まずはこちらの映像をご覧ください (添付1枚目)。
接種会場で異変が発生しているにもかかわらず、多くの人がその場を離れず、順番を待ち続けている。
今あらためて見返すと、何とも不思議な光景です。
もし目の前で事故や体調不良者が発生したなら、不安になってその場を離れる人がいても不思議ではありません。
ところが当時は違いました。
なぜ人々は並び続けたのでしょうか。
考えられる理由はいくつかあります。
① 「自分だけは大丈夫」という正常性バイアス
目の前で異変が起きても、
「たまたまだろう」 「自分には関係ない」
と考え、危険性を過小評価してしまう心理です。
人は予想外の現実ほど簡単には受け入れられません。
② 多数派への同調心理
周囲の誰も列を離れない。
スタッフも接種を続けている。
そんな状況では、
「みんな受けているのだから大丈夫だろう」
と考えやすくなります。
集団の行動は、ときに個人の判断を上書きします。
③ 「ここまで来たのだから」という心理
予約を取り、会場まで足を運び、長時間待つ。
そこまで費やした時間や労力が大きいほど、
「今さらやめるのもなあ……」
という気持ちになります。
人は自分の選択を否定したくない生き物でもあります。
こうした現象は海外でも確認できます(添付2枚目~)
当時は感染への恐怖と、ワクチンへの期待が世界を覆っていました。
専門家や著名人による接種推奨もあり、多くの人が接種へと向かったのです。
しかし日本では、「思いやりワクチン」という道徳的なメッセージが人々を包み込み、こうした映像が広く共有されることもありませんでした。
人は情報によって動かされます。
そして同じように、情報が与えられなければ動くこともできません。
諸外国よりワクチン離れが遅れた背景には、そんな日本特有の事情もあったのではないでしょうか。
「自分だけは大丈夫」
問題は、その心理そのものではありません。
人がどれほど容易に空気に従い、情報に左右される存在なのか。
あの日の映像は、その事実を私たちに突きつけています。
以上、単なる過去の記録ではなく、二度と同じ過ちを繰り返さないための
貴重な『教訓の遺物』として取り上げました。
Katsuhiko Hashimoto (ハシモト カツヒコ)
薬剤師
Copyright © 2026年10月21日
メッセージで掲載許可取得 2026年4月29日