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当方が出会った中東の女性たち

シリアのアサド政権は反政府デモに対して軍事力を行使して攻撃している。アサド政権の最後の抵抗だろうが、それにしても多くの国民が犠牲となっている。心が痛い。 

当方は先日、シリアの女性に会う機会があった。まだ若いが弁護士として活躍している女性だ。食事をしながら話していると、彼女は突然、「私は11歳の時、結婚させられたのよ。相手は22歳の男性。両方の親たちが了解のもと、婚姻を約束したの。自分は勉強がしたかったので、学校に行き、それから米国に逃げていった。そこで勉強して弁護士になったのよ」という。 

当方がビックリした顔をしていると、彼女は「彼(夫)も私がどうして出て行き、勉強したいのか、最後まで分からなかったみたいよ。最終的には離婚した」と付け加えた。 

男性も女性も晩婚傾向がある西欧社会に住んでいると、11歳で婚姻を強いられた、ということを聞いて驚く一方、勉強をしたくて米国に行き、弁護士となった彼女の意思の強さに感動を覚えた。 

中東アラブ諸国では、女性の地位、権利が蹂躙されてきて久しい。サウジアラビアでは今なお、女性は車を運転できない。同国では、公式統計は発表されていないが、離婚率は高い一方、自殺も考えられないほど多いという。 

パレスチナの女性は父親を亡くした後、家の柱となって働いてきた。「結婚は今のところ考えられない」といった。まだ幼い弟たちを養わなければならないからだ。パレスチナでは夫や父親をイスラエルとの紛争で失った家庭が少なくない。 

中東の女性たちのことを考えていた時、知人のアフガニスタン人記者が「わが国の結婚様式を強制結婚と批判し、女性の権利が蹂躙されていると批判するが、欧米では3組に1組以上が離婚するではないか。家庭が崩壊し、離婚が日常茶飯事の欧米が女性の権利尊重を主張できるのか」と語ったことを思い出した。 

欧米では自由を享受しながら不幸になる女性たちが増える一方、中東では自由意思を奪われ、生活苦に喘ぐ女性たちがいる。どちらが女性にとっていいのか、というのではない。女性たちが不幸な時、男たちにとっても幸福ではあり得ないということだけだ。 

Editorial (オピニオン) 
国連記者室 
出典 ウィーン発『コンフィデンシャル』 
2011年6月14日掲載 
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