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21世紀の難民たち

今月20日は「世界難民の日」(WorldRefugeeDay)だ。それに先立ち、 ジュネーブに本部を置く国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が18日、2011年の年報、「グルーバル・トレンド」を公表したが、それによると、昨年1年間で約83万人が新たに難民となり、域内難民を含めると難民総数は約437万人で前年度(425万人)と比較すると微増した。2000年以降最も多い。ちなみに、世界の難民総数は4250万人で前年度4370万人より減少した(難民約1542万人、域内避難民約2640万人)。その主因は約320万人の域内避難民(IDPs)が故郷に戻ったからだ。 

「グローバル・トレンド」によれば、昨年は民族紛争が頻繁に起きた。実例としては、リビア、アフガニスタン、ソマリア、スーダンなどでの内戦、武装紛争だ。難民出身国をみると、最も多いのはアフガン人で約270万人、それにイラク約140万人、ソマリア約110万人、スーダン約50万人、コンゴ民主共和国約49万人と続く。 

難民の約8割は隣国に避難している。例えば、パキスタンには約170万人のアフガン難民が収容されている。その他、イランに約88万6500人、ケニアに約56万6500人、チャドに約36万6500人の難民が収容されている、といった具合だ。問題は、多くの難民が5年以上の長期間、行き先もなく、難民キャンプに収容されているケースが増えているということだ。 

アントニオ・グテーレス高等弁務官は「幸いだったことは、国際難民支援の活動が活発であり、紛争地から避難する際、収容国側の国境線がオープンだったことだ」と指摘している。 

同高等弁務官がここにきて最も懸念していることは、スーダン(北部)から逃げてきた難民が南スーダン北西部で増加していることだ。「過去3週間でスーダンから逃れてきた難民は推定3万5000人。難民総数は約7万人にもなる。難民をとりまく状況はひどく悪くなった。生き延びるために、木の葉を口にして避難してくる人もいる」と報告している(UNHCRのHPより)。 

国際社会はグルーバル化し、世界はインターネットを通じて繋がりを深めている。21世紀の難民たちの救済のため世界は今こそ連帯し、結束すべきだ。なお、UNHCRは現在、110カ国以上で約6600人の職員が難民救済のために働いている、その8割は現地(フィールド)勤務だ。 

Editorial (オピニオン) 
国連記者室 
出典 ウィーン発『コンフィデンシャル』 
2012年6月19日掲載 
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