最近、非常に興味深い本を読みました。
ブログ読者の皆様におすすめです。
皮膚は「心」を持っていた! (青春新書インテリジェンス) 新書 – 2017/8/2
山口 創 (著)
著者は桜美林大学リベラルアーツ学群教授で臨床発達心理士の山口創(はじめ)先生です。
健康心理学・身体心理学というものを専門とされており、この本では皮膚感覚が心と身体に及ぼす多岐に渡る影響をわかりやすく紹介されています。
私などは漢方診察で患者さんの脈を見たり、お腹を触れたりする場面も多いのですが、この本を読み終えて非常にたくさんの事を教わったように思います。 主張のベースには「皮膚は脳と同じくらい様々な情報を処理することができる人体で最も大きな感覚器官である」というものがあります。
ヒトの生命が生み出される最初の段階、精子と卵子が結合して受精卵となりますが、受精卵が細胞分裂を繰り返していく過程で、細胞は大きく外胚葉、中胚葉、内胚葉と呼ばれる組織へと分かれていく段階があります。
実は脳と皮膚は同じ外肺葉由来の組織です。そこにベースに皮膚が様々な情報を処理している根拠となる様々な研究を紹介されて理論を展開されています。
よく五感は「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」は並列で扱われますが、山口先生のお考えでは、「触覚」がまず土台を作り、その上に「視覚」、「聴覚」、「嗅覚」、「味覚」の4つが乗ると述べておられます。
それを裏付けるように、皮膚は視覚や聴覚の一部を担っている所があり、その感覚を先鋭化させた感覚が4つの感覚だともおっしゃっています。
さらには私達が思っているよりもずっと高度な情報を処理している皮膚は、その触れ方によって自分や相手の心と身体に影響を与えているとも言うのです。
だから小さい頃から両親とのスキンシップが十分にある子はよい子に育つし、恋人同士でもいかに普段からスキンシップを取っているかどうかでうまくいくかどうかは変わってくると言います。
またとにかく触ればいいのではなく、触り方を間違えたり、タイミングが悪かったりすると負の感情がダイレクトに伝わるという注意点もあります。
そんなことにならないようにするために触れる時に大切にすべき基本が「慈愛の心」だというのが山口先生の主張の骨格です。
なんだかアドラー心理学のスタンスにも通じるような話に思えました。
私はこの話を聞いて、普段の自分を反省しました。
というのも私が患者さんを触れる時、異常な所見がないかどうかを検出しようと精いっぱいで、基本的に「慈愛の心」を持って触れるという気持ちは足りていなかったように思います。
慈愛の心を持って触れることはオキシトシンを介して自分にも相手にも安らぎを与えます。
同じ触れるでもその気持ちがあるのとないのとでは全然違っていて、しかもその違いは皮膚を通じて相手に伝わってしまうのだろうと思います。
ワンランク上の触診を目指すためにも「慈愛の心」を大事にしようと思いました。
実はこの本、それ以外にも勉強になることがたくさん書かれていました。
紹介したいことが結構多いので、何回かに分けて少しずつ紹介していきたいと思います。
Shuugo・Tagashira(タガシラ シュウゴ)
田頭 秀悟
オンライン診療医
主体的医療ダイアロジカルスクール(Proactive Med Dialogical School)
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