【 愛と束縛 】
「智恵子は東京に空が無いといふ」 有名な『智恵子抄』の一節です。 私はこれを、45年前の僻地の中学校で、「愛と所有欲、保護と支配、献身と嫉妬が混ざり合った人間の業を描いた文学」として教わりました。 当時の『智恵子抄』は、「病める妻を支えた夫の純愛物語」として語られることが多かった時代です。 都会の学校なら、病気の妻を支えた愛の物語、高村光太郎の詩集。とか教えたんじゃないのかな? でも、私に智恵子抄を教えてくれた国語の先生は違いました。 「東京に空がない」とは、福島から出てきた智恵子の”郷愁”ではない。 才能ある女性芸術家だった智恵子が、結婚後、「光太郎の妻」という役割の中で、自分の空を失っていく物語なのだと。 創作の自由。自分らしく生きられる場所。芸術家としての居場所。
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