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DARK法が可決された今、非GMO(遺伝子組み換え食品)に未来はあるのか?

こんにちは、責任ある科学技術研究所のジェフリー・スミス(Jeffrey Smith)です。今日は、先日可決された下院法案H.R.1599とGMO計画の将来について、 コメントしたいと思います。 

通常、私は戦略的な判断を公表していません。しかし今日は、いくつかの点について皆様にお伝えしたいと思っています。 

ご存知かもしれませんが、アメリカ合衆国下院で「DARK法」(「アメリカ人の知る権利を否定する法」) と通称されている法案が可決されました。この法案は、各州がGMOの表示を要求することができなくするものです。 DARK法が発効すれば、GMOの表示は義務ではなく任意となりますし、「自然」 を謳う食品にGMOが含まれるようになるでしょう。実質、この法案はモンサント社が作成したものなのです。 

この法案が下院で可決されたのは残念なことであり、それが失敗であることは間違いありません。とはいえ、 DARK法はまだ法として成立しておらず、上院での可決が必要です。 上院では議場での投票に回される可能性がありますが、 この法案はいつの間にか可決されることが決まっている一法案として扱われ、 結果としてDARK法は法として成立することになりかねません。 

ここで皆様と一緒に、それがどれほど深刻な事態であるかを検証したいと思います。DARK法の可決は、 非GMOという戦略の終わりを意味するのでしょうか?この問いに対する答えは、私たちはどのような活動をしており、 その活動はどのくらい成功しているのか、そしてその成果をどう評価すればいいのかといった事柄について、 判断する際の基準をどこに定めるかにかかっているのです。 

私は戦略家です。GMOの問題に取り組む前は、非営利・営利・政治機関で、戦略コンサルタントやコミュニケーション・ コンサルタントの仕事をしていました。ですからGMOの問題についても、戦略的な観点から考えたのです。私は、 GMOを排除するためのあらゆる方法について検討しました。私の関心は、GMOを封じ込めることにではなく、 それを排除することにあります。この問題の政治的側面について考えた時、数多くの不利な要素に気づきました。 

第一に、モンサント社とバイオテクノロジー産業が多大な権力を握っているのは政界ですが、 政治とは不安定なものであるという点です。私は、これまでに42ヵ国を訪問し、 GMOについてお話ししてきました。その経験から言えることは、解決の方向性が数ある中で、 政治的な解決がつねにもっとも持続性があるとは限らないということです。 

私は以前、ポーランド政府の招きでポーランドを訪れ、環境大臣と記者会見を行い、 非GMOを打ち出した当国の立場を称賛しました。しかし、その訪問の一週間後に成立した新政権は、 GMO推進の立場を取るものでした。また、タイのバンコクでは、圃場試験におけるGMOの屋外使用を禁止するよう、 省庁に働きかけました。実際にタイ政府は、これを禁止しました。ところがその1週間後に新政権が樹立されると、 GMOの屋外での圃場試験は再び許可されるようになりました。このように、政治とは不安定なものなのです。 DARK法が可決されたとしても、政情次第でその翌年には「可決されなかったことにする」という事態はあり得るのです 。 

では、政界の外に乗り出して勝利を収めるために、私たちには何ができるでしょうか?ヨーロッパに目を向けてみましょう 。消費者により示されたこの問題に対する懸念により、ヨーロッパではGMOは市場から排除されました。 私たちは転機を迎えたのです。皆様の多くは、これまでに私が転機について話してきたのをご存知でしょう。ここで、 より広い戦略的な文脈のなかでこの転機についてお話ししたいと思います。 

南アフリカへの訪問時、政府に直接働きかけたものの、 GMOに関する政策を変更するよう説得することはできませんでした。しかし、 私は南アフリカの主要な経済紙に取り上げられ、「遺伝子組み換えの飼料をヨーロッパ輸出向けの家畜に与えるのは、 馬鹿げている。なぜなら、ヨーロッパの小売業者の多くは、 遺伝子組み換えの家畜飼料を使用しないことを消費者に約束しているからだ」という主張が紹介されました。 私の帰国から3ヵ月後、政府は貿易への影響を見極めることを目的として、 GMOの家畜飼料の輸入を一時停止することを宣言しました。政府への直接的な働きかけは失敗に終わりましたが、 市場が政府を動かしたのです。 

似たような話があります。およそ10年前、南アフリカでウシ成長ホルモンの使用が認められました。(現在でも) 南アフリカでは、その使用が禁止されていません。しかし、私たちが行ったインタヴューがきっかけとなり、 国中のタブロイド紙がウシ成長ホルモンの発癌リスクについて書き立てました。「ホルモン一滴一滴に潜む癌」 と題した記事もありました。これを受け、怒りに駆られた手紙と電話が次々と届けられ、2つの主要な小売業者はすぐに「 当社はウシ成長ホルモンを使用しません。これまでも使用してきませんでしたし、これから使用することもありません」 という声明を出したのです。南アフリカの牛乳生産者組合も、成長ホルモンの使用に反対であると宣言しました。 つまりここでも、健康リスクについて情報を得た消費者が市場を動かしたのです。 

アメリカでは、2013年に自然食品産業が転機を迎えました。今では、チェリオス社やシミラック社をはじめとした、「 非GMO」を掲げる企業の食品を目にするようになりました。 これらの動きが市場で拡大すると、他の食品企業もGMOを使用するわけにはいかないと気付くでしょう。そして、 使用を続ける企業からは消費者が離れていくでしょう。このように、私たちは転機に立っているのです。 

では、非GMOの人々はどの程度いるのでしょうか?2014年の時点で、 すでにアメリカ人の40パーセントがGMOを食生活の中で避けたり減らしたりしていますが、 この数字は2007年時点のわずか15パーセントから増加を見せています。ただ、 全ての人々が考えを実践している訳ではありません。GMOを避けたり減らしたりしていると言う人々の大多数は、 そうする意志を持ちながらも、実行に移せていないのが現状です。 彼らの多くは大手のスーパーマーケットで買い物を済ませます。ですから、GMOを避けるように人々を奨励し、 促進することが必要なのです。 

転機についてはあとでまた触れるとして、次に、 DARK法によって無効とされる可能性のある表示の問題についてお話ししたいと思います。議会・裁判所・ 行政の3つの政府機関全てが、理論的には州や地方におけるGMOの表示義務を無効にできるという点については、 以前から知られていました。ハワイでは今年、 遺伝子組み換えフリーゾーンがある判事によって阻止されるというケースがありました。 人々の投票を経たイニシアティブが違法とされたのです。裁判所の判決とは、 時にかなり偏ったものになることは周知の通りです。以前モンサント社の顧問弁護士を務めていたクラレンス・トーマス( Clarence Thomas)は、最高裁判所に意見陳述を求められた際、陳述を忌避することなく、 モンサント社に対して有利な意見書を提出しました。モンサント社は現在、 表示法を可決したバーモント州を告訴していますが、ここでも私たちは敗北を喫する可能性はあります。このように、 裁判所は州による表示要求を無効にすることができるのです。 

GMOの表示義務を無効にできるもう1つの機関が議会です。そして、DARK法はまさにその流れを推し進めるものです 。ただ、私はDARK法がFDA(食品医薬品局)によって提出されると予想していたので、 それが議会から出されたのは意外でした。 

FDAはGMOを推進するよう命じられていますが、これは現政権と前政権のときに指示されたものです。FDAは、 多くの事柄に関する州の権利を無効にすることができることを証明してきました。例えば、 レストランのチェーン店におけるメニュー表示規制です。州レベルから地方レベルまで、 19の管轄区で可決されていたのですが、FDAはこれらを全て次のように言って無効としました。「表示について、 全国でバラバラに規制することは考えていません。レストランのチェーン店が不利益を被ることのないように、 全国規模の取り組みを行っていきます。」 

例えば、カリフォルニア州やワシントン州でメニュー表示に関する法が可決されたとしましょう。 するとFDAは善人のような顔をしてやって来て、こう言うのです。「表示規制が必要ですか? ちょうど表示規制を確定するところだったのです。表示に関するどのような法令や政策がふさわしいのかについて、 これからステークホルダーと協議します。」 

FDAの手続きは、何年も先延ばしにされることがあります。先に述べたレストランのメニュー表示についても、 FDAからは何の通達もないままです。 単純に棚上げにされているのです。政権が交代して新たな大統領が決定するまで、 あるいはワシントンの交渉の場で決断が下されるまで先送りにするのです。これは行政部の政策にも、 大いに影響を与えることです。つまり現在のところ、交渉のテーブルの一方にはモンサント社とバイオテクノロジー業界が 、そしてもう一方には消費者が座り、食品企業はモンサント社の側に座っている状態なのです。 

では、転機が訪れるとどうなるでしょうか?食品企業が減収を懸念して、GMOを即座に排除すればどうなるのでしょうか ?企業は表示の義務化に対して、抵抗しなくなるかもしれません。実際のところ、 企業も表示の義務化に賛成することも考えられます。というのも、義務的な表示を回避するために満たすべき基準は、 非GMOの表示をするために満たすべき基準よりも低い可能性があるからです。つまり食品企業はGMOの表示に賛成し、 交渉の席でモンサント社の側から消費者の側へと移っているかも知れないのです。 

このような転機が訪れ、 GMOが市場から即座に姿を消してしまえば、私たちは政治の領域にも影響を及ぼすことになります。というのも、 失墜した産業を支持する候補者の政治的意見など、忘れ去られてしまうからです。GMOが食品産業で使用されなくなれば 、GMOに関してより多くの上院議員や下院議員を味方につけることができるでしょう。そうなれば、 表示の問題が改善されるだけではありません。ウィキリークスの報告によると、 アメリカはGMOを採用するよう多数の国々に強引に迫ってきましたが、この圧力もなくなるかもしれません。 政治家や食品産業を難なく味方につけることができるならば、この転機は、 義務的な表示を確立する上でもとても有効に働くでしょう。 

では、表示を義務化することなく転機を迎えることはできるのでしょうか?答えはイエスです。 これは自発的な表示を採用することで可能であり、非GMOプロジェクトはその一つの例です。 ウシ成長ホルモンを例にとってみましょう。ウシ成長ホルモンを投与された牛のミルクには、 GMOの表示が義務化されていません。しかし、数年前に転機が訪れました。自発的な表示に基づいて、 ウシ成長ホルモンを使った牛のミルクはウォルマート社やスターバックス社、ヨープレイ社、ダノン社、 そしてアメリカのほとんどの酪農場から追放されたのです。これらの企業の競争相手は、 自社製品がウシ成長ホルモンを使用していないと宣言するようになり、他の企業もあとに続きました。ある年の2月、 ヨープレイ社は8月までにウシ成長ホルモンの使用を停止すると発表しました。さらにその2週間後には、 ダノン社が年内に自社のヨーグルトにウシ成長ホルモンを使用しないようにすると宣言しました。 これらの企業が競争相手を優位に立たせようとしなかったために、事態はこのように進行したのです。 自発的な非GMO表示によって、同じことができるでしょう。 

では、転機をもたらすにはどうすればいいのか? 行動変容を訴えるメッセージを送ればいいのです。すなわち、 人々に対してGMOは安全性に欠けており、FDAやモンサント社などによる、 GMOは安全であるという安易な主張は疑わしいというメッセージを発信するのです。 人々にGMOに関する真実を提供することで、彼らがスーパーマーケットでより健康な選択として、 非GMO製品を購入できるようにするのです。 

このようにして、表示に向けた努力を転機へとつなげることができるのです。 表示義務化をめぐっては4つの州で住民投票が行われましたが、私はそこで用いられていたメッセージに失望しました。 私はそのとき、キャンペーンに費やされていた数百万ドルものお金が、 非GMO食品の購入へと顧客の意識を切り替えることに役立つように、 行動変容を訴えるメッセージを採用するよう必死で働きかけました。実際にこの案が採用されていれば、 どうなっていたでしょうか?食品企業は次のようにぼやくことになったでしょう。「何てことだ、 あいつらは数百万ドルもの大金の使い方を見出した上に、我々から顧客まで奪っているじゃないか。売り上げが減った今、 住民投票での勝ち負けはもはや重要ではない。いずれにせよ、即座にGMOを追放しなければ。」あの時、 行動変容を訴えるメッセージが伝えられていれば、住民投票で敗北していたとしても、 今頃この争いには勝利していたかもしれません。キャンペーンに費やされたあの数百万ドルを、 非GMO食品の購入促進に役立てられた可能性を考えれば。 

しかし残念なことに、このとき表示義務化を支持した活動家は、「あなたたちの知る権利」を繰り返し主張するのみでした 。このやり方は、世界中の広告の専門家から怒りと失望を買いました。彼らによると、 広告の観点からそのやり方が最良の選択肢ではない理由はいくつもあるとのことでしたが、 私も戦略の観点から同じ意見です。私たちは、バイオテクノロジー企業が口にする嘘に対する解毒剤として、 人々に行動変容を訴えるメッセージを伝えていかなければなりません。行動変容を訴えるメッセージには、 彼らの嘘を暴く力があるのです。 

彼らの名誉のために言い添えておくと、表示義務化の支持派の活動家たちは最近実施された住民投票のキャンペーンで、 遺伝子組み換えの穀物に殺虫剤が含まれていることについては触れています。ただしそれは徹底せず、 傍から見ていて苛立たしいものでした。実際、 大詰めとなった時点で健康上のリスクについて話すことに抵抗する人々もいました。 オレゴン州とコロラド州の住民投票で表示義務化の反対派が勝利を収めたとき、 GMOについて研究する世界中の科学者や医師から多数のメールが寄せられました。その中で彼らは、 義務化支持派が健康上のリスクについて語るのを避けていると指摘しました。 これらの科学者はこぞって次のように言いました。「GMOには健康上のリスクが存在するのです。 義務化支持派の活動家は、この事実への言及を避けるべきではありませんでした。 GMOの健康上のリスクに関する証拠は揃っていますし、これに関する査読論文もあるのです。」 

GMOの健康上のリスクはすでに知られていましたが、 義務化支持派の活動家は不幸にもこの事実に言及しようとしませんでした。嘆かわしいことです。 

州議会に対するキャンペーンはどうだったのでしょうか? そこで健康上のリスクの問題を持ち出すのは不適切なのでしょうか?最近、 カリフォルニア州のロビー活動を支援するためにサクラメントに行ったときのことです。 GMO表示を義務化する法案を州議会に提出するよう働きかけていたのですが、そこで驚くべき経験をしました。 カリフォルニア州では、その前の年に表示を義務化する法案が否決されていました。そのとき、 ずっと表示義務化への支持を公言していたにも関わらず、最終的に反対票を投じた上院議員がいました。 私はその議員の首席補佐官にインタヴューを行いました。 

その議員は意見を幅広く聞くために、GMO表示の支持派と反対派が議論する場を設けました。首席補佐官が言うには、「 表示支持派は、ただ単に人々の知る権利を主張していました。 反対派が健康上のリスクに関するあらゆるデータを提示したのに対して、 反対派はこれについて一切データを示しませんでした。」そのため、その議員は反対派に票を投じることにし、 結果として法案は州議会で否決されたのでした。他の数人の補佐官にも話を聞きましたが、いずれも「 健康上のリスクがどのようなものなのかを見極める必要がある」と言いました。ある補佐官を引き止めて、 次のように訊ねました。「お話はよく分かりました。でも、私たちの知る権利はどうなるのでしょう? 実際の問題はないとしても、健康上のリスクとは別に、 私たちには何にGMO食品が含まれているのかを知る権利がありますよね?」これに対する彼の答えは、 次のようなものでした。「待ってください、商品にGMOの表示をするのは、 その商品に問題があるとほのめかすようなものです。何の理由もなく企業の利益を損なうことはできません。 健康上のリスクの実情を見極める必要があります。」このように、 州議員とその補佐官は健康上のリスクに関する情報を求めていたのです。 

州議会に対する、GMOの健康上のリスクに関する情報の提供は、果たしてうまくいくでしょうか?私は自分の経験から、 うまくいくと言えます。以前バーモント州に滞在していたとき、 ちょうどGMOを規制する初めての州法が可決されようとしていました。その州法は、 GMO種子の表示に関するものでした。あとになってある修士論文を読んで、私の著書である『欺瞞の種子(Seeds of Deception)』がこの州法の可決に影響を与えたことを知りました。ご存知かもしれませんが、『欺瞞の種子』 はGMOの健康上のリスクと、GMO認証の背景にある政治腐敗の問題を扱ったものです。ある議員は、 この本はGMOについて議論する際の基本書であると発言しました。この本を読んだ議員は、 次から次へと州法の支持派に回りました。彼らは、「この本を読んだことがきっかけで、投票先を変えました。」 と言っていました。ある下院議員は寒空の中、200人の活動家がデモをする場に歩み出て行き、『欺瞞の種子』 を手に掲げ、「みんな、この本を読むべきだ」と訴えました。バーモント州ではキャンペーンは成功に終わりました。 私も実際にそこに赴き、健康上のリスクと州議会の腐敗について講演しました。また、 GMO表示について農業委員会に対して2度電話で証言し、そこでGMOの健康上のリスクについてお話ししました。 彼らの反応から判断するに、その働きかけは間違いなく効果がありました。 

そして、その次がコネティカット州でした。この州でもGMO表示に関する法案が可決されたのですが、 法案にトリガー条項が含まれていたために即座に実施されませんでした。 私たちは何人かの州議員と上院議員を募金集会に招待しました。そこに来て私の話を聞いてくれたある上院議員は、その後 、GMO表示の強力な推進者になりました。彼はある活動家に次のように言いました。「反対派の人たちを、ジェフリー・ スミスの前に10分間座らせるだけでいいのです。必要なのはそれだけです。私の場合、 GMO表示の支持に回るにはそれで十分でした。」けっして自慢のためにこの話をするのではなく、 その上院議員は実際にこの通りに発言したのです。彼は30分間私の話を聞いただけで、 GMO表示に関する自らの意見を固めたのでした。 

以上の理由から、国民の代表として法案H.R.1599に反対して下院議員に対してロビー活動をしている人々は、 GMOの健康上のリスクに言及しなかったのだと思います。この法案が承認される前に開かれた公聴会でも、 GMOの健康上のリスクや政治腐敗について誰も議論を交わそうとしませんでした。それは誤りだったと思います。 私たちは上院議員が真実を知り、DARK法の可決を阻止してもらうために、 リスクや腐敗についてメッセージを伝えたいと思っていますし、その実現に向けて皆様からの支援を求めています。 

前に向けて進んでいくにはどうすればいいでしょうか?結局、DARK法が可決されることになれば、 GMO表示を義務化する手段は絶たれます。住民投票や州議会はメッセージを伝える格好の場だっただけに、 これは非常に残念なことです。私たちはそのような機会を失うことになるかもしれませんが、悲観することはありません。 誰に向けて何を話せばいいのか、私たちには明確だからです。非GMO食品の支持に回りそうな層は分かっています。 考えてみて下さい、みなさんも検討がつくはずです。そう、母親達です。中でも特に、 慢性疾患に苦しむ子どもをお持ちのお母さんたちや、慢性疾患から子どもを守ろうとしている皆さん。 彼らがカギとなるのです。または別の意味で「母親」であるペットの飼い主の方々もです。 ペットの食事からGMOを排除したら体調が良くなったという報告が、飼い主や獣医師達から次々と届いています。その他 、GMOと関連のある慢性疾患に苦しむ人々も重要です。そのような人たちも、 GMOが自らの病気の原因である可能性があると知ると、非GMOの食事に切り替える可能性は高くなります。また、 彼らをケアする健康管理の専門家のうち、すでに数千人が非GMOの食事を指定しています。最後に、GMOを「 神が遠のいた(God Move Over)」と説く、信仰心の篤い人々が挙げられます。彼らは宗教上の理由からGMOの使用に反対しており、 その行動の背後にある宗教上の信念を表明しています。 

以上、ターゲットとなる5つの集団に言及しました。さらに私たちは、 GMOを排除することを目的とした5ヵ年のマスター・プランを用意しています。2~ 3年以内に私たちが直接口にする食品から、さらに5年以内に家畜飼料からGMOを排除する計画です。 ここでは家畜飼料に関する戦略についてはお話ししませんが、その計画も即座に実施する必要があると考えています。 

皆様には、私たちがこの5ヵ年のマスター・プランを実施する上で支援をお願いしたいと思います。 近い将来に何が起こるのかを知るための資金として、私たちは多額の継続的な寄付を必要としています。 寄付が集まれば大胆に前進し、必要なスタッフと費用に対する支払いをすることができます。 

これこそ、今後の進め方です。行動変容を訴えるメッセージとターゲットとなる集団を特定するアプローチとを結びつけ、 GMO表示に向けたキャンペーンに応用することができるのです。このアプローチは、 ワシントンで上院議員に対してロビー活動にも組み合せることが可能です。そのためには、 議員に対して有用な情報を提供し、 医師や科学者などGMOの健康上のリスクについて適切に話すことのできる人物を送り込めばいいのです。 そうすることにより、私たちはこれからも現在作成中の映画をはじめ、その他のツールを含む、 大規模な教育的機会を創り続けることで、GMOを早急な排除の実現を目指していきます。 

私たちはすでに最終コーナーを曲がり、アメリカに転機をもたらすというゴールに向けた最後の直線コースを走っています 。しかし、GMO表示の反対派もまた全力を尽くしており、コネを駆使してニューヨーク・タイムズやニューズ・ウィーク 、ナショナル・ジオグラフィックに呼びかけています。メディアは口々に、「ああ、GMOは大きな問題ではありませんよ 。」と言います。これこそ、反対派であるモンサント社の必死の主張なのです。なぜなら、 今や多くの人々が食事からGMOを排除しているだけでなく、GMOを口にしなくなったら、 あらゆる種類の健康問題から回復したという多くの報告が挙がっており、しかもその情報が拡散しているからです。 バイオテクノロジー企業は巨大で大規模な情報工作キャンペーンを展開しています。とはいえ、 彼らのほとんどは嘘つきなのではなく、彼らもまた「嘘をつかれている」のです。

Jeffrey Smith (ジェフリー・スミス)
責任ある科学技術研究所(Institute for Responsible Technology)
https://www.youtube.com/watch?t=2&v=f87nzsCcUM8より転写
ポール・マッカーティン翻訳
2015年9月
Copyright ©2016.7.9.許可を得て複製