日本 プロライフ ムーブメント

【意見】 染色体差別を危惧する

読者の皆様は令和7年度 母子保健対策関係予算概算要求の概要に出生前検査を進める予算が組み込まれていることをご存知でしょうか。これは2023年度から予算化されて「ダウン症の生命の選別排除を目的とした出生前診断」を全妊婦に周知させるという政策です。具体的には妊婦が母子手帳をもらいに保健所や保健センターに来た際に、保健師の方が母子に関する情報提供を行う一環で、胎児の障害や奇形などに関するパンフレットを渡して出生前検査のことを説明しています。このパンフレットを見てホームページに誘導するQRコードなどもありますが、妊婦が不安を増大することになります。

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日本の悲しい顔

高齢化が急速に進む日本ですが、今年「敬老の日」を前に総務省が人口動態調査を発表した。それによると、日本の高齢者数は2023年9月から2万人急増し、3625万人となった!その主な理由は過疎化だと言われます。 1億2800万人をピークに1億2500万人まで減少した日本の人口は、さらに減少する可能性があると思います。この傾向の背景には少子化があり、おそらく日本が今直面している最大の危機であります。政府はこの問題に取り組むための対策を講じたかもしれないが、より多くの若者が独身を選んだり、たとえ結婚したとしても、仕事の見通しが立たない、生活費がかかる、社会通念などから子供を持つことに消極的になっていると思います。若い世代は自立したライフスタイルを好み、一人でいることを好むようだが、これは、伝統的に集団志向の強いこの国にとって大きな変化であります。

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金子みすずの世界

昨夜のNHK総合夜10時からの「歴史秘話ヒストリア」を見ました。例の「こだまでしょうか」の詩の作者「金子みすず(1903~1930)」がテーマでした。 小さい頃からの苦労の連続にもかかわらず、ある時は「魚」の気持ちになって、ある時は「雪」の気持ちになって、素直にいろんな視点で詠った言霊に、西条八十(青い山脈など作詞家)も天才と称賛!当時は「童謡詩人会」には与謝野晶子と金子みすずの二人だけしか女性はいなかったそうで、東京に出て行けば、もっと活躍の場があり、もっと有名な詩人になっていたと思われるが、故郷(山口県仙崎)に留まったそうだ。弟の熱意もあって、やっと昭和の最後(1984)になって全集が発行され瞬く間に「金子みすず」の名が広まった。この番組でもいろんな詩が紹介されましたが、「こだまでしょうか」の詩は、仕事を失い、遊郭で遊びまくる夫との確執で、離婚寸前の状態の中で生まれた詩だったとか。夫を変えたい、いつか変ってくれると信じて我慢していた頃、夫の厳しい言葉に、厳しい言葉で返さず、優しい言葉で返せば、いつかは優しい言葉が返ってくると思ったのでしょう。その心情が

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司教の手紙 ㉚ 平和の源としての兄弟愛

教区の皆さま、お元気でしょうか。前回、家族の中の親子関係について考察しましたので、今回は兄弟関係についてお話したいと思います。 兄弟関係とは、基本的には血縁による繋がりです。しかし平等ではありません。同じ親から生まれた間柄ですが、年齢差、能力差、健康・不健康の差などを見るとそう言えます。それでも、両親はいろんな意味で不平等な子供たちをできるだけ公平に愛そうと努めます。

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免疫学者ファウチ博士の予防恩赦に反対

 バイデン米大統領は20日、退任直前にトランプ現大統領の政敵と見られる人物に対して予防的恩赦を与えた。恩赦を受けた人物は、免疫学者アンソニー・ファウチ博士、トランプ氏の元統合参謀本部議長マーク・ミリー氏のほか、議会襲撃事件の調査委員会の全メンバーが含まれていた(その中には、リズ・チェイニー元下院議員やアダム・シフ元下院議員が入っている)。調査委員会は、米議会議事堂が襲撃された事件の背景や責任者の役割を調査するために設置されもので、トランプ氏の事件との関与などが調査された。

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恐れることなく、イエスの招きにこたえよう

(ルカ5:1-11) 今週の「漁師を弟子にする」という物語は、中田神父にとって非常に慰めになります。私が小学生の頃、漁師は「危険で、きつい仕事」の代表格でした。同時に、中学を卒業して手っ取り早くお金を稼ぐのに「もってこい」の仕事でした。それは裏を返すと、「勉強ができない人が行き着く仕事」というイメージでした。

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子どもたちに対する戦争:体外受精 — 70〜75パーセントの子どもが生き残れない(パート14)

(この記事は、「子どもたちへの戦争」を引き起こしている大人の強迫観念を明らかにするノボトニー 神父による継続中のシリーズの一部です。) 体外受精(IVF)の技術を使って何百万人もの赤ちゃんがこの世に誕生しています。この方法で夫婦が切実に望んでいる子どもを提供することができるのです。そして、多くの尊い新しいいのちを誕生させ、何百万人もの親に本当の幸せをもたらしました。そのため、現在、多くの人々は体外受精を不妊症の解決策と考えています。しかし、そうではありません。最初の体外受精児であるルイーズ・ブラウンが誕生して以来、多くの問題が表面化しています。これらの問題は、生殖補助医療(ART)ビジネスに見出すことができます。

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司教の手紙 ㉙ 家族の中の親子関係

教区の皆さま、お元気でしょうか。今回は家族の中の親子関係についてお話したいと思います。 一組の男女が結婚して夫婦になります。その夫婦に子どもが生まれるとその子どもに対して、夫婦は親になります。つまり、夫婦に親としての新しい使命と責任(法律上の権利と義務)が生じるわけです。そうすると、親は子どもに対して、自分は親である、というよりも、親になったという方が正確な表現であります。

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「食べられない病気」盂蘭盆会と餓鬼道

盂蘭盆会と餓鬼道 八月には月遅れのお盆があり、日本民族大移動の月だ。お盆(盂蘭盆会)は立秋過ぎ旧暦七月十五日を中心とした行事だった。しかし明治五年の改暦でグレゴリオ暦が採用された結果、七月十五日は満月ではなくなり、かつ梅雨の時期にずれてしまった。明治新政府のお膝元である東京近辺では改暦に従ってお盆も新暦で行われた。しかし他の地域では旧暦のまま、あるいは月遅れで行うようになった。照明が発達して盆踊りに月明かりの必要性も無くなって、現在では東京以外の大部分の地域で月遅れのお盆が行われている。

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日本被団協:ノーベル平和賞受賞おめでとう!

12月10日オスロでノーベル平和賞の授賞式が行われました。そのスピーチを被団協代表委員の田中熙巳さんがされました。田中さんは92歳のお年です。渡航の2週間ほど前まで体調を崩し、その中で強い重圧を感じながら原稿を書きあげられたとのことでした。田中さんは中学1年の時原爆で被災された当時のことを生々しく述べられるとともに、原稿にない日本政府の在り方(被爆者への保障問題)に対しても言及され、いろんな面で世界に衝撃と共感を与えられた。

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司教の手紙 ㉘ 社会の最小共同体としての家庭

教区の皆さま、お元気でしょうか。今回も家庭についてお話したいと思います。 家庭は「社会の細胞」⇒ 教会の伝統的考え 教会は伝統的に家庭を「社会の細胞」という風に理解しています。その訳は、多くの家庭が同じ問題を抱えているとそれは社会問題に発展するし、社会に問題が起こるとそれは家庭にダメージを与えるということになるからです。例えば、家庭内暴力が多発すると、それは社会問題化とし、自然災害や戦争勃発、また経済不況などでも家庭はダメージを受けます。このように身体とその細胞の関係のように、両者は密接につながっているという理解です。それにはともに共同体であるという共通認識があります。

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司教の手紙 ㉗ 聖母月に寄せて — 神の望まれる家庭像

教区の皆さま、お元気でしょうか。今回は「聖母月に寄せて―神の望まれる家庭像―」についてお話ししたいと思います。 聖ヨゼフ年に相応しい「家庭」の考察 ご存じのように今年は、聖ヨゼフ年に指定されています。ヨゼフさまといえばマリアさまということで、この5月に夫婦によって始まる家庭について考察することは相応しいことだと思います。

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世界に「NO」と言える、 世界に「LIFE YES !」と言える日本に

今年2月、週刊文春のスクープ記事がYahoo!のニューストピックにあがっていた。それは、違法中絶をおこなっていた疑いのある産科クリニックを告発したものだ。現行、日本では妊娠22週以降の中絶は違法となるが、そのクリニックでは、違法であることをわかりながらそれ以降の中絶手術をしばしば手がけていたというのである。妊娠34週での中絶事例もあったという元スタッフの証言もある。もちろん記者が現場の関係者を取材した上での、事実をもとにした記事であろう。商業誌ゆえに「違法中絶横行」という見出しで読者を煽ろうとする意図はうかがえるが、とくに踏み込んだ内容ではない。その意味でPro-Lifeに傾いている訳でもPro-Choice(中絶推進)を支持する訳でもなく、中絶という行為そのものについて週刊誌は何も責任をとろうとはしない。そうであるがゆえに、日本最大のコミュニティサイトであるYahoo!でニュースとなったこの記事は、妊娠22週以降の中絶という行為をめぐって受け手がどんな反応をするのかを知る恰好の題材である。

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広島平和宣言【令和6年(2024年)】

皆さん、自国の安全保障のためには核戦力の強化が必要だという考え方をどう思われますか。また、他国より優位に立ち続けるために繰り広げられている軍備拡大競争についてどう思いますか。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエル・パレスチナ情勢の悪化により、罪もない多くの人々の命や日常生活が奪われています。こうした世界情勢は、国家間の疑心暗鬼をますます深め、世論において、国際問題を解決するためには拒否すべき武力に頼らざるを得ないという考えが強まっていないでしょうか。こうした状況の中で市民社会の安全・安心を保つことができますか。不可能ではないでしょうか。

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【緊急声明】

新型コロナウイルス感染症予防接種に導入されるレプリコンワクチンへの懸念 〜 自分と周りの人々のために 要約 一般社団法人日本看護倫理学会は、次世代型 mRNA ワクチンとして、世界で唯一日本のみで認可され、2024 年 10 月 1 日から定期接種を開始するとされている自己増幅型 mRNAワクチン(レプリコンワクチン)の安全性および倫理性に関する懸念を表明します。

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長崎平和宣言  2024年

長 崎 平 和 宣 言   原爆を作る人々よ!しばし手を休め 眼をとじ給え昭和二十年八月九日!あなた方が作った 原爆で幾万の尊い生命が奪われ家 財産が一瞬にして無に帰し平和な家庭が破壊しつくされたのだ残された者は無から起ち上がらねばならぬ血みどろな生活への苦しい道と明日をも知れぬ”原子病″の不安とそして肉親を失った無限の悲しみがいついつまでも尾をひいて行く

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見よ、ナワリヌイ・ラインを!!

ロシアの著名な反体制派活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏の追悼式とミサが1日、モスクワ南東部の教会で行われ、その後、近郊のボリソフ墓地で埋葬された。外電によると、ロシア当局はナワリヌイ氏の追悼式会場の教会や墓地周辺の広範囲を封鎖し、開始の数時間前には通行人をチェック、インターネットを遮断した。にもかかわらず、ドイツ民間ニュース専門局ntvによると、数千人の国民が追悼式と葬儀に参加し、教会まで2キロ余りの参加者のラインが出来たという。

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信念の人!杉原千畝

昨日25日日曜日10時からのテレ朝「Sundayフロントライン(メインキャスター小宮悦子)」の特集で、本田宗一郎、松下幸之助、土光敏夫、後藤田正晴(三宅島大噴火の際の決断)などの方々と一緒に「杉原千畝」氏が最も時間をかけて紹介されていた。 今回の東日本大震災でいち早くイスラエルが医療機器、医療薬と共に約60人の医療団を南三陸市などに送りこんでくれました。その理由が、ヒトラーのユダヤ人大虐殺当時、リトアニアの領事館にいた外務官杉原千畝氏(1900-1986)がユダヤ人6000人を救ったそのお礼だそうだ。

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司教の手紙 ㊵ 「いのちの福音」について

教区の皆さま、お元気でしょうか。 今月は聖ヨハネ・パウロ2世教皇の回勅「いのちの福音」の内容についてお話いたします。 聖ヨハネ・パウロⅡ教皇回勅「いのちの福音」 1995年に発布されたこの回勅は、声も出せない弱い立場に置かれている人間のいのちに関するものです。具体的には、人工妊娠中絶で葬りさられる胎児や自らの意志を提示できず、他者の手に委ねられる末期患者のいのちが、合法的に容認される社会ができつつあることへの警告を発する内容になっています。この主題を取り上げたのは、二つの理由があります。一つは日本の事情で、2000年7月13日、「優生保護法」が改訂され、「母体保護法」として、再施行されたことと、もう一つは、アメリカの事情で、今秋の大統領中間選挙の争点になっている、各州の人工妊娠中絶法の是非です。

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真理:カトリック教会とLGBTQ+

「真理はあなたがたを自由なものとするだろう」(ヨハネによる福音書 8:32)とイエスは約束された。 若い頃、私はアメリカのミネソタ州の農場に住んでいた。農夫なら誰でも言うだろうが、農作業で最も困難なことのひとつは、種を受け入れるための土づくりである。掘り起こし、移動させる必要のある木や潅木、岩石を取り除き、土地を整地するのは大変な作業だ。土が整ったら、肥料を与え、生育に必要な十分な栄養素があることを必ず確かめなければならない。最後に、土壌に十分な灌漑を施さなければならない。そうして初めて、植える種を支える土壌の準備が整うのだ。

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子どもたちに対する戦争: ダウン症ジェノサイド – 90%が殺害された(パート13)

(この記事は、「子どもたちへの戦争」を引き起こしている大人の強迫観念を明らかにするノボトニー 神父による継続中のシリーズの一部です。) テレビでニュースを見たり、朝刊を開いたりするたびに、毎日世界中で、人と人との憎しみがもたらす影響を目にする。暴力は家庭、職場、公共機関、学校、医療施設、そして街頭で起こる。それは実に多くの無意味な形で起こり、女性や子どもたちがしばしば犠牲となる。私たちはまた、戦争状態にある世界の多くの場所で、暴力と憎悪がもたらす壊滅的な影響を目の当たりにしている。その典型的な例がウクライナだ。かつては家族を養い、生計を立てていた人々がいた場所には、焼け落ちた家や事業の灰しかない。私たち人間は怒りに満ちて、その過程で誰を破壊しようとも気にしなくなることがある。この世で起こるすべての破壊は、人間の心の中に潜む罪という一つの源を持っている。私たちは他人を非難したくなるかもしれない。世界の不幸を政府やその他の組織のせいにするかもしれない。しかし、結局のところ、憎しみと暴力は、神と神の愛を拒絶する人間の心から生じている。

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vol.423 許せない苦しみがあなたをやさしくする

「傷つけた方と傷つけられた人どっちが悪い?」聞かれたらきっと多くの方は「傷つけた方だ」と言うと思います。でも日々カウンセリングをしていると、傷ついた人への風当たりは結構強いなあと思うんです。 機能不全の家庭で育った痛みをもつ人が自分の親について語ると「親を悪く言うべきじゃない」「甘えてる」という言葉に再び傷つくことが多いからです。

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2023年幼子イエスさまはどこにおられるの?

今年もこの季節がやってきた。クリスマスだ。パンデミック(感染爆発)、地上の軍備増強、独裁者の人権抑圧、生まれている子どもと生まれてくる子どもへの戦争、トランスジェンダー男性が女性スポーツを乗っ取ること、日々のフェイクニュースなど、朝刊の見出しを見ればこれらのニュースは星の数ほどある。そして2023年のクリスマスは、確かに祝日としては到来した。しかし、今日の問題だらけの世界に欠けているものは何だろう?簡単に言えば、クリスマスが欠けている。キリストが欠如しているのに、12月25日を祝えるはずがない。私たちはキリストなしでクリスマスを祝おうと主張している。それは、あなたのいないあなたの誕生日を祝うようなものだ。

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「いのちだいじに」ーいのちの行進  #5

待降節前日は産まれる前の子どものために祈る土曜日ベネディクト16世の呼びかけに応えて その日を「The Unborn Saturday 〜 産まれる前の子どものための土曜日」にしましょうー2010年、前教皇ベネディクト16世は、全世界の教会に向かって、そう呼びかけられました。教皇ベネディクトは昨年12月に帰天されましたが、日本のマーチは今年、その尊い呼びかけにこたえます。夏につづいて12月2日土曜日に、ふたたび「いのちの行進」をおこないます。御子の誕生を待ち望む日々を迎える前に、産まれる前のすべての子どもの霊魂のために祈ります。産まれる前の胎児のために祈る。産まれることができなかった胎児のために祈る。冷凍保存されている胚のために祈る。冷凍庫から棄てられた胚のために祈る。プロライフにとってとても大事な日になるにちがいありません。黙想し、ミサを捧げ、そして行進します。新しいマーチが始まる日本のプロライフが集まる場所は、調布のサレジオ神学院です。

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「排除される胚の立場を考える」産婦人科医・久具宏司さんとの対話

「ダイアログフォーライフ」第1回 着床前診断が事実上解禁となった今、誰よりもこの本の著者に会いたいと思った。本のタイトルは『近未来の<子づくり>を考える〜不妊治療のゆくえ』(春秋社)で、その著者が久具宏司(くぐ・こうじ)さん。体外受精の導入期から30年以上の長きにわたって不妊治療に携わってきた産婦人科の医師である。不妊治療(あるいは生殖医療)の現場で個々の患者と向き合ってきた経験と肌感覚が書かせた渾身の書き下ろしである。無自覚に、ただ資本の欲望のままに、坂を転げ落ちるように突き進む社会の未来に警鐘を鳴らす。欲しいときに欲しいこどもを計画的に作り出す「デザイナーベビー」が当たり前になる時代がすぐそこまで来ている。これは本当にわたしたちが望むゆたかな未来の姿なのだろうか?

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