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「経口中絶薬」の危険性   

令和3年12月に経口中絶薬の日本での製造販売の承認申請が行われました。
中絶がこの薬剤によって行われる場合は、「ミフェプリストン」(別名RU-486)と「ミソプロストール」という2種類の物質を順番に服用することで行われます。

「ミフェプリストン」は女性の脳中枢の下垂体に影響を与え、黄体ホルモン作用を阻害し、子宮内膜を非妊娠状態とさせてしまう為、胎児や着床している胚への栄養が絶たれ、子宮内で餓死させられいのちを絶たれてしまいます。二日後に子宮収縮剤の「ミソプロストール」を投与して死滅した胎児及び胎嚢と血塊を排出させて中絶が行われます。大量の出血等の重篤な副作用や外科的掻把手術の追加が必要な例もあります。多くのケースで2週間近く強い腹痛と嘔気が認められ、膣からの出血は更に長期間続く事もあり、30日以上の遷延出血が8%も起こっています。時に止血手術を要する大量出血や死に至る敗血症など全身の重篤な感染症も引き起こします。また子宮内容物の排出が不完全で、外科的に掻把手術が必要になるケースが、日本の治験でも数%発生しています。

米国FDAの報告では、2021年6月30日現在、2000年9月に製品が承認されて以来、ミフェプリストンに関連して子宮外妊娠や重篤な全身感染(敗血症とも呼ばれる)によって26人の女性の死亡が報告されています。

経口中絶薬による中絶は、自宅で女性自身によって行われる為に、緊急時にも医師の治療が受けらず大変危険です。また服用前には最終月経から49日以内かの確認、子宮外妊娠、子宮内避妊具使用、副腎障害、ステロイド薬使用、抗凝血剤使用の有無等を、超音波検査も含めて複数回産婦人科に通院して厳重にチェックする必要があり、怠ると死に至る危険すらあります。

胎児や血塊の排出後も、残遺物の有無確認の為、胎児の死骸等を女性自身が医師に持参し、チェックを受ける必要があります。その後も敗血症を防ぐ為に血液検査を受ける必要もあります。経口中絶薬の使用は、吸引法中絶手術よりも、母体の危険も苦痛もはるかに大きいのです。

勿論中絶行為は、手術によるものであれ薬剤によるものであれ、妊娠の継続が母体の死を招く場合のみに限定されるべきものであって、宿った幼い命の生きる権利は、最優先で守る必要がある事が忘れられてはならないのです。

令和3年7月に厚生労働省から経口中絶薬の適応期間でもある妊娠早期においては、従来から行われている掻把による中絶手術から、合併症がはるかに少ない吸引法へ切り替えるようにとの指導文書が出されています。それにもかかわらず、女性に長期の苦痛と時に死の危険をもたらす経口中絶薬を認可する事は、時代に逆行して医学的な面から見ても女性の心身の健康をより損なう事になると思います。

Hirata Kunio(ヒラタ クニオ)
平田國夫
医学博士
2022年1月25日掲載許可取得日

2022年3月24日改訂