「人口爆発」の時代 20世紀の特徴のひとつが「人口爆発」の時代だということはよく知られたことです。人類はそのあゆみとともに人口を増加させてきました。その歴史をふりかえると、瞬間的に激減したこともありますが、基本的に増えつづけてきたのです。人口の増加は、食糧・エネルギーの需要を増加させ、そのバランスが崩れるとき、その文明は亡びることにもなりました。文明の興亡を決める一つの要素が人口の増加ということでした。しかし、長い歴史を見渡した時、人口が増え続けたといってもごく限られたものでした。局面が大きく変わったのが産業革命でした。産業革命後、人口は急速に増えはじめ、それとともに食糧・エネルギー問題もあらたな段階を迎えました。この流れをうけた20世紀は、ポール・エーリック『人口爆発』が象徴するように、「人口爆発」の時代であったのです。世界の人口の推移の推移をみると、20世紀のはじまりは16億人、1950年は25億人、20世紀末は63億人、そして、いまや約78億人に達しています。世界の人口は、このままいくと、近い将来90億を超えるのでは、と見込まれています。英エコノミスト編集部『2050年の世界』によると、とくに人口増が目立つのはインド、アフリカなどだといわれています。これに対し、先進国は停滞傾向、高齢化傾向がみられるとのことです。 各種の近未来予測が出されていますが、当分、世界の人口が増えるという点では一致していますが、人口増がいつまで続くのかとなると、見通しが分かれるようです。最近、日本語訳が出たダリル・ブリッカーらの『2050年世界人口大減少』などは、書名のとおり、2050年くらいになると世界人口は減り始め、もとにはもどらなくなる、その予兆的な動きはすでに各地でみられる、と指摘しています。このような人口増加(減少)と環境問題がどのような関わりをもつのか、さまざまな角度から考えてみる必要がありそうです。
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