日本 プロライフ ムーブメント

所在不明高齢者を生む個人主義社会

このところ、所在不明高齢者の問題がにわかにクローズアップされてきた。調査が進むにつれ、 ますます深刻な事態になっている。これは、直接的には家族や役所の問題であるが、なぜこんな問題が起こったのか、 そもそもの原因を追求することも重要である。 

Continue reading

「無縁社会」と家族共同体の再建

去る1月31日夜のNHK/BSテレビ番組「無縁社会」は実にショッキングなドキュメンタリーであった。 2008年には、無縁死して遺体の引き取り手がなく、無縁墓に納められるケースが年間三万二千件に上ったという。 この驚くべき実態の原因と対策は何か、あらためて考えてみたい。 

Continue reading

「新型出生前検査」をめぐって

「胎児の状態を知る『新型出生前検査』の臨床研究と応用をめぐる議論が盛んだ。この検査は、 妊婦の血液から胎児の特定の染色体の状態を知ることができ、 これまでの検査よりも妊婦の身体的負担が少ないことと検査精度が高いことが特徴である」 

Continue reading

愛によって、愛のために

金融バブルの破綻によって生じた世界同時不況の中で、多くの貧民層がその被害を受けたが、 こうした困難の中で人の情けもまた顕著になったような気がする。 企業の社会倫理を主張して起こされる社会企業の話はもとより、民間に見られる善意や愛の行動は、 マスコミに現れるものとは比較にならぬほど豊かに行われているのではないか。 今回はこの善意や愛のルーツに思いを馳せたい。 

Continue reading

人間共同体の危機とその対策

「結婚しなくてもいい」70パーセント、「子ども要らない」最高42パーセント、「一人暮らし」全世帯の34. 4パーセント、「孤独を感じる」15歳29.8パーセント、09の年間自殺者三万人超。 これらは昨年の暮れあたりから新聞に出てきたフレーズの数々である。「人間共同体の危機」を感じさせる。 これにどう対処すればよいか。 

Continue reading

人類は一つの家族

毎年、1月1日はカトリック教会が設定した「世界平和の日」である。教皇ベネディクト16世の2008年「世界平和の日」メッセージは、「人類という家族―平和の共同体」をテーマとして発せられたもので、平和であるべき世界の基本的な理念を表明した極めて重要な問題提起である。かなりの長文で濃密な内容なので、ここには問題提起の意義を指摘しておきたい。 

Continue reading

子どもは親だけの責任ではない – こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)が提起したもの

こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)の運用が始まった。赤ちゃんポストについては反対論や慎重論もかなりあったが、賛成論が次第に大勢を占めるようになったという。今度の企ては、いのちの尊厳や、子育てに困難を背負う孤立した母親たち思い出させ、子どもたちの養育を引き受けたいという善意を呼び覚ましたから、まさに摂理的であったといえる。

Continue reading

あらためて問う、胎児は人間か

さる2月、この欄で「オバマ大統領、妊娠中絶を容認」と題した記事を公開したが、これに対していくつかのご意見をいただいた。人工中絶を選択する女性に対する同情と同時に、厳しい倫理を押し付けて自分は何もしないとして教会を非難する言辞が中心であったように思う。人工妊娠中絶についてこれを容認する意見があることはわたしも十分承知しており、あえて反論するつもりはないが、もう少し教会の立場を説明しておきたいと思う。 

Continue reading

TOKYO 2020 LIFE APPEAL

ワシントンD.C.のMarch for Lifeに触発されて、2014年から毎年7月に東京でマーチフォーライフをおこなってきました。全米でabortionが合法とされた日に連邦裁判所を目指して歩くD.C.のマーチを真似て、日本で中絶が合法とされた日に国会議事堂を目指して歩くことにしました。日本で中絶が合法化されたのは1948年7月13日です。7月13日とはどういう日でしょうか。カトリック信者ならお分かりかもしれませんが、ファティマで聖母が子どもたちに地獄を見せたのが1917年の7月13日でした。その30年後の1948年7月13日は、日本の地獄の始まりです。優生保護法という法律の成立ととともに、産まれる前の赤ちゃんの大量殺戮が始まりました。第二次世界大戦が終わった後の「団塊の世代」と呼ばれる日本のBaby Boomerはわずか3年しか続きませんでした。すぐさまKilling Baby Boomerに取って代われたからです。その法律は、優生思想のもとに人口削減計画をすすめる目的で導入されました。

Continue reading

お産を語るオッサンの会

  自称、「お産を語るオッサン」である。「お産を語るオッサンの会」を主宰する者である。 お産をとおして劇的に人生が変わった自身の半生と反省を赤裸裸に語る。話はそれだけだが、けっこう人気イベントである 。自分が経営する吉祥寺の飲食店(タイヒバン)で常連客を相手にするだけでなく、あちこちからお呼びもかかる。 名古屋や福岡に出向いたこともある。助産院の先生や針灸師さんなど、 自然出産に携わる人たちに関心をもたれることが多い。また、ときに女子大で生命倫理の講師を依頼されることがあるが、 最近は授業の中身がそっくりお産を語るオッサンの会になる。 

Continue reading

母の旅立ちー神のいつくしみ

「今年の7月22日、私は東京の渋谷修道院に会議に参加するために来ておりました。その日の夜、 マルチン病院のシスターから電話があり、母が夕方7時半に亡くなったとの知らせでありました。 すぐに坂出に引き返したかったのですが、翌日は仙台の教会で聖ドミニコ会創立800周年を記念する行事があり、 そこで聖ドミニコについて講演することになっていたのです。母のもとに駆けつけることは出来ませんでした。 シスターにはドライアイスとマルチン病院の聖堂の冷房で対応をお願いし、 気持ちも落ち着かないまま翌日北仙台教会で御ミサを捧げ、午後講演を済ませた後すぐに仙台空港に駆けつけました。夜、 母のベッドに戻ったのは10時過ぎでした。 

Continue reading

この子が死んでしまったのに私が食べるなんて

私の診療室に小林里子さん(仮名)22歳が来るようになったのは、一年半前のことでした。高校生の頃からダイエットを試みることが幾度もあり、一時的に成功してもリバウンドでもとに戻ってしまいがっかりしてイライラが続き、今度は過食と嘔吐を繰り返す日々が続くといったありさまでした。体重が一定しないのと感情の波が激しいことの間にはかなりの関連性があるのです。抗うつ剤、安定剤、睡眠剤を服用しながら規則的な食事を摂る生活をしようと励んだ結果、精神的にも落ち着きを回復し、恋人もできて結婚したのです。新しい生活が始まり、希望をもって生活してゆきました。 

Continue reading

赤ちゃんの癒す力

赤ちゃんが何を考えているだろうかとか、赤ちゃんの心に何が起きているのだろうかとか考えたことがありますか。私は赤ちゃんに本当に戸惑った時がありました。私は赤ちゃんにどう話しかけ、赤ちゃんとどう関係を持ち、さらにはどう理解したらいいかわかりませんでした。どうしてお母さんが赤ちゃんが求めているものや、どこが痛いのかや、赤ちゃんの喜ばし方がわかるのか私はよく不思議に思いました。というのはお母さんは普通の言葉で赤ちゃんと意志疎通はできないからでした。 

Continue reading

人のいのちに対する神の計画

序論 現在、新しい千年期の最初の復活祭のシーズンを迎えています。私たちは復活祭の重要性と、神がその子であるイエス・キリストの生と死と復活を通じて私たちのためにしてくださった全てのことを今もなお考え続けているのです。私たちは、素晴らしいことが私たちを待ち構えていることを知っています。60億の人々が生き、教育や科学やテクノロジーが発達した現在、21世紀が、宗教経験が増す時代になるか、大いに危険に満ちた時代になるか、そのどちらかであろうと信じることは当然のことだと思います。

Continue reading

両親が最も愛するのは?

両親が最も愛するのは? 自分達の子どもだろう。子ども達が最も愛するのは? 自分の両親だろう。しかし我らが主は、キリストよりも自分の子どもや両親を愛する者は、神にふさわしくないと説く。キリストは「私より汝の配偶者を愛するなら、私にはふさわしくない」と語ったとも伝えられる。この言葉の真意は? 自分のために最も尽くしてくれる相手を最も愛するべきだと、キリストは私達に理解してほしかったのだろう。我々はなぜ両親を愛するのか?生活を共にし、毎日、場合によっては毎時間、心と体、全方面から私達を慈しみ、無数の愛情をもって世話してくれ、その愛に終わりがないからである。 

Continue reading