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HIV⁄AIDS

HIV⁄AIDSは50年以上前にアフリカで最初に発見されました。当時は、悪液質が進行したもの、繰り返される伝染、致命的な結末という理由で「痩身病」と言われていました。この病気は、ちょっとした伝染病が発生した1981年にアメリカで最初に認められました。その時には、アメリカやハイチに住んでいる多数の男性同性愛者がカリニ肺炎にかかったことが確認され、その中には、皮膚の表面や内臓に多数の血管腫瘍瘤ができるカポジ肉腫を起こしている人も多くいました。この症候群は、麻薬常習者にも認められました。1983年にこのウイルスは分離され、レンチウイルス亜科に属するレトロウイルスであると確認されました。現在ではたくさんの異なった種類が確認されていて、このことによって、その病気のすべての症例を確実に発見することをかなり困難なものにしています。抗体検査が初めて開発されたのは1985年でした。

ウイルスに感染すると、ウイルス血症を起こし、熱、リンパ腺の腫張、全身の発疹の症状が発生します。約1ヶ月以内に、血液中に抗体を発見することができるので、ウイルスのDNAに対する最近の科学的研究のおかげで、より早期に感染の有無を発見することが現在可能になりつつあります。感染によって免疫不全が起こります。つまり感染に反応する能力が衰え、それが「後天的免疫不全症候群」の頭文字である「AIDSエイズ」という名前の所以の説明となっています。リンパ器官へのウイルスの伝染は、慢性的感染の定着の重要な要因です。CD4陽性T細胞と単核細胞直系の細胞は感染の最大の標的です。セカンドレセプター分子と一緒にCD4分子を持ったほとんどすべての細胞がHIVに感染する可能性があります。実際、抗体検査が陽性であることは別として、HIV感染の合併症の存在を示す証拠が他に何もなくても、CD4陽性T細胞数が200/ul 以下になった患者は真性のエイズなったと判定されます。

カリニ肺炎、結核、菌類の感染、鷲口蒼、クリブトスポリジア症、帯状庖疹などの発症によってエイズと診断されます。エイズの広がりが原因として起こる肺結核の増加によって、HIVに感染していない人々の間にも結核がより一般的なものになりました。現在カポジ肉腫はアメリカで最初に確認されたときほど一般的ではないので、この病気は他の性感染の合併症かもしれないと考えられています。HIV感染がエイズ発症によって明らかになるのに平均10年かかります。

1969年5月の「世界エイズデー会議」では、その前年に40万人の子どもを含む310万人が新たにHIVに感染したと報告されました。世界で3千万人がエイズに感染し、すでに650万人が死亡したと推定されています。その病気は今では地球規模の病気となり、感染者の数は2000年には4千万人から1億人になるだろうとさまざまな予測がなされています。エイズの発症がHIV感染の増加よりは遅れたため、間違った安心感が感染者の多くに広まることとなりました。このウイルスは通常の人と人との接触ではうつりません。たとえウイルスが唾液の中にあっても、キスによってウイルスが感染する可能性は極めて少ないのです。サハラ以南アフリカにおいては、毎週新たに5,000人がHIVに感染していると現在報告されています。主な感染源は、血液、精液、子宮及び膣液、母乳での感染です。

ウイルスに汚染された注射針は、注射針や注射器の使い回しをする可能性のある麻薬常習者の間でのウイルスの伝染の主要な原因となっています。オーストラリアでは、感染した母親から子への感染は、予定日を迎える何週間も前にAZT(ジドブダイン)のような抗ウイルス剤の注射による母親に対する集中的な治療や、帝王切開による出産や、初乳や母乳の授乳を避け6週間AZTの経口投与による赤ん坊の治療によって、ほとんど排除することができています。このことによって、子どもへの感染率は30%から20%へ滅少しました。

ウイルスは同性愛者や異性愛者の関係、特に前者の関係によって伝染します。そして、そのウイルスの伝染は他に性感染症があればより助長されます。活発な同性愛者が多くいる場所以外では、この病気の発症率は男性も女性もほぼ同じです。同性愛者が恒常化しているところでは、この病気の発症率の男女比は8:2から9:1にまで増加します。注射器や注射針の使い回しをしている麻薬常習者の多いところでは、男性対女性の比率は1:1のままです。

オーストラリアやアメリカでは最新の抗ウイルス剤の使用によって、短期での死亡率が93%減少し、エイズに関連する病気が83%減り、病院の入院が60%減少しました。残念ながら貧しい国々では最も有効な抗ウイルス剤はどれ一つとして広く利用されていません。たとえばタンザニアやルワンダやモザンビークでは、病院での入院日数の80%はHIV関連のものです。オーストラリアでは「赤十字血液銀行」が提供したすべての血液の入念な検査によって、血液製剤の輸血による感染を100万分の1に減少させました。感染した血液による伝染の以外の危険性は、注射針や注射器の使い回しをやめること、そしてすべての外科処置と歯の治療の際には、ちょっとした処置の場合でも、注意深く消毒と殺菌を励行することで取り除かれます。

性的行為による感染に関しては、一般社会では、3つの防御策が提案されています。

  1. すべての性的行為を避けること
  2. 性的行為を感染していない二人の人間の間の一夫一婦の関係に制限すること、二人の人間が、他人との性的行為をお互いに正直に話すことができる関係に制限すること
  3. すべての性的接触の際、注意深く正しくコンドームを使用すること

しかし、上の2つとは異なった3番目に関して、コンドームの使用は性交の際のエイズウイルスの感染を確実に防ぐものではありません。エイズはウイルスによって引き起こされる致命的な病気であることを理解することが重要です。しかしながら、エイズという伝染病はウイルスだけでなく、性的乱交、つまり複数の相手と性的行為をすることによる付随的影響によっても引き起こされます。その病気は広がり続け、その広がりはコンドームが信頼できる防御手段だと教える教育計画の結果として、人々が間違った安全意識を得るかぎり続いていくでしょう。人々が自らをエイズウイルス感染の危険にさらす生活様式を続ける原因となり、正確な情報を与えられていればそういうふうにはしなかったであろう生活様式に他の人々を誘い込んでいるのはそのような種類の無責任な教育なのです。

信頼できる科学的研究によって、コンドームの使用方法に関して使用説明書に注意深く従い、性交のたびにコンドームを使用しているにもかかわらず、エイズウイルスは伝染することが証明されています。唯一観察された統計上の効果は、感染の速度が遅くなるということです。したがって、常に説明書通りにコンドームを使用してきた人々も最終的には同じ感染のレベルに達するのです。

コンドームはエイズウイルスの感染に対して有効な防御の手段であるという神話を間違って受け入れるように奨めることは、乱交や多数の相手との関係を奨励することになります。簡単に言うと、コンドームに対する信頼を助長するような勧めや誤解を招く言葉は、エイズという病気を流行らせた張本人に治療させることに等しく、最終的に真実や常識が広まるまで伝染し続けることになるでしょう。コンドームの使用は性感染症に対する効果的な防御の手段であると人々に信じさせることが、ますます性に無責任な生活様式を助長することになり、その結果、多くの人びと、しばしば若年層の大多数が、使用するにしても、コンドームをきちんと使わなくなるとういうことがしばしば理解されていないのです。ですから、コンドームの使用を勧めることは、最初から意図に反する結果をもたらすものなのです。

自然な家族計画法を教えることが積極的に計画されているときには、明らかに結果に違いが見られます。「ビリングス排卵法」の体に優しい方法は、二人の間の関係にすばらしい進展をもたらします。なぜなら、相手のために、性交せずに待つ時を寛容に受け入れることは、お互いに対する愛情が増し、それによって相手に忠実であり続けようとする気持ちになることを意味するからです。一人一人を護り、エイズという病気を止めるために必要な責任ある性的関係を本当に促進することができるのは、自然な家族計画法だけなのです。

ジョージア州アトランタの「伝染病センタ一」は、コンドームが確実な防御の手段とはならないことを証明する科学的な証拠を明確にしました。「米国カトリック司教会議」は「安全なセックス」としてコンドームを奨励することは真実に反することであると指摘したHIV感染を調査するための「米国大統領委員会」の報告書を引用しました。彼らはコンドームの使用は委員会の言うように「虚偽の安全意識を抱かせ、実際はエイズの広がりを助長するその場しのぎの手段」の一つだと述べました。この声明は、「米国カトリック司教会議」によって1989年11月に発行された、「思いやりと責任に対する使命:HIV/AIDS危機に対する反応」という文書の中に載せられました。

世界中の空港で一般的に見られるものとは対照的に、キリスト教国であるとは決して公言していないシンガポールの空港で、エイズ感染に関して、「気軽にセックスをするのはやめましょう。予防がエイズに対する唯一の治療法です。」と書いた大きな掲示が目につくことは興味深いことです。

常に覚えておかなければならないことは、どのようにして感染しようとも、キリスト教のエイズ患者に対する態度はいつも同じ、つまり思いやりと愛と可能な限りの最高の医療を提供することであるということです。

John Billings (ジョン・J・ビリングス博士)
英語原文より翻訳
Copyright ©2000
2002.9.5.許可を得て複製