日本 プロライフ ムーブメント

聖霊降臨の主日「アンパンマンの生みの親 ― やなせたかし」

アンパンマンの作者・やなせたかし夫妻のの歩みに光をあてるNHK朝ドラ『あんぱん』。戦争体験から生まれた「正義」と「愛」の思想には、福音に通じる深いメッセージが込められています。パンを分け与えるアンパンマンの姿は、イエス・キリストの自己犠牲の愛、十字架の愛と重なるように見えます。

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社会は胎児の人間性を十分に認めているだろうか?

質問です。なぜ今日、突然このような悪意ある「生殖への攻撃」が起きているのでしょうか?生殖、すなわち生物学的な子どもを妊娠・出産する性的な営みが、次第に「どんな犠牲を払ってでも利益と権力を得る」という考えと同一視されつつあります。周囲を見渡せば、巨大産業がどれほど強い影響力をもって「生殖」という言葉の意味を、製造・工学・管理といった概念へと変えていっているかが分かります。たとえば、赤ちゃんは体外受精(IVF)によって「作られている」のです。

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人は誰でも「幸福」を求めている

20日は「世界幸福デー」だった。それに合わせて慣例の国連「年次世界幸福度報告書」(調査期間2021年~23年、143カ国を対象)が発表されたが、それによるとフィンランドが7年連続、世界で最も幸福な国に選ばれた。2位はデンマーク、3位アイスランド、4位スウェーデンと北欧4カ国が上位を独占した。同時に、調査を担当した学者たちによると、幸福度の国のランクでは多少の変化が見られたが、世界の幸福度の不平等は過去12年間で全ての地域と年齢層で20%以上増加した。

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教皇フランシスコの平和メッセージを読んで感じたこと

今年の「世界平和の日」に向けた教皇フランシスコのメッセージの題は「わたしたちの負い目をゆるしてください、あなたの平和をお与えください」です。教皇は、主の祈りの中で、「イエスは私たちの罪を赦してくださるよう御父に願い求めることから始められますが、すぐに、私たちも負い目のある人を赦します(マタイ6:12参照)という難しい言葉に移られます」。私たちが主の祈りを生きる上で悩むのは、このようなところではないだろうか。 赦すことが容易でないことは承知していますが、主はキリスト者である私たちに、危害を加える者を赦すことによって和解することを期待しておられます。

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全身が響くようなことば、心から思うことば

今回の震災で負った心の傷を緩和するために、どういうことばが適切か。政府や多くの企業が選んだことばは、「がんばれ」だった。崩れたものをどうにか元の形に戻し、全身から抜けた力を集めるためには、確かに、震災直後は有効だったかもしれない。だが、3ヵ月を経た現在では、空しく響くだけである。何をがんばればいいのか…。

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【ほんのさわり】中野幸次『清貧の思想』

-中野幸次『清貧の思想』(1996年11月、文春文庫)- https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167523039 【ポイント】 著者は、「消費者」とは「人間侮蔑的な言葉」であるとし、「何が必要であって何が必要でないかを検討し社会の仕組み全体を変えねばならぬ時に来ている」としています。

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教会に戦争責任を問えるか

カトリック教会にいわゆる昭和戦争の責任を問えるか? 答えは否である。教会はあくまで宗教団体であって、政治団体ではないからである。「国権の発動」である戦争の全責任は国家権力にしかあり得ない。教会は戦争に協力するよう強要された被害者である。 しかし、教会の中には『カトリック教会の戦争責任』という本を書いた司祭がおり、当時の教会指導者の戦争責任を追及する者がいたりするのはなぜか。政治共同体と教会とを混同し、政教分離の大原則を知らないばかりか、当時の教会が置かれた社会的、政治的情勢を知らないからであろう。第2バチカン公会議は、「政治共同体と教会は、それぞれの分野において、互いに自主独立である」(現代世界憲章76)と教えており、古来、霊的共同体である教会は政治共同体から区別され、常に政治権力の支配下にあってプラス・マイナス両面の影響を強く受けてきたのである。

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シェルドレイクの仮説から「祈り」を検証

 北欧スウェ―デンに住む一人の修道女が語った言葉が心に響いた。彼女は「私の日々はここで神の前に祈りを捧げることです。少しでも世界が良くなり、平和が実現できますように祈ります。これが私の仕事です」と述べていた。下界との接触は最小限に止め、ほとんどの時間を祈りや瞑想に費やすというのだ。

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人はなぜ等しく尊いのか? 優生思想に対する私のキリスト教からの解答

人はなぜ等しく尊いのか? 愛で正義で全知全能の神様が、神と人、人と人とが互いに愛し合うために、ご自身のかたちに似せてお創りになったからだ。クリスチャンとしてそれを信じるから、生まれてから今までしてきた良いこと悪いことの総和、財産、役に立ったかどうかに関係なく、尊いと断言できる。 イエス・キリストが良い人にも悪い人にも雨を降らせ恵みを施す神様の愛を教え、自らも生き様で実践し、最後には十字架で自分の命を与えてまで、神の愛の何たるかを見せてくださり、復活された。だからこそ、人はそこまでして愛する価値のある存在だと言える。どんな人でも、愛される価値がある。

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壊れた世界で感じる基本的な恐れ

日本の人口の約38%が60歳以上であると推定されています。70歳以上の人々は全体の22.2%を占めています。さらに、日本には100歳以上の高齢者が過去最多で95,119人います。この数字は2050年までに44万人に達すると予測されています。また、世界的に見ると、65歳以上の人口は2050年には16億人に達する見込みです。要するに、高齢化は不可逆的な世界的傾向なのです。中でも、80歳以上の人の数はさらに急速に増えています。私自身も今年85歳になります。 私たちの世代に共通する根本的な欲求は何でしょうか?簡単に言えば、年を取るほど、「老後」はもっと先にあると考えるようになります。私たちの基本的な恐れは「死ぬこと」です。 つまり、私たちは皆、できるだけ長く生きたいのです。だからこそ、健康に気を配り、危険を避けることが重要なのです。新聞で90歳や100歳を祝う人々の記事を読むと、私たちは嬉しくなります。彼らの健康で長寿の秘訣を知りたいのです。死をできるだけ先延ばしにしたいのです。

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「合理的配慮」義務化(3)

III 『合理的配慮』には対話が重要です!  P.13〜P.19 ● 合理的配慮の提供に当たっては、社会的なバリアを取り除くために必要な対応について、障害のある人と事業者等が対話を重ね、共に解決策を検討していくことが重要です。このような双方のやり取りを「建設的対話」と言います。 ● 障害のある人からの申出への対応が難しい場合でも、障害のある人と事業者等の双方が持っている情報や意見を伝え合い、建設的対話に努めることで、目的に応じて代わりの手段を見つけていくことができます。

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ペンテコステと「聖霊」と「私たち」

 6月8日はペンテコステの日だ。キリスト教の祝祭日だ。ギリシャ語で「50番目」という意味がある。通称、「聖霊降臨祭」とか「五旬節」と呼ばれる。  ところで、新約聖書「使徒行伝」第2章には聖霊降臨(ペンテコステ)の様子が記述されている。イエスは十字架後、復活し、40日間、ばらばらになった弟子たちを探し出し、福音を伝えた後、昇天。その10日後、激しい風のような音がすると、聖霊が天からイエスの弟子たちのうえに降臨する。

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「水無月と溺水」

水難   六月は水無月、その語源は諸説あるが「水の月」が最もらしい。水は、一方では全ての生き物の喉の渇きを潤し、渇愛を滅盡する仏の智慧の譬喩にも用いられる。他方、大津波のように大災害をもたらすこともある。水の利益に関して前に書いたので、今回は水の災難について話題にしよう。七難という場合、経典によって七つの難に違いがあるが、水難は説かれることが多い代表格だ。法華経普門品では水難について「若為大水所漂」、その偈文では「或漂流巨海」とあり、大水および海水による溺水の災難を取り上げている。旧暦六月は真夏であり、海水浴などで水の事故も多い。「波浪不能沒」とする観音菩薩のように人々を溺水から救うには、私達はどうすれば良いだろうか。溺水に関する知識を持つことから始める必要がある。

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聖霊と教会の時代の到来

主の復活祭(今年は4月5日)から聖霊降臨の主日(今年は5月24日)までの50日間は、「復活節」と称して、「一つの祝日」として、また、より適切には「大いなる主日」として、主の復活とその実りについて、歓喜に満ちて祝われる。 しかし今回は、典礼季節としてばかりでなく、救済史という歴史的な観点から、聖霊降臨の出来事が何であったかを考えてみたい。それは、人となった神の子キリストによる人類救済の大事業が完了して、救済史の次の段階、すなわち「聖霊と教会の時代」の到来を意味するのではないか、ということである。

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アナバプテスト運動500周年を迎えて

アナバステスト運動をご存じだろうか。幼児洗礼を拒否し、成人になってからの意識的な洗礼を重視することで再洗礼派と呼ばれ、絶対平等の社会と財産の共有などを主張する。この運動はプロテスタント思想とキリスト教共同体の発展に強い影響を与えた。 【原文には、イタリア通信ANSAからのコンクラーベ参加有資格者の135人の枢機卿の顔写真あり】

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荒野で叫ぶ難民たち〜ワルサン・シャイアの詩が語る真実

詩人ウォルサン・シャイレは、彼女の詩「家」の中で次のような一節を作り、強い共鳴を呼び起こしました。 「誰も家を離れない / もし家がサメの口でないなら。」 「国境に向かって走るのは / 街全体で走っている人々を見たときだけ。」 「誰も自分の子どもを船に乗せない / 安全な大地よりも海が安全でない限り。」 今日、私たちは世界的な難民危機に直面しています。2024年中旬、難民の数は4370万人に達しました。これに加えて、内部避難民が7210万人、亡命希望者が800万人に達し、世界中で家を追われた人々は合計で約1億2260万人に上ります。

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神よ、ネタニヤフ氏にアドバイスを

少々突飛な響きがするかもしれないが、ネタニヤフ首相の悩みを解決するためには「神のアドバイスが不可欠だ」という結論に達したので、今回のコラムのタイトルとなった。 奇妙なことだが、ネタニヤフ首相はロシアのプーチン大統領以上に欧州では嫌われ者になっている感がある。理由はガザのパレスチナの人々の惨状がここにきて度を越してきたからだ。連日,飢餓に苦しむパレスチナの人々が食糧配布所に鍋を持参して殺到する姿がニュースで放映されている。それを見るだけでも辛い。そしてその非人道的な状況を生み出したのはイスラエルのネタニヤフ首相の頑迷な「ハマス壊滅」政策にあるということから、同首相は国内外から批判され、糾弾されている。

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「合理的配慮」義務化(2)

II  合理的配慮の提供とは   p6〜p12 ● 日常生活・社会生活において提供されている設備やサービス等については、障害のない人は簡単に利用できても、障害のある人にとっては利用が難しく、結果として障害のある人の活動などが制限されてしまう場合があります。 ● このような場合には、障害のある人の活動などを制限しているバリアを取り除く必要があります。このため、障害者差別解消法では、行政機関等や事業者に対して、障害のある人に対する「合理的配慮」の提供を求めています。

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「低い自己肯定感、不幸でなくても不利で不便(3)」

〈最も自己肯定感の低い職業は?〉  今日で最終回。師によれば、最も自己肯定感の低い職業は看護師とのこと。その理由は「完璧で当然だから」。つまり、完璧が当然で、そうでないと患者から責められるからです。100点が当然で、そうでなければ、まるで0点かのような評価も。それは、保育士も同様で、100点に満たない減点分は、保護者からのクレームとなって、返ってきます。

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「法律の骨格と骨粗鬆症」

憲法記念日にちなんで 五月三日は憲法記念日、昭和二十二年同日の日本国憲法施行を記念し国の成長を期する祝日とされている。 日本における憲法という名称は、古くは日本書紀に十七条憲法がある。十七条憲法は西暦六〇四年に制定されたとされ、一二一五年のマグナカルタよりも古い。マグナカルタは日本国憲法のような成文憲法ではないが、英国では現在も有効のようだ。十七条憲法は「以和為貴」で始まる。第二条に「篤敬三寳」とあり仏法を尊重している。主に貴族や官僚に対して道徳的な規範を示したもので、現代的な意味の憲法とは異なっている。国の基本法で古いものとしては七〇一年の大宝律令がある。この方が日本書紀編纂よりも古い。また「聖徳太子が十七条憲法を制定した」ということは最近一部疑問視もされている。

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巨大なきっかけ 

Monmo 2011年初夏号 巻頭メッセージ ふとしたことから、人は大きく変化することがある。たとえば誰かの死。これは一番大きい。我々僧侶としては、それだけでなく、年忌の法事なども大きなきっかけになると信じている。竹が節からしか枝を出さないように、新たな枝は新たな節目から出るはずである。

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キリストの復活の意味と力

「キリストは、聖書にしるされているとおり、わたしたちの罪のために死んだ。また聖書にしるされているとおり、葬られ、三日目に復活した。ケファに現れ、次に十二使徒に現れた」(1コリント15,3b-5)。 教会は使徒信条において、「主は、死んで三日目に死者のうちから復活した」宣言している。そして、『カトリック教会のカテキズム』は、この「イエスの復活は、キリストにおけるわたしたちの信仰の頂点である」(n.638)と明言し、「救済史における主の復活の意味と効力」について次のように教えている。

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「自己実現」と「神実現」

  1. 自己実現の道 最近、大学同期の仲間から、日本経済新聞に連載された記事をまとめた「私の履歴書」という本が贈られてきた。彼とは同じ法律クラブに所属していたこともあり、卒業後も個人的に親しくしてきた間柄である。同期の中でも特に優秀であり、人柄も誠実、円満で、誰からも好感を持たれていた。官界、政界、財界で用いられ、日本国に大いに貢献してきた。若い頃から歴代の首相にかわいがられて重宝された存在でもある。

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2050年の日本は?

人間学を学ぶ月刊誌「致知」2月号のテーマは「2050年の未来を考える」だ。哲学者森信三師(1896~1992)の「2025年日本は再び蘇る兆しを見せるであろう。2050年、列強は日本の底力を認めざるを得なくなるであろう」との言葉を受けての特集だ。今の十代の世代が社会の中枢を担う年に、日本を森信三師の言うような大国にするためには、今社会の中枢を担っている我々は何をしなければならないのか?各界の方々が論を貼っておられるが、今2025年、25年後の2050年日本は蘇るとの確信と言うよりも今の日本の課題を述べられている。総じて皆さんは、日本の美質、若手の能力、食料自給率、国土強靭化、AIなど技術力、安全保障などの問題について指摘されながら、それぞれの問題が2050年までに世界から尊敬され、リードする日本に回帰できるまでに回復できるかに関しては明言されてはいない。

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人間の尊厳と影のある権力者たち

簡単に言えば、「政治」とは国の統治のあり方を指し、「政治家」とは人間社会を適切に管理するために選ばれた人々のことを指します。しかし、今日ほど政治や政治家が否定的に見られている時代はかつてありませんでした。多くの人々は、現在世界で起こっているあらゆる問題の責任が政治家にあると考えています。こうした否定的な見方のため、多くの人々は政治に関わりたがらなくなっています。テレビのニュースを見たり新聞を読んだりすることを避けるのも、その内容があまりにネガティブで憂鬱だからです。特に若者の間ではこの傾向が顕著で、投票に対してさえ冷ややかな態度をとる人が増えています。

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「低い自己肯定感、不幸でなくても不利で不便(2)~伴侶選択」

〈伴侶選択に影響〉  特に日本のクリスチャン女性は悲しい程、自己肯定感が低いです。真面目さが完璧主義につながり、マイナスに作用している面もあるように感じています。伴侶選択を見ていると、二極化しているように観察します。

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様々な筋目の年が重なった「復活祭」

4月20日はキリスト教会の最大の祝日、イエスが十字架上で亡くなって3日後に蘇ったことを祝う復活祭(イースター)だった。先月23日に退院したばかりで、健康状態が依然回復していないフランシスコ教皇(88)が復活祭で主礼を果たすか否かは20日の朝まで分からなかった。バチカンニュースによると、フランシスコ教皇は20日早朝(現地時間)、ローマ訪問中のバンス米副大統領(カトリック信者)と会見している。

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