離婚しない結婚の準備
先日、珍しい友人が突然訪ねてきてくれた。イエズス会の元管区長粟本昭夫神父である。80歳になる彼は、 東京からレンタカーでドライブしてきて、九州各地の殉教地や教会を巡礼しているのだという、老いても元気な神父である 。その夜は、隣に住んでいる同じくイエズス会員である「内観」の岡俊朗神父を交えて夕食を共にして語り合った。
Continue reading重要な問題について明確に考える
先日、珍しい友人が突然訪ねてきてくれた。イエズス会の元管区長粟本昭夫神父である。80歳になる彼は、 東京からレンタカーでドライブしてきて、九州各地の殉教地や教会を巡礼しているのだという、老いても元気な神父である 。その夜は、隣に住んでいる同じくイエズス会員である「内観」の岡俊朗神父を交えて夕食を共にして語り合った。
Continue reading熊本慈恵病院の「赤ちゃんポスト」の計画に大賛成である。赤ちゃん受難時代の朗報である。 厚生労働省はよくぞOKしたものである。
Continue reading先日、テレビのチャンネルを変えていたら、精子バンクを利用して子供を産んだアメリカの、あるシングルマザー( 未婚の母)のインタビュー番組が目に入った。まず驚いたのは、精子バンクという商売が繁盛していること。 さらに驚いたことに、そのシングルマザーは言ったのである。「精子バンクを使えば後腐れがない。 自分独りで自由に子育てができる」と。後腐れとは何たる暴言、独りで育てるとは何たるうぬぼれ。一言、 世に警告を発せざるを得ない気分になった次第。
Continue readingこのほど、今評判になっている本、『生かされて。』を一気に読んだ(イマキュレー・イリバギザ著、PHP、2006) 。十年余り前、アフリカのルアンダで吹き荒れた民族浄化の大量虐殺の時代、両親と兄弟二人を奪われた中で、 肉親への愛情と共に、これに反比例するかのように繰り返し沸き起こる憎しみと復讐の情念に打ち勝って、「ゆるし」 というキリスト教の恵みを文字通り身を持って体現した一人のカトリック信者の物語である。 彼女が神のゆるしに与って救われたということは、彼女が真にカトリック信者としての教養を身に着けていたと同時に、 本書の中で彼女自身が言うように、深く長い祈りの中で神の愛に触れたためだと思うのだが、このゆるしのゆえに、今、 本当に平和であり幸せであると彼女は断言している。
Continue readingキリスト降誕の神秘的な夜、天使たちは羊飼いたちに告げて言った。「恐れることはない。わたしは、 すべての民に及ぶ大きな喜びの訪れをあなた方に告げる。きょう、ダビデの町に、あなた方のために、 救い主がお生まれになった。この方こそメシアである。あなた方は、うぶ着にくるまれて、 飼い葉桶に寝ている乳飲み子を見るであろう。これがしるしである」(ルカ2,10-12)。
Continue readingどのような形であれ、幸福を求める人間は「神を渇望する」存在であると言えよう。 真の幸福は神のうちにのみあるからである。問題は、神を求めていながら神を知らないことであり、 自分が求める幸福が神のうちにあることを知らないことである。
Continue reading少子高齢化が叫ばれて久しい。そして、高齢化対策ばかりでなく、少子化対策についても多くが語られ、 その対策も国や民間によって数々進められてきたが、いまだにその成果は上がってはいないようだ。
Continue reading東北大震災や福島原発事故を契機に家族のきずなの重要性が改めて認識されることになったが、 その一方で相変わらず家庭の崩壊が進んでいる。わが国の将来を考えるとき、家庭の健全化のための努力は欠かせない。 では、家庭とは何か。
Continue readingさる9月6日に警察庁が発表したところによれば、今年上半期(1~6月) に事件として対応した児童虐待は昨年同期比62%増の248件で、統計がある2000年以降では最多であるという。
Continue readingさきに(8月25日付)、「いじめない子を育てるために」、隣人を尊重する良心の形成について論じたが、 今回はもう一つの観点、すなわち「いじめに負けない子を育てる」にはどうしたらよいかについて論じたい。
Continue readingカトリック教会ではクリスマスまでの4週間を“待降節”としている。それは神の子キリストの来臨を準備して待つ季節で 、それは、「悔い改めて神の愛を待つ季節」である。キリストは「人間となった神の愛」であり、 受け入れるには回心が必要だからである。
Continue reading今年も世界平和について考える季節がやってきた。平和といえば、いきなり国際平和や戦争自体を考えがちだが、 平和は一人ひとりの心に始まる。心の平和という基礎の上に世界平和を築くことも忘れてはならない。
Continue reading第2バチカン公会議(1962-65)は現代世界憲章の第2部で、「若干の緊急課題」として結婚と家庭、文化、 経済社会、政治共同体、そして平和の問題を取り上げて論じている。今回は「結婚と家庭」の問題を取り上げる。
Continue reading教皇の平和の日メッセージを読み、人のいのちの尊厳を考えながら世界を眺めると、戦争やテロ、デモや弾圧、中絶や虐待 、他殺や自殺など、そこは人命の軽視や侵害に満ちていた。そして標記のフレーズが脳裏に浮かんだ。
Continue reading「子ども手当」や「高校授業料無償化」がいよいよ現実化しそうである。この際、 この画期的な企てが何を意味するかを考える機会にしなければならないと思う。なぜなら、現代の家庭は、 社会と文化の急激な変化のあおりを受けて危機に直面しているからである。
Continue readingさる7月13日、参議院本会議において、臓器移植法改正案(いわゆるA 案)が可決され、成立した。これによって、わが国では脳死が一律に人の死とされ、また本人の意思が不明な場合は、 家族の書面による同意があれば、臓器移植が可能となり、15歳未満の臓器摘出と移植も容認されることになる。
Continue reading10月ともなれば、南国鹿児島にも秋が来て、わが家の庭の木々の落ち葉かきに忙しくなる。ひらひらと舞う落ち葉の一つにも人生の無常を感じ取る仏教徒ならずとも、やはり秋は人生の終末を想い、本当の幸せはいずこにと問う季節である。
Continue readingこのところ、メディアは連日、朝から晩まで自殺や殺人のニュースやその続報でもちきりである。聖書を見れば、 殺人は世の初めからあったもので珍しくもないが、文明開化の現代においてもなくならないのがむしろ問題である。 直接の理由はいろいろあると思われるが、その背景に何があるのか。
Continue reading「人はすべての家畜、空の鳥、野のすべての獣のそれぞれに名をつけたが、人にふさわしい助け手は見つからなかった」( 創世記2:20)。人間のふさわしい助け手は人間しかない。しかし現在、互いが助け手となる「人間相互のかかわり」、 つまりヒューマン・エコロジー(人間環境)、ソーシャル・エコロジー(社会環境)に異変が生じている。
Continue reading旧ろう30日付の朝日新聞は、「卵子で遺伝子一括診断 数千種類の病気 精度9割以上」の見出しで新しい生殖医療を米 ・中の大学が開発したと報じた。結婚した夫婦だけに保留された“いのちの聖域”への医療技術の介入新事情である。
Continue reading「2009年10月7日のクローズアップ現代『“助けて”と言えない-いま30代に何が-』の放送後、私たち取材班を待っていたのは予想外の反響の広がりであった」。「他人事ではない」「明日はわが身」といった多くの若者からの反響のことで、単行本を出した番組取材班の言葉である。
Continue readingこのところ、所在不明高齢者の問題がにわかにクローズアップされてきた。調査が進むにつれ、 ますます深刻な事態になっている。これは、直接的には家族や役所の問題であるが、なぜこんな問題が起こったのか、 そもそもの原因を追求することも重要である。
Continue reading去る1月31日夜のNHK/BSテレビ番組「無縁社会」は実にショッキングなドキュメンタリーであった。 2008年には、無縁死して遺体の引き取り手がなく、無縁墓に納められるケースが年間三万二千件に上ったという。 この驚くべき実態の原因と対策は何か、あらためて考えてみたい。
Continue reading「胎児の状態を知る『新型出生前検査』の臨床研究と応用をめぐる議論が盛んだ。この検査は、 妊婦の血液から胎児の特定の染色体の状態を知ることができ、 これまでの検査よりも妊婦の身体的負担が少ないことと検査精度が高いことが特徴である」
Continue reading金融バブルの破綻によって生じた世界同時不況の中で、多くの貧民層がその被害を受けたが、 こうした困難の中で人の情けもまた顕著になったような気がする。 企業の社会倫理を主張して起こされる社会企業の話はもとより、民間に見られる善意や愛の行動は、 マスコミに現れるものとは比較にならぬほど豊かに行われているのではないか。 今回はこの善意や愛のルーツに思いを馳せたい。
Continue reading「結婚しなくてもいい」70パーセント、「子ども要らない」最高42パーセント、「一人暮らし」全世帯の34. 4パーセント、「孤独を感じる」15歳29.8パーセント、09の年間自殺者三万人超。 これらは昨年の暮れあたりから新聞に出てきたフレーズの数々である。「人間共同体の危機」を感じさせる。 これにどう対処すればよいか。
Continue reading毎年、1月1日はカトリック教会が設定した「世界平和の日」である。教皇ベネディクト16世の2008年「世界平和の日」メッセージは、「人類という家族―平和の共同体」をテーマとして発せられたもので、平和であるべき世界の基本的な理念を表明した極めて重要な問題提起である。かなりの長文で濃密な内容なので、ここには問題提起の意義を指摘しておきたい。
Continue reading東日本大震災はあまりにも衝撃的であった。日本人がひたすら信じてきた「成長神話」も、それを支えてきた科学技術も、自然の猛威の前に無力を証明してしまった。この惨事を目のあたりにして、山積していた日本の課題が忘れ去られてしまった。
Continue readingこうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)の運用が始まった。赤ちゃんポストについては反対論や慎重論もかなりあったが、賛成論が次第に大勢を占めるようになったという。今度の企ては、いのちの尊厳や、子育てに困難を背負う孤立した母親たち思い出させ、子どもたちの養育を引き受けたいという善意を呼び覚ましたから、まさに摂理的であったといえる。
Continue readingいま、教育に関する議論が盛んである。学校崩壊や教育崩壊の言葉が飛び交い、教育のひずみやゆきづまりが心配されているのである。そこで今回は、教育再生の鍵であると思われる家庭の教育的役割とその危機について、日ごろ思うところを述べてみたい。
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