もしあなたが健康で若い女性だったとして以下のようなボランティアをやってみたいと思いますか?(架空のボランティアです)
まず健康で若い女性であることが必須条件です。さらに細かい条件はありますが、病院でいくつかの検査を受けてパスしたとします。
で、まず生理の周期に合わせて内服薬を数日間飲まされます。次に点鼻薬を数日間使うように指示されます。これらの薬には副作用はほとんどありません。それに続いて、筋肉注射(または皮下注射)を一週間位毎日打たされます。この注射には時に副作用がありますが、毎日医師の診察を受けるので重症になることはないでしょう。
その後、簡単な検査でOKが出たら、手術室に連れて行かれます。全身麻酔の注射をされて、眠ってしまいます。その間に医師が、あなたの膣に細い針を刺して、あなたの卵子を採取します。所要時間は10~20分程度で、深く眠っているので痛みは全くありません。処置が終わったら、10分程度で目が覚めます。最初は少し朦朧としていますが30分も休んでいれば元に戻ります。これで終了です。
さてボランティアというからには誰かの役に立つわけです。誰かというと、見ず知らずの他人夫婦です。不妊症に悩む他人夫婦に、あなたの卵子が子供を授けてくれるかもしれないのです。「かもしれない」というのは、上記のひと過程で他人夫婦に子供が授かる可能性は多く見積もって2割程度という意味です。
さて一方で、上記の過程(2週間ぐらい)をハワイやロサンゼルスでやってみませんか?というボランティアがあったらどうだろうか?もちろん渡航費、宿泊費、生活費ただで。まあ、その条件で「ボランティア」と言えるかどうかは疑問だが。
いずれにせよ、この架空のボランティアに関して自分は必須条件満たしていないためこれ以上は語れない。しかしボランティアを募る側はあらゆる情報を提供する義務がある。ということは主張しておこう。
Honda, Jirou (ホンダ・ジロウ)
心臓血管外科医・本田二郎
出典 『温心、涼脳 Warm Heart、Cool Head』
2013年5月14日掲載
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