日本 プロライフ ムーブメント

ある高校の四旬節ミサの思い出から

カトリック教会はさる2月25日の灰の水曜日から今年の四旬節に入った。そう言えば、56年前の1953年の早春、わたしはモントリオール市内のある高校の四旬節ミサに通っていた。司祭叙階後も大神学院に留まって修士課程に取り組んでいたわたしは、市内の教会や修道院でミサをささげるために時々呼ばれていた。このときもその一つで、四旬節の間、日曜日を除いて毎日通っていたこの高校は、フランス語が中心のモントリオールでも珍しく英語の学校であった。その頃はまだ第2バチカン公会議の前で、ミサはすべてラテン語であったから、英語が苦手のわたしにも問題はなかった。

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冷凍胚の問題

人工授精の最新技術は、導入された時から様々な倫理上の難題を呈してきたが、中でもひときわ切迫した問題はヒト胚の低温保存に関するものである。それがきわめて深刻かつ許容できない状況になってきたため、1996年5月24日、教皇はヒト胚の生産および冷凍を中止すべきであると断固として訴えた(1996年5月29日付L’Osservatore Romano 英語版、12ページ)。

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ラジオから流れるロザリオの祈り

読書グループの女性たちは今、ヨハネ・パウロ2世の使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』を読んでいるが、そろそろ後半に差し掛かってロザリオの祈りのすばらしさがいよいよ身に沁みて理解される段階に入ったようである。「ロザリオはすばらしい祈りです。その単純さと深さのゆえに」(使徒的書簡2)と教皇は言われる。単純さとは、天使祝詞(マリアへの祈り)を繰り返しながら主キリストの生涯の出来事を思い出すだけの、誰にでも祈れるからであり、深さとは、主イエスとその母マリアの生涯から20の出来事(神秘)を思い出しながら、神のうちに秘められた人類救済の偉大な神秘を、聖母とともに観想し、その恵みにあずかるからである。

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