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聖家族:模範家族

中国の昔話の中に、ある賢明な先生が「人生であなたが最も満足を得られるものは何ですか?」と生徒に聞く場面がある。ある者は「それは幸せな結婚をすることです」と答え、またある者は「健康であることです」などと答えた。それ以外にもさまざまな意見が出たが、誰も正解を見つけられなかったので先生が答えた。「それは、正しい道筋を教えた後、自分自身の道を見つけ、しっかりとひとり立ちした我が子の姿を見ることです。」 

今日、家族を形成するのは決して容易なことではない。子どもたちにさまざまな内面的及び外的影響が溢れており、とても両親がコントロールしきれない。 

増え続ける出費をまかなうために共働きの家庭が多い。朝早く家を出て、帰りは遅く、その上、疲れ切っているため家族の絆を築くために必要な親子間の親密なコミュニケーションの時間が取れない。その代わり、子どもたちはお手伝いさんや、ひどい場合にはそこら中にあるテレビやビデオやゲームに「育てられる」ことになる。両親が家に不在なため、有害な物から子どもたちを守ってやることができない。 

より多くの収入を得るために、時には両親が一時的に「強制的に」遠方 – 地方、さらには海外—に行かざるを得ないこともある。別居することによって、両親のどちらか、あるいは双方がそれぞれの配偶者以外の異性と関係を持ち、家庭の崩壊を招くこともしばしばある。このことが子どもにどれほどの影響を及ぼしてしまうかは言うまでもない。 

社会学者によると、青少年の非行は、両親の教育義務不履行と正比例しているという。両親は神の協力者であり、代理人であるのだから、親の務めを果たさないという事は神に対する最重要義務を怠っているということである。 

カトリック教会では、聖家族の饗宴を祝うしきたりがある(ルカ福音書 2章41節ー52節)。救済計画を実現させるために、神はある家族の子どもとして産まれて来た。このことによって、この家族は神聖なものとなった。聖家族が互いにどう影響し合うかを理解することによって、自分の家族内における役割や責任を見つける手助けになるだろう。 

ヨセフ

  • マリアの夫。マリアはヨセフの妻である。ヨセフとマリアは結婚の誓いを生涯守り通した。
  • 主イエス・キリストの父。他の子どもたちと同様にイエスにも父親、そして父親像が必要であった。「彼」が人間の子として正常な発達ができる様に、ヨセフは男性的影響力を与えた。
  • 家族の稼ぎ手。大工仕事をして家族を養った。
  • 聖家族の擁護者。使者がヘロデの悪事を知らせに来たとき、ヨセフは家族をエジプトに避難させた。

マリア

  • 主婦。夫や子どもの要望に完璧な妻にしか成しえない思慮深さと愛情深さをもって応えた。彼女の存在により、この家族は暖かい家庭を築くことができた。
  • 主イエス・キリストの母。イエスの望みに応え、身の回りの世話を完璧にこなすのみならず、「彼」が一人の人間として正常に成長するために、女性的影響を与えた。すべての母親同様に、彼女は息子の身を大変気遣った。これはイエスの行方が3日間わからなくなった後、エルサレムの宮で見つかった際に発した言葉によく表れている。わが子が見つかった喜びよりも、母親としての心配が先立ってしまったのである。「なぜこんなことをしてくれたのです。御覧なさい。お父さんも私も心配して捜していたのです。」
  • イエスのお手本。言葉や行動を通じてマリアは他人を愛したり尊敬したりすること、また常に神のご意志に仕えることを教えた。

主イエス・キリスト

  • *大工の息子。ヨセフの見習いとして木工仕事を手伝い、大人として生計の資を稼いだ。「お前は顔に汗を流してパンを得る」(創世記 3章19節)
  • *模範的子ども。イエスは両親を愛し、従い、そして誇りに思っていた。ルカが福音書の中で述べている。イエスは、「両親に仕えてお暮らしになった。」

もし聖家族の際立った特性をひとつ挙げるとしたら、それは家族一人一人が聖霊に導かれていた点であろう。聖家族がお互いを愛し、尊敬していたのは、彼らの中に宿る聖霊によるものである。それゆえに家庭内に調和と平和がもたらされたのである。聖霊に導かれ、彼らはパウロの言葉を具現化した。「憐れみの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい。互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦し合いなさい。…愛は、すべてを完成させるきずなです。」(コロサイの信徒への手紙 3章12節ー14節)混乱と無秩序の現代社会において、聖霊に導かれることを受け入れれば、この聖家族から学べることは多いはずである。 

Carino, Al (カリノ、アル )
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