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モーニングアフターピル「ノルレボ錠」の問題点


平成23年2月厚生労働省は、性交後に服用する緊急避妊ピル(モーニングアフターピル、以下MAP)日本での一般名「ノルレボ錠」の販売を許可し、実際の販売が5月24日から開始されました。 

ミニピル50錠分の成分

ピルもMAPも天然の女性ホルモンとは全く異なる、非常に分解しにくく、また極めて強力な化学合成人工ホルモンである合成卵胞ホルモンと合成黄体ホルモンの合剤からなるものと、ミニピルやMAPのノルレボ錠のように合成黄体ホルモンのみからできているものとがあります。通常のピルは21日間服用し7日間休薬します。MAPは性交後72時間以内に2錠服用し12時間後に再度2錠服用するものと、ノルレボ錠のように72時間以内に2錠を一度服用するものとがあります。 

ノルレボ錠の合成黄体ホルモンはレボノルゲストレルといい一回の使用で1.5mg服用します。毎日一錠飲むピルの一種ミニピルの一錠当たりの含有量は、レボノルゲストレル0.03mg(30マイクログラム)です。緊急避妊ピル(MAP)ノルレボ錠を1回分1.5mg服用すると、ミニピルの50日分、50錠を一度に服用することになります。いろいろ薬はありますが、一度に50日分、50錠を飲むという飲み方は考えられるでしょうか?ミニピルでさえたった一錠飲んだだけでも、全身の臓器に影響し女性の生理が狂うほど強い作用があり、長期間体に影響が残るのです。また使用上の注意に、「1.本剤投与により完全に妊娠を阻止することはできない。」と書いてあるように、MAPノルレボ錠を使用しても4回に一回は妊娠しています。要するにピルもMAPも女性の全身の臓器を、意図的にひどく病的な状態にして、その副次的作用を利用したものなのです。 

極早期化学的中絶作用

ノルレボ錠の副作用。日本国内での第三相臨床試験において、何と72.3%に副作用が認められたと、効能書きに小さく書かれています。具体的には不正出血や頭痛、強い悪心や嘔吐などです。ノルレボ錠の避妊機序は、同じレボノルゲストレルが成分のミニピルの避妊機序が参考になります。『ピル避妊のすべて』(小林拓郎編)によれば、ミニピルの避妊機序について次のよう述べられています。1.排卵の抑制。ミニピル服用者の排卵周期の15ー40%で卵巣における卵の排出が阻止されるという。要するに排卵は完全に抑制されてはいないのです。2.黄体機能への影響。黄体は外因性プロゲストーゲンの影響を大きく受けます。外から合成黄体ホルモンを与えることによって、妊娠の成立並びに持続に大きな障害をもたらすのです。3.子宮内膜の非定型的変化。受精卵が着床し、妊娠を継続するためには、子宮内膜が十分に発育し、栄養がいく必要があります。ミニピルの服用により、子宮内膜は外因性プロゲストーゲンの影響を大きく受け、充分な発育が阻止されてしまうのです。その他、合成黄体ホルモンによる様々な影響がありますが、最後にこう述べています。 

「以上、ミニピル服用時の避妊機序として推定されている諸因子について述べた。これらのうち、いかなる因子が最も重要な役割を演じているかについては明らかではない。おそらくこれら諸因子すべてが互いに協力し、総合的な働きの結果として生理的な妊娠の成立が阻止されているものと考えられる」ところが、ピルを薦める本には、ピルやMAPは排卵を阻止することだけが強調されており、受精卵の着床を阻害したり、子宮内膜の発育を阻止して、着床後早期のいのちを流してしまう極早期化学的中絶作用のことは、知られるとまずいので、徹底的に隠すわけです。しかし、ピル推進派の方達も、排卵抑制だけではなく、子宮内膜の変化によって受精卵や着床直後のいのちを流してしまう作用などが総合的に働いている事は充分認識しているのです。それなのに、通常のピルも、今回のMAPも、外向けには「排卵抑制」だから、倫理的には問題はないということしか謳っていません。 

着床前の受精卵からヒトのいのちと信じている方は宗教に関係なく大勢おられます。極早期化学的中絶作用について明瞭に説明せず、本人から承諾書も取らず用いられ、女性が後で知った場合、精神的に非常に苦しみ続けることになります。これは堕胎罪の中でも最も刑が重い不同意堕胎(6月以上7年以下の懲役、未遂も罰せられる)に該当すると考えられます。 もしピルやMAPを処方するなら、女性にこれらの作用を明瞭に説明して承諾書を取らなければならないと思います。 

子宮頸がんワクチンとピル

今、政府や自治体などが補助金を出して、11ー14歳の女子に子宮頸がんワクチンの接種を強力に進めていますが、これは一回打つと約3万円かかります。公費が使われても300万人が打ったら900億円、400万人が打ったら1200億円が製薬メーカー側に入ります。ピルもMAPも子宮頸がんワクチンもその背後に巨大な利権がからんでいるのです。 

しかも効果持続期間は数年以上あるのかどうかも分かっていません。ガンになる高リスクHPVは10数種類ありますが、現在ワクチンが効果を示すのはその内2ー4種類だけです。何年も効果を持続させようとして、免疫増強剤アジュバンドが含まれていますが、これによる不妊症や免疫障害など様々な副作用が懸念されています。子宮頸がんはウィルスHPV(ヒトパピローマウィルス)によっておこる病気です。HPVはセックスにより子宮頸部に感染します。ピルを飲んでいると免疫力が低下し、さらに感染が起きやすくなり、感染細胞ががん化しやすくなります。自分の娘に辛い思いをさせたくないと言うなら、不特定の相手との乱れた性生活などをせずに、妊娠したら中絶などせずに、共にいのちの誕生に協力することを誓い合う相手が見つかるまで、セックスをしないように教える教育をすることが、娘を子宮頸がんから防ぐ最も有効な方法なのです。母体内からのいのちを尊び、全ての人々の健康と幸せを願う私達は、賢明な判断のもと巨大な利権の餌食にならないように気をつけましょう。

Hirata, Kunio (ヒラタ・クニオ) 
医学博士 平田 國夫 
生命尊重ニュース 2011年7月号 
Copyright © 2011平成23年7月7日 
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