワイでの大事故など波乱の多い人生を歩んできたとある。そして読書好きで週3冊は読んでいるらしい。20代の時、本屋でこの本に接し、‘人を立てる’ことの大切さや、素直さ、謙虚さを説く文章が並んでいて心に響き買った。以降、こころが弱くなってパワーがほしい時に本棚から手に取って読み返すと立ち直る力がもらえる、まさに私にとっての“心の救急箱”だと言う。「道をひらく」のことは各種メディアでたびたび語っているそうだ。押切もえが感銘を受けた言葉を紹介する。

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【ブログ】今こそ停戦を-Cease All Fire Now

2024年1月24日(火)19時から、東京・青山にあるウィメンズプラザのホールで開催されたJazz HIKESHI主催による「Ceasefire Now! 今こそ停戦を」と題するプレゼン&トークに参加しました。午後に開催された『夢見る給食』の初上映会(参加できず)と同じ会場です。ろ 18時30分の開場時には、会場の外まで長い列ができていました。指定席のチケットを交換してもらって会場に入ると、何と最前列中央の特等席!

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「端午の節句とリウマチ」

鯉のぼりと整形外科学  万葉の時代には端午の節句に菖蒲などの薬草を摘んで健康を願った。武士の時代になって「菖蒲」は「尚武」へと変わり、男子の誕生を祝って幟を立てた。これが庶民の間で鯉幟へと変化した。鯉のぼりは「登竜門」の故事に由来し、子供の元気な成長を願って立てられる。 日本で鯉のぼりが普及したのは江戸時代中期のようだが、同じ頃に西洋で子供を真っ直ぐに育てる医学が誕生した。それはフランスのニコラス・アンドレという医師によってオルソペディアと名付けられた。日本語では整形外科学と訳されるが、オルソは「真っ直ぐ」ペディアは「子供」を意味する。当時は手足や背骨や関節が曲がった子供が多かった。今ではワクチンによってポリオが殆ど無くなった。ビタミンD欠乏性くる病も食生活の改善で非常に稀な病気となった。脊椎カリエスも結核が治療できるようになって激減した。しかしまだ治療が難しい骨や関節の病気が沢山ある。その一つに関節リウマチがある。

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世界は本当に戦争下にあるのか

フランシスコ法王は27日、ローマからポーランドの古都クラクフで開催中の第31回「世界青年集会」(WJT)に参加するため、ポーランド入りした。バチカン放送によると、WJTには189カ国、35万人以上の青年たちが参加している。 フランス北部のサンテティエンヌ・デュルブレのローマ・カトリック教会で26日午前、2人のイスラム過激派テロリストが神父の首を切って殺害するという テロ事件が発生したばかりだ。それだけに、27日から始まったローマ法王フランシスコの5日間のポーランド訪問の安全問題が懸念されている。

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あらためて、キリスト教とは何か

キリスト教と言えば聖書、あるいは教会というのが常識である。『Pen』誌の『キリスト教とは何か』を見る限り、その感を強くする。そこでは、聖書や教会が美しい写真や名画でキリスト教が紹介されている。しかし、それだけだろうか。外観だけでキリスト教を批判する人もいるから、あらためてキリスト教とは何かを問うてみたい。 前々回に述べたように、イエスは教会の中に生きており、教会を通して働いて救いのわざを続けておられる。しかし、その姿を肉眼で見ることはできない。教会の中にイエス・キリストを確認できるのは「信仰」だけであって、信仰がなければ教会の外観をもってキリスト教を判断するしか手はないわけである。

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「仕えられるためではなく、仕えるため」(マルコ10:45 )

4月は新生活、新たなスタートの月です。 これは少なくともここテキサス州・サンアントニオでは顕著に見られます。 天気は暖かくなり、緑はますます青くなり、ブルーボネットが満開になり、イースターを迎えています。 最近、私はサンアントニオに来て春とイースターを経験できることを嬉しく思います。 さて、司祭が聖週間に休暇をとるのは珍しい機会だと思います。 今年、私は宣教地である日本を離れ、聖なる過越の三日間とイースターを経験する機会に恵まれました。 私が最も印象に残ったことの一つは、聖木曜日の「洗足式」でした。司式者は数人の足を洗った後、会衆に同じことをするよう勧めました。 恥ずかしがらずに典礼に参加する多くの人々が前に出て行く姿は美しかったです。私は 小さな女の子がお父さんの足を洗っているのを見て感動しました。 彼女の顔に浮かんだ笑顔は父親への愛を表していたと思います。 少女は足を洗うことの意味を理解していなかったかもしれませんが、父親にしたことは彼女の記憶に残ると思います。

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キリスト教のシンボル・十字架の神秘

キリスト教最大の祝日・キリストの復活祭は、今年はいつもより遅くて4月24日に祝われる。そして復活祭の爆発的な喜びは、それに先立つ「キリストの十字架」をどう見るかにかかっている。そこに、十字架がキリスト教のシンボルとなったわけもある。では、「十字架の神秘」とは何か。 周知の通り、イエス・キリストは十字架につけられて殺された。この十字架をどう見るか。聖パウロは言う。「わたしたちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝えています。すなわち、ユデア人にはつまずかせるもの、異邦人には愚かなものですが、ユダヤ人であろうがギリシャ人であろうが、召された者には、神の力、神の知恵であるキリストを宣べ伝えているのです」(1コリント1,23~24)。聖パウロのこの言葉は、キリストの十字架に対する人間の態度に三様のものがあることを示している。

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見よ、ナワリヌイ・ラインを!!

ロシアの著名な反体制派活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏の追悼式とミサが1日、モスクワ南東部の教会で行われ、その後、近郊のボリソフ墓地で埋葬された。外電によると、ロシア当局はナワリヌイ氏の追悼式会場の教会や墓地周辺の広範囲を封鎖し、開始の数時間前には通行人をチェック、インターネットを遮断した。にもかかわらず、ドイツ民間ニュース専門局ntvによると、数千人の国民が追悼式と葬儀に参加し、教会まで2キロ余りの参加者のラインが出来たという。

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信念の人!杉原千畝

昨日25日日曜日10時からのテレ朝「Sundayフロントライン(メインキャスター小宮悦子)」の特集で、本田宗一郎、松下幸之助、土光敏夫、後藤田正晴(三宅島大噴火の際の決断)などの方々と一緒に「杉原千畝」氏が最も時間をかけて紹介されていた。 今回の東日本大震災でいち早くイスラエルが医療機器、医療薬と共に約60人の医療団を南三陸市などに送りこんでくれました。その理由が、ヒトラーのユダヤ人大虐殺当時、リトアニアの領事館にいた外務官杉原千畝氏(1900-1986)がユダヤ人6000人を救ったそのお礼だそうだ。

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「降誕とアレルギー」衛生と花粉症

マヤ夫人、万が一の死亡  四月八日は花祭り、お釈迦様の誕生は喜ばしいが、実母のマヤ夫人は産後一週間で亡くなられたという。死亡原因は産褥熱(産後の細菌感染症)であった可能性が高い。 十九世紀半ば、ハンガリーの産科医ゼンメルワイスは出産介助の前に手を洗うことで産褥熱が防げることを発見した。この少し後、パスツールは感染症の原因が細菌であることを説き、これがコッホにより完璧な実験で証明された。パスツールが考案した低温殺菌法(パスツリゼーション)はワインの腐敗を防ぎ、巨万の利益をフランスにもたらした。免疫治療は十八世紀末ジェンナーの種痘に始まるが、パスツールのワクチン開発は多くの感染症治療に道を開いた。細菌そのものではなく細菌の産生した毒素が破傷風という病気を起こすことを証明し、かつ抗毒素血清を作って治療を可能にした北里柴三郎の功績も光っている。二十世紀前半フレミングによって抗生物質が発見された。その後の研究で実際にペニシリンが作られ、平均寿命が急上昇する結果となった。そして現在先進国の妊産婦死亡は万が一以下となっている。

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キリスト教における「死の神秘」

人間は誰でもやがて死ぬ。これほど明らかな現実はない。仏教では「生老病死」の四苦を唱えているが、その指摘を待つまでもなく、「死」は人生最大の苦であり悩みである。それゆえ、大昔から、死の意味を理解し、死を克服するために人類はあらゆる努力を傾けてきた。はたしてその努力は報われたであろうか。

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確実性への要求は必ずしもスッキリするとは限らない

前回の記事では、同性愛に関するカトリック教会の公式な客観的教えに触れた。「真実:カトリック教会とLGBTQ+」の記事である。今回はその続きとして、カナダの小教区で助祭を務める親友のダグラス・マクマナマン氏からいただいた記事を紹介し、主観的/司牧的アプローチについて述べたいと思う。ダグラス・マクマナマン助祭は、Lifeissuses.netのライターであり、高校生にカトリックの性倫理を教える教師であり、多くの書籍や記事を書いている。この記事の掲載を許可してくださったダグ助祭に感謝します。同性愛を扱う場合、客観的側面と主観的側面の両方に重点を置くことが必要だと思う。どちらか一方を避けることは混乱につながるからです。

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司教の手紙 ㊵ 「いのちの福音」について

教区の皆さま、お元気でしょうか。 今月は聖ヨハネ・パウロ2世教皇の回勅「いのちの福音」の内容についてお話いたします。 聖ヨハネ・パウロⅡ教皇回勅「いのちの福音」 1995年に発布されたこの回勅は、声も出せない弱い立場に置かれている人間のいのちに関するものです。具体的には、人工妊娠中絶で葬りさられる胎児や自らの意志を提示できず、他者の手に委ねられる末期患者のいのちが、合法的に容認される社会ができつつあることへの警告を発する内容になっています。この主題を取り上げたのは、二つの理由があります。一つは日本の事情で、2000年7月13日、「優生保護法」が改訂され、「母体保護法」として、再施行されたことと、もう一つは、アメリカの事情で、今秋の大統領中間選挙の争点になっている、各州の人工妊娠中絶法の是非です。

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