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スキャンダルが赤ん坊と魂を殺す

「沈黙は金なり」という格言がある。しかし沈黙によって罪が拡大する場合、この格言は真実とは程遠いものになる。 

アリゾナの司教で非常に優秀な人物であるThomas Olmstedが先日、スキャンダルが人に及ぼす悪影響についてコラムを書いた。 彼は次のように書いている;「第二バチカン公会議が具体的に言及した「スキャンダル」のひとつに、信仰と生活の分離がある。現代社会における教会の形(Constitution on the Church in the Contemporary World)(喜びと希望、#43)には、「現代社会の最も重大な過ちは、多くの人が公言している信仰と日常生活におけるその実践とに隔たりがあることである。」 

Olmsted司教は、こうした悲劇は、人間が例えば人間の権利と動物の権利の違いを認識できなくなった時、あるいは人間の尊厳と生きる権利を認められなくなった時に起こると説明している。カトリックの教義に背く生活をしながら、尚もカトリック教徒であると主張する人はスキャンダルを生み出す。そうなると沈黙に対する言い訳はできなくなる。 

Olmsted によると、「我々の言葉、作為、又は不作為により他の人を混乱や誤った方向に導き、罪に陥れるという真のスキャンダルというものもある。」道徳的相対主義の悪影響を見分けられないために、死ぬことを許されたと思う人が増えているように思われる。なぜこのようなことが起こるのか? 

信仰や良心、あるいは善行に対する強い意思にもかかわらず、直観的に間違っていることをしたいという誘惑は私たちの目の前に常に存在している。このまま悪い事をしてしまおうという決意、あるいは黙っていようという決意がなされることで、善意は間違った方向に向かう。ここから良心が蝕まれていく。気付いた時点でこれに警鐘を鳴らすのが我々の責任である。Olmsted司教は次のように教えている。「 悪を悪と口に出して指摘しないことで、将来的にさらに邪悪な行動がはびこるようになる。邪悪な行動はそれ自体がスキャンダルの最大の原因になる。加害者の責任が問われなければ、彼らは図に乗ってさらに邪悪な行動に出るであろう。」 

Raymond Burke大司教は先日、聴衆に向かって同じ事を指摘した:「現代社会ではスキャンダルについて話すことに大きな戸惑いがあり、それは視野が狭く無知の人々に限った現象であり、そうした人々が他の人を軽率かつ不当に糾弾する方法に過ぎないと考える傾向さえある。」 

これは政治的に矯正された現代社会を正に象徴している。中絶反対派を自称するアメリカ人であっても、中絶を殺人と定義したり、中絶によって赤ん坊がどのように死亡するかを事実に基づいて堂々と発言するにはためらいがある。中絶反対運動において、中絶された赤ん坊の写真を使うことは一般的でない。なぜか?その事実は公表するに値しないのであろうか? 

中絶された子どもの写真を見ることで中絶手術を受けようとしている人や大学生が動揺するといった間違った議論を持ち出す人がいる。しかし敵はこうした思いこみや誤解を利用し、我々が沈黙することでまんまと勝利を手に入れるのである。弱気の理由は慎重であるからではなく、臆病さの表れなのである。邪悪が溢れた状況で真実を黙っていることはできない。 

中絶はこうした悪のひとつである;中絶は人間、神、そして人権に対する罪である。こうした基本的な事実を否定することはできない。聖体の冒涜にも同じことが言える。聖体の冒涜はキリスト自身の冒涜である。中絶賛成派であることを公言しているカトリック教徒が聖体拝領のため司祭、助祭、あるいは特命の聖体奉仕者に近づくことはこの冒涜にあたる。さらに悪いのは、中絶賛成者に聖体を与え、聖体拝領の列に政治を持ち込みたくないと言い訳して、見て見ぬ振りをして悪事が働かれることである!Olmsted司教は次のように述べている。「教会内で聖職者や信者の行為が一般の人々に影響を与える。彼らは神聖な立場で一般の人々に信仰心を呼び起こす人々である。しかし、信者や聖職者のモラルに問題があれば、それは教会と社会に大きな害を及ぼし、さらに醜いスキャンダルの原因になる。」 

聖体の尊厳のために沈黙を守り、何も言わないことで、それを授与する人物は中絶を公に支持しても聖体を拝領できるというメッセージを発信することになり、その行動を目撃している人達の間でスキャンダルの種となる。その上、中絶を支持するこの非常識なカトリック教徒は、聖体を拝領する以前よりさらに大きな罪を犯すことになる。 誕生前の赤ん坊を殺す、聖体のうちにおられるキリストの現存を冒涜する、あるいは沈黙によって新たな悪を認めるといった行為により、邪悪が蔓延し、真実を見分けることが益々難しくなる。 

沈黙は同意であり、無言の同意によって誕生前の赤ん坊が死に、魂が失われる。唯一の対抗策は必要であればいつどこであっても意見を口にすることである。 

Brown, Judie (ブラウン・ジュディ)
Copyright © 2010.7.13
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