警告:論述の主旨を徹底的に且つ正確に記述するために、本稿には、人間の性についてあからさまな情報が含まれており、未成年者やそのような表現を道徳的に苦手とする人には適していない。
目次
情報源
I.序文:基本概念
- A.根本的問題
- B.コンドームの種類
- C.用語の定義
II.主なリスク-ピンホールではなく、最悪の欠陥
- A.概要
- B.調査
III.コンドームと漏出
- A.覚えておくべき主なポイント
- B.複雑な問題
- C.SEM画像の技術解析
IV.コンドームと性感染症の予防
V.ティーンエージャーとコンドーム
- A.ニューヨークタイムスのコメント
- B.アラン・グッドマッハー研究所の反論
- C.学校でのコンドーム教育の結果
VI.コンドームがHIV/エイズに無効であることを示した国際的な症例研究
- A.ウガンダ
- B.フィリピンおよびタイ
- C.「禁欲は失敗率が高い」
- D.単に「認めよう」としないだけ
- E.コンドームを売るための嘘
VII.結論:パラシュートと予防法
- A.家族計画提唱者の「反論」
VIII.巻末注
IX.コンドームに関して推薦する図書
情報源:本稿は、現在、世界で最も普及している避妊器具、すなわち男性用コンドームに関する最新の科学的情報を概説および要約したものである。この要約は多くの情報源が使われているが、特に医学ジャーナルを重視した。
この要約は、コンドームについて、直接的かつ簡潔・簡明な事実を必要とする人々のリソースとなることを意図して提供される。
すでにインターネットに掲載されているが、コンドームに関する中絶反対団体からの情報は、本稿の最後で紹介する。
詳しくは、ヒューマンライフ・インターナショナル(4 Family Life, Front Royal, Virginia 22630, USA)
メールアドレス:hli@ hli.org
ホームページ:http://www.hli.org
電話:(540)635-7884または1-(800)549-LIFEまで問い合わせること。
I.序文:基本概念
A.根本的問題。
根治不能および/または致命的なものを含めた性感染症(STD)が、自由なセックスを認め、場合によってはそれを奨励するような社会を中心に拡大しているというのが医療従事者間の常識である。残念ながら、人々の大半は、「遅れている」とか「抑圧されている」と思われたくないがために、この歴然とした事実を災いの元のように扱い、敢えてそれに目を向けたり、話題にすることを避けている。
今日のSTDの急増に対する「先進」国家政府の対応、ならびに各種社会サービス当局の反応は、情けないほど創造性に欠けている:彼らは、基本的に、(ティーンエージャーのみならず)アメリカ国民も動物に過ぎない、というヒューマニズムを示している。動物は自分の性的衝動を抑えることができないため、自分が気に入った相手とのセックスをできるだけ安全なものにするしかない、というのである。
政府は、対策として、貞潔や一夫一妻制ではなく、「教育」とコンドームを選択した。ビルクリントン政権の公衆衛生長官だったジョイスリン・エルダースは、コンドームの花綱で飾った「ゴムの木」を自分のデスクに誇らしげに飾っていた。
そして、「アローズ」、「エンブレイス」、「エキサイタ」、「プリージャー」といった好奇心をそそる名前のついたコンドームが薬局の陳列棚やトイレの壁にあふれ、コンドームを使いそうな客を誘惑したり、その派手なパッケージに記された「家族計画」や「安全なセックス」のメリットを訴えたりしている。
残念ながら、一般大衆は、政府、そしてコンドームメーカーの言葉を鵜呑みにしている。それだけでなく、肝心の質問をする人がいないのだ(一般には無視されている一部の中絶反対論者を除く)。
コンドームが妊娠とエイズの予防にそれほど有効なら、その利用を進める国において、なぜティーンエージャーの妊娠が増加を続け、エイズの罹患率が急増しているのか?
避妊に関する問題の中で特に議論が活発なことから、(学校付属のクリニック、ティーンにおける「妊娠発生率」、エイズの広がり)、世界で最も広く利用されている非永久的な避妊法、すなわち男性用コンドームの妊娠、エイズ、性感染症の予防に対する効果については、矛盾する情報が多々存在している。
この問題について知的な話し合いを行うため、まず、2、3の基本的事実を見直さなければならない。
B.コンドームの種類。
今日販売されている男性用コンドームは主に3種類である。
- (1)圧倒的に普及しているのが、天然ゴムのラテックスを原料とするコンドームである。これらは、妊娠やSTDの予防に最も効果的で、米国でのコンドームの売上の約97%を占めている。
- (2)少数だが、子羊の盲腸を使ったコンドームもあり、「ナチュラルスキン」、「ナチュラルメンブレイン」、「ラムスキン」コンドームと呼ばれている。一般的に、専門家の間では、スキンコンドームはラテックスのコンドームほどエイズやSTDの予防に効果的でないとされている。
- (3)第3のタイプとして普及し始めているのが、ポリウレタンなどの合成素材を使ったコンドームである。これらは、ラテックスのコンドームより劣化しにくく、妊娠やSTDに対して同様の予防効果を発揮すると考えられている〔1〕。
C.用語の定義。
書籍「Contraceptive Technology(避妊技術)」は、現在、世界中で行われているあらゆる避妊方法を紹介した最も信頼できる情報源である。厚さ2インチのこの本は、「家族計画のバイブル」と呼ばれ、2、3年に1度改訂を行い、最新の情報を取り入れている。最新版は2004年に発行され、家族計画提唱者の間で、避妊に関するあらゆる問題に答えてくれる「決定版」と呼ばれている。
家族計画提唱者は、避妊法や人工妊娠中絶法の失敗率を言及する際に、4つの言葉を使用する:
- (1)避妊法の「効果」とは、理想的な条件下でユーザーが得られる予防効果を指す。
- (2)避妊法の「有効性」とは、実際の使用条件下でユーザーが得られる予防効果を指し、ユーザーのミスを含む。
- (3)「避妊法の失敗率」とは、カップルがそれを完璧に使用した場合に生じる方法自体の機能不良を指す。コンドームの場合、避妊法の失敗率は2パーセントである。これは、コンドームを使用したカップルの2パーセントが妊娠に至るという意味ではない。この数値は、100組のカップルがコンドームを1年間完璧に使用した場合に妊娠するのは、わずか2パーセントであることを意味している。米国では、平均的なカップルのセックスの回数が年83回であることから、コンドームを完璧に使用する100組のユーザーにおいて、コンドームの使用8,300回ごとに2件の妊娠が発生する計算になる。
- (4)「ユーザー失敗率」とは、完璧ではないが、典型的な使用における失敗率を意味し、ユーザーによるすべての誤用を含める。「Contraceptive Technology(避妊技術)」によると、コンドームの典型的なユーザー100組のうち15組が、最初の1年以内に妊娠する〔2〕。
基本的な問題を下記に示す。どんなに「安全なセックス」教育を行っても、どんなに大量の無料コンドームを目立つ場所に置いていても、そしてどんなに避妊用具の宣伝を行っても、制御しきれない機械的、人為的要素が多数存在しているのである〔3〕:*コンドームの破損および滑脱;
- *老朽化。ある試験の結果、新品のコンドームでは、破損率が3.6%であるのに対し、数年経ったコンドームでは、破損率が18.6%に上ることがわかっている〔4〕。
- *コンドームは、最適な条件下でさえも劣化するが、極端な低温や高温だと急激に劣化が進む。コンドームの包装には、華氏59度~88度で保管するよう勧告されている。ある研究者は、ニュージャージーとニューヨークの大手コンドーム流通所において、箱入りのコンドームが厳冬の中、氷と雪に覆われた戸外に放置されていた事実を発見した。夏の間に、この研究者は、華氏180度を越える気温の中でコンドームを保管していたトラックやコンテナのフロアで目玉焼きができる写真を撮影した〔5〕。
- 高温の場合は、コンドームを構成する化学物質の一部が酸化し、また、低温の場合は、化学物質の結晶化が起こり、ひび割れ、乾燥、収縮、ならびに柔軟性や強度に著しい低下が生じる。米国から輸出されたコンドームが、さらに長い間、極端な気候条件の下、断熱処理されていない出荷用コンテナに保管されていることを忘れてはならない;
- *パッケージから取り出された後、長い間使用されていない場合、オゾン劣化を受けやすく、目に見えないダメージの原因となる;
- *オイルベースの潤滑剤の不適切な使用により、コンドームが劣化する。
- *パッケージの中で破損する;
- *コンドームには、製造上の欠陥率が認められてきた。北米のコンドームメーカーに対する現在の許容品質水準(AQL)は、99.6%のコンドームにおいて漏れがないことである。イギリスのAQLは、97%、オランダのAQLは96.5%となっている;
- *ユーザーが感情に流され、安全な使用に必要な10~16段階のプロセスに従わない〔6〕;
- *ユーザーがアルコール、マリファナ、違法ドラッグ、処方薬および一般医薬品の使用、または極度の疲労によって衰弱している、;ならびに
- *コンドームが正しく機能していても、分泌液がその周りや表面に広がる。
II.主なリスク-ピンホールではなく、最悪の欠陥
「コンドームに頼ることは、死と戯れているようなものだ。」 -ヘレン・シンガーカプラン博士、コーネル大学付属ニューヨークワイルコーネル医療センターにおいてヒューマン・セクシュアリティ・プログラムを設置〔7〕。
A.概要。ラテックスのコンドームは、まれにエイズウイルスを浸透させる可能性があるが、感染の危険が格段に高まるのは、破裂、裂け、滑脱というコンドーム利用時の傾向にある。極少数のHIVウイルスがコンドームの孔を通過できるが、感染のリスクは極めて小さい;しかし、コンドームが大きく破損すると、大量のHIVウイルスへの暴露は避けられなくなる。HIV感染者との性交中に破損した場合、長い闘病の末、辛い死を迎えることになるのは明らかである。
B.調査。コンドームが破損する頻度には、使用されている潤滑剤やコンドームの商標など、様々な要素が関係している。「Contraceptive Technology(避妊技術)」では、異性間の性交で使用された合計25,184個のコンドームを対象にした15件の試験結果を集計し、コンドーム全体の4.64パーセントが破損し、3.44%が一部または完全に滑脱、合計8.08%、すなわち、12個のうち1個に問題が生じていることを発見した〔8〕。
図1は、これらの調査の要約である。
図1:コンドームの破損率および滑脱率に関する主要な調査の要約
調査
使用されたコンドームの合計数
破損率(%)
滑脱率(%)
合計破損数
合計滑脱数
- ネバダ
- 米国#1
- 米国#2
- オーストラリア、シドニー
- ジョージア州、アトランタ#1
- ジョージア州、アトランタ#2
- カリフォルニア#1
- カリフォルニア#2
- ノースカロライナ#1
- ノースカロライナ#2
- ノースカロライナ#3
- ノースカロライナ#4
- ノースカロライナ#5
- デンマーク
- ニュージーランド
合計
調査の要約
- コンドーム全体での平均破損率:1,168/25,184=4.64%
- コンドーム全体での平均滑脱率:636/18,495=3.44%
- コンドーム全体での失敗率:8.08%
「Contraceptive Technology(避妊技術)」によると、コンドームのユーザー有効率は85%となっている〔9〕。このことから、実際の条件下において、パートナーが毎回の性行為においてコンドームを使用する場合に、女性が妊娠する確率は、1年に15%となる。
図2は、パートナーが年平均83回の性行為でコンドームを正確に使用した場合に妊娠する確率を示したものである〔10〕。
これらは、コンドームを100%使用すると仮定した上で期待される最低確率であることに注意が必要である。
図2:パートナーが毎回コンドームを使用した場合に女性が妊娠する可能性(経時的)
経過期間
妊娠の可能性
- 1年 — 15%
- 2年 — 28%
- 3年 — 39%
- 4年 — 48%
- 5年 — 56%
- 10年 — 80%
アメリカ合衆国統計局によると、米国では、約680万のカップルが避妊の主な方法としてコンドームを使用している〔11〕。その15%に当たる約100万組が、毎年望まない妊娠を経験する事になる。この数は、アメリカで起こっている1年当たりの予期せぬ妊娠の半数に相当するのである!
この事実は、実際の条件下でコンドームを使用している人々を対象にした他の調査にも反映されている:
- *リーズ・マリー・ストープス国際中絶クリニックで中絶した女性4,666人のうち1,609人(34.5%)がコンドームを使用して問題が生じた〔12〕。
- *パリス・ホスピタル・セントルイスで行われた中絶の27%が、コンドームの問題を理由としていた〔13〕。
- *マンチェスターのラッシュホルム医療センターに「緊急避妊法」を求めた学生を対象にした1996年の調査では、コンドームの問題が主張されていた〔14〕。
- *ボツワナでは、都市部の妊婦において、HIVへの罹患率が、コンドームの販売が3倍に増加した1993年から2001年にかけて、27%から45%に増加したという信じがたい事態が起こった。カメルーンでは、同じ頃、コンドームの販売が600万個から1500万個に増加し、それに伴ってHIVの罹患率が3%から9%に増加した〔15〕。
- *カンボジアでは、エイズ対策の早い段階で「100%コンドームプログラム」を実施した。コンドームの使用は、1994年の99,000人から2001年には1600万人に急増した。HIV感染の報告数は、それ以上のペースで増加し、1994年の14件から、2001年には16,000件を超えるまでに激増した〔16〕。
- *公衆衛生長官のジョイスリン・エルダースは、1987年から1992年までの間、アーカンサス州の保健長官を務め、24のハイスクールを含め、あらゆる方法でコンドームの使用拡大を推進した。結果は予想通りだった。アーカンサス州のティーンの妊娠率は、1989年から1992年までで17%上昇し、ティーンエージャーの梅毒感染率は130%、HIV感染率は150%増加した〔17〕。
図3は、コンドームが妊娠の予防にことごとく失敗していることを調査結果として示した主な専門家の発言をまとめたものである。
当然ながら、現実的および倫理的な理由から、人間のカップルを実際に利用してHIVの感染率を調査した試験は極めて少ない。マイアミ大学医学部の研究において、コンドームを正確に使用したHIV感染者の妻10人のうち3人が、18ヶ月以内にエイズ関連症候群を発症したことがわかっている〔18〕。
このことから、感染率は、1年間で21%、2年間で38%、3年間で51%、5年間で70%、10年間で91%になることがわかる。「The Lancet」のある記事は、下記のように結論づけている。
パートナーの1人がHIVに感染している場合、コンドームの問題によって起こりうる結果は甚大であり、また、問題が生じる可能性が十分に高いことから、リスクグループによるコンドームの使用を「安全なセックス」と呼ぶべきではない・・・コンドームによる失敗率は、相当高いものである:パートナーの男性が唯一の避妊法としてコンドームを使用する女性の13~15%は、1年以内に妊娠するのである〔19〕。
図4は、コンドームはエイズなどの性感染症の予防に効果がないとする主な専門家の意見を抜粋したものである。
図3。妊娠の予防におけるコンドームの無効性を主張する専門家の意見
- 「避妊に関する詳細な文献のレビューを行ったところ、結果にばらつきがあることが判明した。報告されているコンドーム使用による失敗率は、年間約2~35件の意図しない妊娠と幅があるが、控えめな総意としては、一般人口において、ユーザー100人中、8件である。単純に計算すれば、5年後には、この方法で妊娠する数は年率の5倍ということになる。したがって、コンドームの使用から5年後には、実際に100人のユーザーを含むこの集団での妊娠件数は、約40件ということになる。」
- -ステファン・ジェニュイス医学博士「コンドームはどうか?」リスクの多いセックス(第2版)〔エドモントン、アルバータ:KEG Publishing、1991年〕。
- 「パートナーがコンドームを1年間使用したとして、女性100人のうち、3人~36人が妊娠する。」
- -米国保健教育福祉省。「避妊:選択肢の比較」
- 「オックスフォード/家族計画協会の避妊調査において、コンドームをきちんと使っていたカップルが1年以内に予定外の妊娠を経験した確率は4%だった。一方、全米家族調査が示したより一般的なデータでは、コンドームを使っていたカップルの6%~22%が1年以内に妊娠したことがわかっているが、その確率は、女性の年齢やカップルが妊娠を遅らせたいと思っているか、防ぎたいと思っているかによって異なった。HIV感染に関する保健教育資料では、コンドームの限界を強調しているものが少ない。」
- -M.P.ヴェシーおよびL.ヴィラード・マッキントッシュ。「コンドームとエイズの予防」The Lancet、1987年3月7日、568ページ。
- 「コンドームに問題があった場合に中絶という援護策を使用することで、死亡のリスクを最小限に抑え、予定外の出産から女性の生殖生活を十分守ることができる。ただし、一部の女性にとって、少なくとも一度は中絶する可能性が高まることから、こうした方法は道徳的に受け入れがたいものと言える。」
- -K.オレイ他。選択:健康リスクの評価および避妊法の利点〔アラン・グッドマッハー研究所、1983年〕、60ページ
- 「唯一または主な避妊法としてコンドームを使用している家族計画クリニックのクライアントを調査した結果、適切に使用するための5つのステップをすべて踏襲していたのは、388人の女性中、わずか1.3%だった。」
- -マリリン・エリアス。「コンドームが正しく使用されている例はめったにない。」USA Today、1991年12月13日。
- 「国際エイズカンファレンスの講演者で、マニトバ大学の教授でもあるリチャード・ゴードン博士は、実際の被験者に赤色色素を用いた研究を行い、コンドームを正しく装着していても、オーガズムの前後に精液が漏出していると報告した。」
- -ビバリー・ソティル-マローナ。「コンドームとエイズ」America、1991年11月2日。
- ある試験の結果、臨床試験で使用されたコンドームの14.6%が、性交または抜去の途中で破損またはペニスから滑脱したことが判明した。イギリスのマンチェスターの家族計画クリニックで行われた試験では、過去3ヶ月間だけでも、回答者の52%がコンドームの破損や滑脱を経験していた。
- -アラン・グッドマッハー研究所。家族計画の展望、1992年1月/2月。20~23ページ。R.J.E.カークマン、J.モリスおよびA.M.C.ウェッブ「ユーザーの体験:メイツv. ヌフォームス」も参照。British Journal of Family Planning, 1990;15:107-111。
- 政府支援によりUCLAが行った29銘柄のコンドームの有効性調査において、信頼度は最高98.9% から、極端に低い21.3%だった。
- -「コンドームの信頼性」Los Angeles Times、1988年6月29日。
図4:エイズなどの性感染症の予防におけるコンドームの無効性を主張する専門家の意見。
- 「これらの結果から、コンドームはどれも同じではないことがわかる。クープ博士やエイズ対策グループ、コンドーム推進者は、この点について極めて不注意だった。Lifestyles Conture、Trojan Ribbed Natural、Trojan RibbedそしてContracept Plusのすべてにおいて、ウイルス漏出証拠が確認された。検査した各ブランドのコンドーム10個のうち1個で漏出が確認された。ただし、Contracept Plusでは、25回の試験のうち10回で〔HIV〕ウイルスの漏出が認められた。」
- -セシル・フォックス博士、Allan Parachiniでの引用。「コンドームの調査により、ブランド間で大きな違いがあることが判明した。」Los Angeles Times、1988年6月29日。
- 「パートナーの1人がHIVに感染している場合、コンドームの問題によって起こりうる結果は甚大であり、また、問題が生じる可能性が十分に高いことから、リスクグループによるコンドームの使用を「安全なセックス」と呼ぶべきではない・・・コンドームによる失敗率は、相当高いものである:パートナーの男性が唯一の避妊法としてコンドームを使用する女性の13~15%は、1年以内に妊娠するのである。」
- -ジェフリー・A・ケリーおよびジャネット・セントローレンス。「エイズ予防としてのコンドームに関する注意」The Lancet(Journal of British Medical Association)。1987年2月7日、323ページ。
- 「専門家も一般大衆と同様に、コンドームを使ったセックスを安全だと考えている・・・コンドームを使った場合の妊娠率が10%であることを考慮すると、こうした考えが誤った安全認識を生む原因になっている。我々は、コンドームを完全に安全なものとして提案することは無責任だと考えている・・・コンドームを使ったセックスは安全であると人々に助言し、間違った安全認識を持たせることで、パートナーを死に追いやってしまうのである。」
- -Journal of Sex and Marital Therapy、1986年秋号、164ページ
- 「これまで述べてきたように、コンドームは、ヒト乳頭腫ウイルスや単純ヘルペスウイルスなど、感染者の性器全体に存在することが多く、皮膚接触によって感染する疾患に対する防御効果を持っていない。コンドーム教育を強化しても、こうしたウイルスの感染を抑制することはできないだろう。」
- -ステファン・ジェニュイス医学博士「コンドームはどうか?」リスクの多いセックス(第2版)〔エドモントン、アルバータ:KEG Publishing、1991年〕。
- 「当局は、失敗率が高いことから、コンドームを避妊法として認めておらず、エイズ抑制に効果的どころか、事態を悪化させるものと述べている。性活動が活発な男女は、予防法を用いるという理由だけで自分たちは安全だと考えるべきではない。安全なセックスというメッセージは真実ではない。6つの薬室に弾丸を1個だけ入れるロシアン・ルーレットさながらの賭けなのである。」
- -ブルース・フェラー医学博士、マリポサ研究基金 研究員、Lindsey Grusonで引用。「コンドーム:専門家が怖れる安全の誤認識」The New York Times、1987年8月18日。
- 「コンドームは、カップル18組のうち、3組においてHIV感染を防げないことから、HIV予防におけるコンドームの失敗率は、17%と考えられる。」
- -ジェームス・J・ゲダート医学博士、「安全なセックスとは?」New England Journal of Medicine、1987年10月21日、1,340ページ。
- 「コンドームは、淋病および理想的な条件下でさえも梅毒の予防法として役に立たない。」
- -ニコラス・J・フィマラ医学博士、マサチューセッツ州公衆衛生局。「性病の予防におけるコンドームの有効性」New England Journal of Medicine, 1971年10月21日、972ページ。
エイズ予防におけるコンドームの有効性は、主に2つの理由から、妊娠予防における有効性より著しく劣っている:
- *カップルは、生理周期の一時期(「受精時期」)、すなわち一周期中5~7日の間で妊娠する。一方、生理周期に関わらず、HIVへの感染は可能である。
- *精子はHIVウイルスより著しく大きい。精子の頭部は、直径約3,000~5,000ナノメーターだが、HIVウイルスの直径は、約100~120ナノメーターである(1ナノメーター=10億分の1メーター)〔20〕。
III.コンドームと漏出
A.覚えておくべき主なポイント。
ラテックスのコンドームにHIVウイルスが漏出する程の孔があるかどうかについて、中絶反対団体の中で議論が起こっている。
本書で説明するとおり、実際に、ラテックスのコンドームからは、時々HIVウイルスが漏出している。ただし、下記の点については十分な主張が行われていない:
ラテックスのコンドームからHIVウイルスが漏れるリスクは、コンドームの傾向である頻繁な破損、破れ、滑脱によるHIVウイルスへの大規模な暴露というリスクに比べれば些細なものである。
中絶反対論者は、コンドームにHIVウイルスが漏出する程の孔があるかどうかを巡って延々と続く議論に引きずられるべきではない。コンドームから実際にウイルスが漏れるかどうかをその場で証明できない以上、これは、重要な問題からの逸脱に過ぎない。第一、携帯用の電子顕微鏡を持ち歩いている人がどこにいるというのだ?この問題の両面について、数百件もの調査が行われている。
コンドームに関する議論において、中絶反対論者は、確固とした基盤に立った上で、コンドームの重大な不具合による失敗率について論じるべきである。
B.複雑な問題。
ラテックスのコンドームがHIVウイルスからの防御になるかどうかを巡り、多数の議論が行われている。疾病対策センター(CDC)は、破損のないラテックスのコンドームを適切に使用することで、エイズウイルスを遮断できると主張している〔21〕。この主張は、ラテックスのコンドームがエイズウイルスの阻止において99%以上有効であるとする一連の調査を根拠にしている。
これらの調査は、いずれも2つの重大な欠陥が内在している:
- (1)いずれの調査も、サンプルサイズが極端に小さい(各コンドームメーカーについて1~10個)。
- (2)実際の性交中に体内で起こっている状況をシミュレートできていない。天然ゴム(ラテックス)に元々存在する、自然発生的な裂け目は、直径5~70ミクロンである〔22〕。平均的な精子は直径約5ミクロン、平均的なエイズウイルスは約0.1ミクロンである〔23〕。このことから、サイズの観点から、飼い猫が空いているガレージのドアを通り抜けるように、エイズウイルスはラテックスの裂け目を簡単に通過できると考えられる。中絶推進論者らはこの事実を声高に反対するが、この主張を裏付ける証拠を出すことができない。
ただし、ラテックスのコンドームはエイズウイルスを防げないと結論する前に、2つの要素について考慮しなければならない。
(1)コンドームの支持者は、水分子が水素結合を通じて相互に「接合する」する点を重視している。これを理由に、彼らは、水をベースとする懸濁液内のエイズウイルスが、運動、摩擦、圧力、侵食という力のない状態で、たとえその100倍の直径を持つ孔でも、それを通過できるというのは疑わしいと主張している。言い換えると、水分子の塊が、コンドームの隙間を「埋めている」というのである。
しかしながら、標準的なコンドームの浸透性試験が示すように、コンドームからは実際に水が漏れる。浸透性試験では、コンドームを300mlの水で満たして結び、次に漏水がわかるように紙の上で転がす方法を取る。
ある試験では、研究者が、コンドームに直径約10ミクロンの孔を慎重に開け、次に標準的な漏水試験を行った。エイズウイルスの100倍の直径を持つ孔があるにも関わらず、コンドームの75%は試験に合格した〔24〕。
別の試験では、複数のブランドのコンドームに人工的な孔を空けた。大きさ1ミクロンの孔-HIVウイルスの直径の10倍-を持つコンドームの90%が漏出試験に合格した。この試験では、(水の結合力を低下させる)界面活性剤を液体に注入した。コンドームの潤滑剤の大半は、界面活性剤として作用する〔25〕。
これらの試験から、表面張力に関わらず、コンドームから水が漏れることが証明された。
(2)ラテックスのコンドームは「二重加工」、すなわち、一層目の隙間のすべてまたはほとんどが、2層目で充填される仕組みになっている。伸展したコンドームの連続SEM(走査型電子顕微鏡)写真では、2,000倍に拡大しても、明らかな隙間は認められない〔26〕。
上記の通り、標準漏水試験に合格したコンドームの多くにおいて、実際にHIVウイルスの大きさの粒子が漏れるという事実を考えると、これは見当違いの理論と言える。
C.SEM画像の技術解析。
コンドーム支持者は、上記のポイント(2)を繰り返し用いて、ラテックスのコンドームがHIVウイルスの阻止に非常に効果的であると主張している。実際、ラテックスのコンドームを伸展し、走査型電子顕微鏡で極めて大きく拡大して見たところ、孔の存在は確認できなかった。
伸展したラテックスのSEM画像に孔が存在しなかったとしても、伸展という動作によって素材に加わる力は1種類、すなわち横方向に一様の力であることに注意する必要がある。これは、子ども用の風船を膨らませたときの力に似ている。このとき、バルーンの表面には、力が均一且つ一定に加わっている。
SEMを使った場合、横方向に一様の力が加わったコンドームの静画しかなく、実際の使用条件下でコンドームに存在する孔の正確な「画像」を得ることはできない。
性交の最中にコンドームに加わるその他4種類の力をSEM画像で同時にシミュレートすることは、物理的に不可能である:
- (1)圧力/応力(水平応力の軸に対して垂直)。子どもの風船を持ち、1極から他極へ伸ばす力。
- (2)剪断応力(臨界点でのねじれ方向または斜めの応力)。子どもの風船を両端で持ち、両極を反対方向にねじる力。
- (3)摩擦応力(接触している2面間の水平の動きによって生じる摩擦)。子どもの風船を持ち、粘着性の表面をこすること。
- (4)体液と潤滑剤の混合による侵食応力。機械的応力が繰り返し、同時に加わることで増大する。
5種類の力のうち、わずか1種類を加えたときに孔がないからといって、ラテックスのコンドームを安全と断言するのは、滑らかで水平な道路を故障することなく、時速25マイルで真っ直ぐ走ることができる新型ジープが、厳しいオフロードでも安全に走行できると断言するようなものである。
ラテックスのコンドームに孔があるという事実は、実際の性行為の状況を初めてシミュレートした1992年の食品医薬品局(FDA)による大規模調査において明らかにされた。
この調査では、検査対象としたコンドームの3分の1において、HIVウイルスと同じ大きさの粒子の漏れが確認された〔27〕。注目すべきは、これらのコンドームがすべて先に行われた標準漏水試験に合格していたことである。
また、コンドームの長所や短所を議論するには、ヒトの精子の頭部は直径約50ミクロン(0.002インチ)で、HIVウイルスの頭部は約0.1ミクロンであることに留意する必要がある〔28 〕。このことから、破損のないラテックスのコンドームで効果的に遮断できる精子は、HIVウイルスより100万倍も大きいことがわかる。
このサイズの違いは、体重5トンの雄象と小型のイエバエの違いに相当する。
IV.コンドームと性感染症の予防
「HIV陽性の人とのセックスを熟慮する人のセックスほど安全なセックスはない。」
-マイケル・ゴットリーブ博士、後にエイズと呼ばれるようになったゲイ関連免疫不全(GRID)に関して疾病対策センターに最初の報告を行った科学者〔29〕。
保健当局は、コンドームが(完璧に使用され、破損、漏れ、滑脱がない場合に)淋病や梅毒などの性感染症を効果的に阻止するという考えを示している。ただし、コンドームの誤使用や破損があると、HIVウイルスだけでなく、こうした疾患にも大々的に暴露することになる。
さらに、破損のないコンドームを常に完璧に使用していたとしても、性器全体に感染することの多いヒト乳頭腫ウイルス(HPV)や単純ヘルペスウイルス(HSV)といった皮膚感染STDを防ぐことはできない。また、淋病やヘルペスなど、STDの多くは、複数の性的パートナーとの間で行われるオーラル・セックスによって感染する〔30〕。
こうした問題は、一部のSTDが再流行する原因の一部となっている:
- *性器クラミジア感染は、米国で最も多い細菌性STDで、予防可能な不妊および子宮外妊娠の最大の原因となっている。毎年、新たに50万件のクラミジア症例(最も一般的な性感染症)が報告されている〔31〕。
- *陰部疣贅(尖圭コンジローム)は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)を原因とする米国で最も一般的なウイルス性STDで、毎年、新たに300万件が報告されている。HPVは、性活動が活発な若い女性の約50%に存在し、その他のSTDと同様に、複数の性的パートナーがいることや、性交経験が早かったことと関係している。
- *米国では、毎年、約400,000件の淋病症例が新たに報告されており、その多くが耐性菌を原因としている。感染した男性の4分の1は無症状のままである。淋病は、口内粘膜など、他の粘膜にも感染する。淋病は、放置すると、不妊、骨盤膿瘍の他、感染者である母親から生まれる子どもが重大な疾患を持つなど、極めて重篤な結果を招くことになる〔32〕。
- *B型肝炎は、発展途上国において、特に危機的な問題となっている。B型肝炎は、慢性肝炎、肝硬変、癌、肝不全の原因となり、死に至ることもある。B型肝炎を治癒する方法はなく、発展途上国では、一般国民の最大20%が感染の徴候を示している。
- *陰部ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)を原因とし、米国では、現在、約3000万人が感染しているが、その大半は無症状である。症状が発現している患者では、陰部または口の周りに痛みのある潰瘍ができる。
- *骨盤内炎症性疾患(PID)は、その他のSTDおよび淋病や大腸菌などのウイルス/細菌による感染の結果生じる疾患である。米国では、毎年、100万人の女性がPIDを患い、その20%が入院している。また、PIDは、卵管にも炎症を起こし、子宮外妊娠の最大の原因となっている。
- *最も致命的なSTDのひとつである梅毒は、1990年に米国で新たに134,000人が感染者となり、先日、患者数が40年間で最大となった〔33〕。梅毒を放置しておくと、発疹、組織の変性、麻痺、動脈瘤、失明、死亡の原因になる。
医療専門家の中には、ティーンの妊娠、エイズ、アルコール依存症、薬物使用の「蔓延」を主張する人がいる。こうした主張の一部は誇張されたもので、適切な統計解析による裏づけを持っていない。
しかしながら、STDの蔓延は、決して誇張されたものではない。米国だけで、20種類のSTDのうち1つ又は複数に感染している人が1億人を超えており、紙のように薄く、ほとんど重さもないポリエチレンやラテックスのコンドームにこの蔓延の抑制を期待することは、非現実的である。
すべてのSTDを完全に撲滅する唯一の方法は、結婚前は禁欲し結婚後は貞潔を守る、という神の計画に従うことである。
もちろん、性教育者やコンドーム販売会社は、神の計画は「現実的な」解決策でないと主張するだろう。
彼らは間違っている。
禁欲/貞潔が唯一効果のある解決策である以上、同様に、唯一現実的な解決策なのである。医療専門家が今後10年、20年かけて非実用的な方法でSTDの蔓延を抑えようと努力したとして、彼らも結局は同じ結論に到達するだろう。残念ながら、国民の教育にかかる費用は法外に高いものになるだろう。数百万人の生命が不必要に失われ、さらに多くの人々が無用な惨めさを味わうのだから。
V.ティーンエージャーとコンドーム
A.ニューヨークタイムスのコメント。
1997年、ニューヨークタイムスは、学校でコンドームを配ることはティーンエージャーによるセックスの増加につながらない、という常識では考えられない見解を述べた研究をトップ記事で取り上げた〔34〕。
地元のABCストアで使えるビールの無料券を学校で配布したら、ティーンエージャーによるビールの消費量は増えるだろうか? もちろんそうだ!そうでないと主張する人は、現実をわかっていない。
コンドームを配っても性行為は増えないと主張することは、車とそのキーを配っても運転する人が増えないと言っているのと同じである。
ともあれ、ニューヨークタイムスが引用した調査の主任研究者は、中絶と避妊を誰よりも世界に広めたアラン・グッドマッハーの娘、サリー・グッドマッハーに他ならないのである。調査を支援したのは、コンドームを普及する団体に大金を投じているロバート・ウッド・ジョンソン基金だった。
この場合は、ニューヨークタイムスは、決まりきった結論が利益の衝突によってもたらされたことに全く気づいていないようだ。そして、そうした利益の衝突は、中絶推進論者の間に存在するものに限られている。
もしこの調査が、バチカンの資金援助を背景に、中絶反対を唱える有名な司祭によって行われたとしたら、ニューヨークタイムスはそれを認めるのか(ましてトップニュースにするのか)?もちろんそんなことはない!ニューヨークタイムスは、調査結果を読むことさえせずに、掲載を却下するだろう。
しかし、「正しい」結論であれば、その限りでない・・・
彼らの悲惨な記録から、コンドームを使う大人より道理に合わないことをしているのは、特に公立学校でティーンエージャーにコンドームを配っている大人たちということになる。
B.アラン・グッドマッハー研究所の反論。アラン・
グッドマッハー研究所の家族計画論の記事には、18歳未満の少女の間で、コンドームによる避妊に失敗する確率を年18.4%と記載している。つまり、3年以内に、コンドーム利用者の半分以上が妊娠するのである。
著者は、次のようにも述べている。「報告されている独身女性の中絶件数は、実際より相当低いことから、この確率は控えめな数値になっている。中絶の報告件数が完全であれば、失敗率は、 1.4倍になると考えられる。」〔35〕
C.学校でのコンドーム教育の結果。
学生にコンドームを配布した学校を対象にした調査から、以下のデータが明らかになった。
ある著者は、米国のハイスクールで行われた最初の無料コンドーム配布プログラムの悲惨な結果を報告している;
この〔コロラド州アダムスシティ〕ハイスクールがコンドームを無料配布するプログラムに最初に参加した学校の1つになってから、3年間で、出産率は全国平均の学生1, 000人当たり58.1件〔年間〕の31%増まで急増した。
昨年、アダムスシティでは、76人の学生が、10代で母親になった。今年は、100件以上の出産が予想されている。その結果、画期的な教育的・社会的プログラムによってコロラド州全土で有名になった同校の関係者は、釈明を求める事態に陥っている。」〔36〕
VI.コンドームがHIV/エイズに無効であることを示した国際的な症例研究
A.ウガンダ。
1986年、政権についたヨウェリ・ムセベニ大統領は、ウガンダで行われている危険な性行為の蔓延を改善しようと、直ちに徹底したキャンペーンを開始した。
1991年、ウガンダは、成人のHIV感染率が世界で最も高い国のひとつだった。国内の成人の15%が感染していた。10年後、ウガンダは、HIVの感染率を2/3も減らし、わずか5%とした。その当時HIV感染率の減少に成功したのはアフリカではウガンダだけで、同国におけるHIV罹患率の減少は、世界最大となった。
この大幅な減少のポイントとなったのが、HIV感染の抑制法として他の国では却下されたABCプログラム、すなわち、結婚までセックスを慎む、パートナーに貞潔を尽くす、禁欲や貞潔に従えない場合はコンドームを使う、という方法の実施だった。メッセージの焦点は、単に国民に「コンドームを使わせる」のではなく、危険を伴うセックスを減らすことだった。
政府、教育機関、宗教団体およびメディアのネットワークを通じてABCメッセージを継続的に報道することで、次第に、研究者たちが「HIVに対する極めて有効な社会的ワクチン」と呼ぶ状況、つまり国民の行動に大きな変化が現れた。2000年から2001年にかけて行われたウガンダの人口・保健調査では、ウガンダ国民の93%がHIV/エイズを回避するために性的行動様式を改めたことが判明した。
ヘリテージ基金は、ウガンダから学んだ主な教訓として以下を示している:
- (1)リスクの高い性的行動は、健康的なライフスタイルによって抑制し、別の行動に差し替えることができる。ウガンダ国人は、彼らの言うところの「ゼロ・グレージング」、すなわち一人のパートナーに誠実であるという態度を徐々に受け入れていった。
- (2)禁欲と結婚における貞潔は、HIV/エイズの拡大防止において最重要な要素と思われる。大方の予想に反し、若いウガンダ国民は、禁欲推進メッセージを広く受け入れた。1989年から1995年にかけて、未婚の男性がセックスをする割合は60%から23%に、未婚の女性がセックスする割合は、53%から16%に減少した〔37〕。このことから、ティーンエージャーは、「荒れ狂うホルモン」の無力な奴隷というわけではないことがわかる。
- (3)コンドームは、HIV/エイズの感染抑制にあまり役に立っていない。ムセベニ大統領自身も「私たちは、ゴムでできた薄いコンドームが私たちとアフリカ大陸の死を隔ててくれると教えられてきた。特にHIV陽性のカップルでは、コンドームがひとつの防御手段となるが、エイズの波を食い止める主だった手段にはならない。」と述べている〔38〕。ウガンダ政府は、売春婦など、特にハイリスクなグループのみにコンドームの使用を勧めた。ウガンダ国民の大半は、コンドームの使用を拒否した。USAIDの国際衛生長官であるアン・ピーターソン医学博士は、「コンドームは役に立つ。何もしないよりは使ったほうがよい。しかし、ウガンダのサクセスストーリーの主役はAとBであり、Cの役割はごく小さいものだった。」と述べている〔39〕。ウガンダとは対照的に、コンドームの使用率が高い国では、エイズの罹患率も世界最高レベルとなっている。ジンバブエ、ボツワナ、南アフリカ、ケニアなどがその例として挙げられる〔40〕。
- (4)宗教団体は、エイズ対策において極めて重要な役割を果たしている〔41〕。コンドームの使用を勧める団体は、HIV/エイズとの闘いは非宗教組織だけの問題であり、宗教団体がその騒動に加わる余地はないと考えている。しかし、ABCプログラムの開始当初から、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の信仰に基づく団体が重要な役割を果たしている。
下記を含む国際的な保健機関の多くがABCプログラムについて徹底した調査を行い、ABCプログラムを有効と評価している:
- *米国国際開発庁(USAID)は次のように述べている。〔HIV/エイズ〕の罹患率の劇的な減少は、世界でも珍しく、詳しい調査が行われている〔42〕;
- *国連エイズ合同計画(UNAIDS);
- *世界保健機関(WHO);および
- *ハーバード人口開発調査センター〔43〕。
ウガンダでABCプログラムが成功し、数十万人の生命が救われたことに疑問の余地はないが、コンドームの利用推進者たちは、役に立たないことがわかっているプログラムを尚も支持し、禁欲という方法を軽んじている。
例えば、世界HIV予防活動グループは、2002年7月、「HIV予防に向けた対策:活動計画」と題したレポートを発表し、プログラムの一貫として、性教育、コンドームの配布、注射針交換プログラム、ならびに抗レトロウイルス薬の販売および利用数の増加を強調した。このレポートでウガンダの成功例が簡単に紹介されているが、ウガンダで実際に起こった事実に反し、同国におけるHIV感染率の低下は、大々的なコンドームの利用推進と配布によるものであるという説明がなされている〔44〕。
実際のところ、コンドームはエイズの拡大を抑制していない。2004年、Journal Studies in Family Planningは、「コンドームの利用を勧めることでエイズ拡大の大幅な抑制に成功した国はない」と結論している〔45〕。
B.フィリピンおよびタイ。
次に、コンドームによるHIV/エイズの拡大抑制に失敗した例として、ほぼ同じ人口を持つ東南アジアの2カ国、フィリピンとタイが挙げられる。
1984年、これらの国でHIVの症例が初めて報告された。1987年までに、タイではエイズが112例、フィリピンでは135例に上った。1991年、世界保健機関は、1999年までに、エイズによる死亡者は、タイで70,000人、フィリピンで85,000人になると予想した。
1991年、両国は、HIVウイルスの拡大に対して具体的かつ包括的な対策を開始したが、その努力は、予想と全く異なる結果を招く事になった。
タイの保健相は、「100%コンドーム使用」プログラムを実施した。すべての売春宿は、コンドームの供給が義務づけられ、スーパー、バー、レストランなど、人々が集まる場所にコンドームの自販機が設置された。このプログラムはタイの人々に広く受け入れられ、実行された。
2年後、レネ・ブレサー医学博士は、フィリピンカトリック司教会議(CBCP)から、HIV/エイズに対抗するための公的プログラムとしてエイズ・フリー・フィリピンの設置を推進する権限を与えられた。政府もこの取り組みを支持した。
2003年末までに、下表に示すとおり、これらのプログラムの有効性に大きな差があることが明らかになった:〔46〕
項目 —- タイ —- フィリピン
HIVに感染している成人および小児 —- 570,000 —- 9,000
2003年のエイズによる死亡 —- 58,000 —- 500
人口 —- 62,833,000 —- 79,999,000
100万人あたりのHIV感染率 —- 9,072 —- 113
この表から、タイのHIV感染率がフィリピンのHIV感染率の8倍であることがわかる。
米国における現在のHIV感染率は、性教育、フリー・セックス、高度な抗ウイルス薬、数十億個のコンドーム配布を背景に、フィリピンの30倍以上に相当する人口100万人あたり3,900人となっている〔47〕。
このことが我々に示す教訓とは?
USAIDは、フィリピンにおいてHIV/エイズの罹患率が低いのは、禁欲する若者の割合が高く、既婚者の大半が配偶者への貞潔を守っていることが理由としている。USAIDは、「カトリック教会に性行為に影響を与える力があること」をしぶしぶながら認めている〔48〕。
C.「禁欲は失敗率が高い」。
多くの場合、コンドームの利用推進グループは、禁欲は効果がないと指摘している。「Catholics for a Free Choice」が配布したポスターには、「禁欲は失敗率が高い。」と記されている〔49〕。このスローガンの背景には、性行為を行わないという意図や正式な誓いにも関わらず、人々が情熱に突き動かされて性行為に及ぶという考えがある。
これは非論理的で矛盾した主張である。避妊を行わなければ、失敗の原因をその方法に帰することはできない。コンドームに関する正式な調査において、コンドームを使うつもりでいたにも関わらず、実際に使わなかったカップルが妊娠したことがわかれば、彼らの妊娠は、コンドームそのものを原因とするものではないと言える。
同じ基準が禁欲にも当てはまる。もし何らかの理由でカップルが性行為を行い、妊娠やSTDに至った場合、禁欲をしていないのだから、禁欲をその原因にすることはできない。
D.単に「認めよう」としないだけ。
ウガンダにおいてエイズ蔓延の抑制が大成功したにも関わらず、エイズの回避を目指すフィリピンでは、人口抑制提唱者、「家族計画提案者」、コンドーム推進者が、誤りであることが証明されているプログラムを積極的に進めている。これらの団体や提唱者は、予想に反する影響を示す明らかな証拠が多々あるにも関わらず、彼らのプログラムがエイズ危機に対する唯一の「現実的な」解決策であると信じているのである。
明らかに死者の増加と苦痛の原因を作っているにも関わらず、なぜ彼らは自分たちのプログラムを推し進めるのか?
- (1)これは、性に関しては人間も他の動物と代わりがなく、自由意志を持たない、あるいは自由意志が著しく減退しているという昔からの思考様式に起因している〔50〕。こうした考え方は、時代遅れの古い哲学であり、もっと現代的で効率的な考え方を優先し、このような古い哲学は捨てるべきである。残念ながら、この古めかしい観念を持った人の多くは、「家族計画」や「生殖の健康」の専門家として、コンドームの配布を含めたプログラムへの資金提供とその実行に携わっている。
- (2)それが彼らの仕事なのである。コンドームの推進をやめれば、他に儲かる仕事を探さなければならなくなる。実際、コンドームの販売は非常に儲かる仕事であり、コンドームを使う人の健康にリスクが及ぶとしても、そこから得られる収入は守らなければならないのである。1987年のロサンゼルスタイムスに、下記の記事が掲載された。「コンドーム業界は、連邦政府の支援を受けてエイズウイルスの感染予防におけるコンドームの有効性を調査するロサンゼルス研究を失速、遅延、あわよくば中止させようと、強力なキャンペーンを打ち出した。」〔51〕
- (3)コンドームは、いかなる宗教の信仰よりも独断的な「進歩的」思考網の一部である。この思考様式において、「コンドームは優れている」という考え方が教訓の1つとして教え込まれているのである。
- (4)人口抑制提唱者とコンドームの推進者は、明らかに怠慢である。対応方法を変えるという面倒を引き受けるより、問題対策としてコンドームの利用を主張するほうがずっと簡単なのである。
- (5)この方法を提案する団体は、人種差別的な人口管理計画に強く傾倒している。ロスロップ・スタッダードが、マーガレット・サンジャー全米避妊同盟(後の全米家族計画連盟)の理事に就いた。サンジャーの著書「Birth Control Review」において、ロスロップは、今も人口抑制提唱者の間に存在する不安として、人種差別論者の「差別生殖力」の恐怖を生々しく語っている:
・・・人の生命の質において、その他のものは・・・どの有色人種においても、出生率の減少を示す明らかな兆候はなく、最低限の生活が可能な限り子どもを生む傾向がある・・・これが意味することはただ一つ、すなわち、人口過剰になった有色人種の母国から、余った有色人種が大量かつ着々と流出することである・・・しかし、比較的人口の少ない〔北部の〕土地の多くは、まぎれもなく白人専用の遺産としてこれまで存続してきた・・・
その〔「有色」人種の〕突出した性質は、過剰なまでの動物的生命力を生む。この点において、有色人種は、簡単に他の人種の数を上回るだろう。有色人種は、感情本位である。また、高い生殖能力により、黒人はすぐに繁殖することができる。こうした豊富な生命力は、様々な面で垣間見ることができる。例えば、黒人には、他の人種ならすぐに死んでしまうような厳しい労働環境においても生き残る力がある・・・黒人の血は、一旦血統に入ったら、再び外に出ることはないと思われる・・・
白人は、その種の存続に危機が迫っていることを受け、白人居住地域へのアジア人の移民を認めるわけにはいかない・・・現実はかくも厳しいものとなっている:白人全体が、社会全体の不妊化、ならびに数の多い有色人種に最終的に取って代わられる、または吸収されるという深刻かつ差し迫った危機に面しているのだ。
そしてもちろん、より原始的な人種ほど、より高い優性遺伝力を持っている。黒人との交雑が一様に破滅的なのはこのためである。白人、アメリカインディアン、アジア人-これらはすべて、より原始的で、普遍的で、第3世界の黒人の血が持つ目に見えない優性遺伝性によって征服されてしまうだろう。
・・・白人の土地での白人同士の移住であろうと、有色人種の侵略であろうと、最終的な結末は、第3世界の人々の血統の拡大と第3世界の人々でない血統の縮小であり、そのプロセスにおいて遺伝子が排除されることになるだろう。
人種改良は、現実問題としてかくも重要なのである!人口の質がその繁栄、進歩、安全、そして生存までをも左右することに人々が気づくころには、悪質な「優性学者」が社会の仕組みや政治政策を実際に牛耳っていることになるだろう・・・我々や次の世代は、人種減少の問題を抱え、より良い血統を脅かす欠陥人間の隔離や身体障害者の排斥により、我々白人人種の減少に歯止めをかけようとしているだろう〔52〕。
実際、争議の種になりそうな問題が提唱されている:コンドームが有効でないことを知っているとして、米国などの先進国はなぜ毎年アフリカに数十億個のコンドームを送り続けているのか?理想的な大量殺戮の形は、ほとんどの人が想像できないもの-人助けだと主張しながら、一方で彼らの絶滅を支援することなのである。
ウガンダのABCプログラムの成功が証明されているにも関わらず、影響力のある多くの団体や人物がウガンダのプログラムおよびアメリカがそれを支持することを尚も批判し続けている:
- *米国代議士であるバーバラ・リーは、次のように述べている。「毎年、約500万人が新たに感染し、若い女性にとって禁欲が難しい時代に、結婚まで禁欲するというプログラムは的外れで、人間の気持ちへの配慮に欠けている。禁欲が難しいことも多く、コンドームの使用だけが、彼らにとってHIVの感染を防ぐ唯一の希望なのである。」〔53〕
- *国際女性保健連合(IWHC)の会長、エイドリエン・ジャーメインは、次のように述べている。「ブッシュ政権は、基本的に人々をHIV/エイズによる死に追いやっており、その数は数千万に上る。」〔54〕
- *プレトリア大学エイズ研究センターの所長、メアリー・クルーは、次のように述べている。「ABCは、もはや誰にも支持されないある種の道徳に頼った中流階級、中高年によるエイズ蔓延への対抗策である。」〔55〕
- *ヒューマン・ライツ・ウォッチのジョナサン・コーエンは次のように述べている。「政府は、コンドームを密売品のように扱うのではなく、その使用を奨励すべきである。コンドームの使用を制限することで、エイズによる死亡者が増えることは明らかである。」〔56〕
- *国連事務総長のアフリカにおけるHIV/エイズ特使、ステファン・ルイスは、次のように述べている。「PEPFAR〔米国政府のエイズ支援プログラム〕ならびに禁欲重視という米国政府の極端な政策を背景に、ウガンダでのコンドーム政策が危機に瀕していることは間違いない・・・この歪曲した予防政策は大きな損害をもたらしており、それがなければ決して起こり得なかった膨大な数の感染を将来的に引き起こすことになるだろう。」〔57〕
- *ブラジル保健省のエイズ政策コーディネーター、パウロ・ロベルト・テクスエアラは、次のように述べている。「膨大な数の若者が性的な交際を行っている。禁欲を提唱することは現実的ではなく、不可能だ。」〔58〕
E.コンドームを売るための嘘。
ハーバード公衆衛生大学院の上級研究員で、かつてコンドームを支持していたエドワード・C・グリーンは、次のよう述べている。「アフリカなどの発展途上国において、コンドームは、100%安全であるかのように販売されている。シールドやプロテクターなど、コンドームには、それが100%安全であるような印象を与えるブランド名がついている。」〔59〕
この発言は事実である。アフリカのコンドームの販売では、最も印象的な視覚販促ツールとして、大通りに隣接するように派手な大型看板が設置され、スタジアムや学校など、人が大勢集まる場所の石壁には広告がペイントされている。こうした広告には、コンドームによる失敗率について全く書かれていない。それどころか、事実と反対のことが記されている。これらの看板には、HIV/エイズを完全に予防するために、コンドームを使用しなければならないとはっきり書かれているのである。
コンドームを完全な予防策と主張するのはコンドームメーカーだけではない。国際的な「家族計画」団体の多くも同じことを主張している。例えば、国際家族計画連盟の数ある支部のひとつ、カリブ家族計画協会(CFPA)は、「コンドーム-妊娠と性病から100%あなたを守り自由を保障します」と題したパンフレットを配布している。
VII.結論:パラシュートと予防法
パラシュートの安全記録がコンドームの安全性と同じようにお粗末だったら、スカイダイビングはとっくの昔に禁止されていただろう。これに加え、パラシュートの事故で死亡する人1人に対し、エイズなどの性感染症で死亡する人が数万人に上ることから、我々が世界的に差し迫った重要な事態に苦しんでいることは明らかである。また、ほとんどの人は、エイズウイルスの「手にかかって」何年もの間、辛く苦しい時間を過ごすより、パラシュートの故障で急死することを選ぶだろう。
コンドーム使用の推進者がよく使う例え話を紹介しよう。
あなたの子どもが墜落間近な飛行機に乗っていたとしたら、たとえ成功率が90%だとしても、パラシュートを持っていて欲しいと思わないか?
これは明らかに間違った例え話である。
もし子どもが乗る飛行機が安全でなく、墜落の危険があるとあなたが知っていたとしたら、親であるあなたにとって現実的な選択肢は、最初から子どもをその飛行機に乗せないことしかない!
Good Housekeeping Magazineは、コンドームの「承認証」の信頼性を疑い、コンドームの広告掲載さえ認めていない〔60〕。
こと避妊の問題になると、何でもまかり通るのが現状のようだ。重要なことは、あなたが安全かどうかではなく、あなた自身が、自分が安全だと思えるかどうかなのである。
A.家族計画提唱者の「反論」。家族計画提唱者が、何も語らないことでその考えを最も雄弁に語った例がある。1987年、800人の性科学者がドイツ、ハイデルベルクの会議に参加した。全米性教育者・カウンセラー・セラピスト協会(AASECT)前会長であったテレサ・クレンショー博士は、集まった人々に対し、彼らの中で、ラテックスのコンドームを使ってHIVに感染した自分のパートナーとセックスする人はいるかと問いかけた。手を挙げる人は1人もいなかった。クレンショー博士は、「健康な体と極めて有害な病気の間にバルーンを挟んでも安全は確保されない」と結論した〔61〕。
米国政府が製作したパンフレット「コンドームと性感染症」には、「コンドームは100パーセント安全ではないが、正しく使用すれば、エイズなどの性感染症のリスクを低減できる」と記載されている。
この文章をもう一度読んでみよう。アメリカ政府は、コンドームは100パーセント致命的な病気のリスクを低減できると言っているのである!
その結果、ある専門家が言うところの「危険な」現象が起きている。スーザン・ウェラーは、次のように述べている。
マイナスの効果として、コンドームの有効性が誤解され、誤った情報が提供されることになった。一般国民は、「コンドームがHIV感染のリスクを低減する」と「コンドームがHIV感染を防ぐ」の違いを区別できないだろう。コンドームはHIVの性的感染を防ぐという考えを奨励するのは危険なことである〔62〕。
コンドームがHIVの感染を80~90パーセント防ぐと主張する関係団体は数百にものぼる。これは確かに事実だが、(1)コンドームを使用する人と(2)コンドームを全く使用しない人を比較した場合に限られる。
しかしここから選択するというのは間違っている。コンドームの利用推進者は、人々は、自分を抑制できずに婚外交渉を行うという前提に立っている。コンドームを使うのは「リスク削減」であり、運を天に任せることに他ならない。コンドームの推進者は、人間が危険な行動を控えることは難しく、(危険な性行為を行うことで)常に理性から外れた行動を取っている人が、コンドームを渡された途端、理性的に行動するようになると仮定している。
実際的な判断は、(1)禁欲する、または(2)婚外交渉ではコンドームを使用するかである。禁欲のほうが安全なのは明らかである。
コンドームの利用推進者は、これに似た選択肢を提案している:スリルを求めて燃え盛る建物に入るなら、防火服を着ないより着たほうがはるかによい。
我々が言いたいことは実に簡単である:燃え盛る建物には入らないほうがずっと賢明である。
Clowes, Brian(クロウズ・ブライン)
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