日本 プロライフ ムーブメント

「生命を大切にすること」について

吉永 ユリ 
聖母カテキスタ会
カトリックファミリーセンター 

二十一世紀の始まりである大聖年、紀元二千年を迎えました。(西暦)紀元は、世界中でお祝いされるイエス様の誕生に由来しています。このイエス様の母マリア様について、昨年「愛誌」に「マリアさまはいつも私たちと共に−グァダルーべの聖母−」と題して掲載されました。その後、表題のテーマで原稿を依頼された私は、神様のお導きを感じました


季刊誌「愛」
〒859-0193
長崎県比高来郡小長井町
聖母の騎士修道女会内
愛社
電話 0957-34-3432
FAX 同上

「生命を大切にすること」について-その(1)

二十一世紀の始まりである大聖年、紀元二千年を迎えました。(西暦)紀元は、世界中でお祝いされるイエス様の誕生に由来しています。このイエス様の母マリア様について、昨年「愛誌」に「マリアさまはいつも私たちと共に−グァダルーべの聖母−」と題して掲載されました。その後、表題のテーマで原稿を依頼された私は、神様のお導きを感じました。

イエス様の母、人類の母でいらっしゃるマリア様の最大の願いは、全ての人の「生命」が大切にされ、愛され、幸せに生きてほしいということだと思います。なぜなら現代ほど「生命」が粗末にされている時代はないからです。

実は昨年の十二月十二日に、熊本のカトリック教会で「熊本カトリックいのちを大切にする会」が発足し、東京で「排卵促進剤によって受積した必要外の受精卵は除外してよい」と決定する集いがもたれることになっていました。

善と悪、いのちの文化と死の文化との戦いを地でいく現実を見て、私たちの心は痛みました。「熊本カトリックいのちを大切にする会」の発起人の方々は、自分たちがしようとしていることは、神様のご意志とご計画によるものとの思いをいよいよ強くされました。

グァダルーペのマリア様の最後のご出現の日、十二月十二日に教会はマリア様のご出現を祝います。昨年はこの日が日曜日に当たっていて、会を発足するのに好都合でした。発会式の話を頼まれた私は「グァダルーペのマリアさま」について学ぶチャンスも頂き、霊名にいただいているマリア様について理解を深めることはお恵みでもありました。折よく、「グァダルーペ宣教会」日本管区長のメキシコ人の神父様が来福されました。グァダルーペの聖母について研究論文も書かれた方で、いろいろ深いお話を聴くことができました。グァダルーペのマリアさまの大きなご絵を送って下さり、発会式にカトリック・ファミリーセンターの所長ショーン・マリア・ライル神父様をとおして贈呈され、皆大喜びでした。また聖コロンバン会の一人の神父様が祖国アイルランドの妹さんとグループの方から「日本の生命尊重グループのために役立ててほしい」と預かって来られた多額の献金もありました。

グァダルーペのマリアさまは一般に先住民族インディオの女性と見なされ、胸に締めておられる紐は妊婦が用いるもの、お年は十四歳ぐらいということです。待降節のこの時期のマリア様のお腹には胎児のイエス様がいらっしゃり、神のみ子である胎児をそれはそれは大切に守っておられた母マリア様でありました。それで、熊本の発起人の方々はためらうことなく、グァダルーペのマリアさまを「熊本カトリックいのちを大切にする会」の保護の聖人としていただかれました。

なお、「グァダルーペのマリアさま」はカトリック教会の正式な「いのちの保護者」でいらっしゃいます。昨年ヴァチカンの「家庭評議会」は世界生命尊重会議をグァダルーペで開きました。

二十世紀は高度の科学の発達によって、物の豊かさが、便利さや快適な生活に拍車をかけ、欲望に歯止めの効かない人間を育てました。その蔭には搾取や戦争、暴動などの被害に泣く貧しい国や人々があり、貧富の差が激しくなりました。

神にも人にも祝福されて生まれてくるはずの「尊い生命」でさえ、都合によっては、母によって殺されるという中絶が増加し、悲しく恐ろしい時代が到来しました。六十兆分の一の確率で両親から生を受けてこの世に生まれて来る「生命」。受精の瞬間からその人の一生分に当たる三十億のデーターが書き込まれている遺伝子によって刻々成長していく神秘な生命。全能、限りない愛でいらっしゃる神のみ業としか言いようのないその尊い、かけがえのない生命は、「産めよ、増えよ、地を満たし、地を従えよ」と祝福されて結婚する者に授けられ、委ねられます。夫婦にとってこのことは、神から深く信頼され、愛されて委譲された特権であり、義務でもあるわけです。そしてこの大切な家庭を支え、助け、見守るために、多くの人々が関わって行きます。

この基本的な真理(神からの道、ご計画、期待_)に立って生きるところに、人間としての尊厳や価値、生き甲斐があります。そして神の祝福の実を結んで、かけがえのない人生を全うするのです。

新しい世紀を迎えた私たちは、神から与えられた「尊い生命」の原点に立って、過ぎた二十世紀を謙虚に振り返り、神の御心に沿って生きられるように在りたいと思います。こんな私たちにイエス様のお声が響きます。「神を愛し、隣人を自分のように愛してほしい」と。

次号からは、ご一緒に神のみ声を聴きながら、体験も踏まえて私たちの歩むべき道を具体的に見つめてみたいと思います。

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「生命を大切にすること」について-その(2)

誕生

私たちは、この世で生きるための必要な能力を身につけるために、母の胎内で九カ月余お世話になって生まれて来ます。どんな人も例外無しに。子宮とは、全能の愛深いお方が用意してくださった、この世で生涯を生きるための準備をする、聖なる大切な所です。日本語で子宮、子の宮とは良くいったものです。

何年か前、長崎で命と性の研修会がもたれた時の、島本大司教さまのメッセージに「人間の命は神聖であって、触れてはならない尊厳なのです。人間の命は、その懐胎の最初の瞬間から自然死に至るまで、責任をもって尊重され、大切にされなければなりません。特に胎児について、この事が言われます。胎児は弱く無防備の命です。だから神は、胎児の最も安全な場として母の胎内をお選びになられたのです。ところが、あにはからんや母親の胎内が胎児にとって最も危険な場となっています。母親の胎内が危険な場になった時、胎児はどこに身を隠せばよいのでしょうか。胎児には母の胎内以外に身を置く場所はありません。命の聖域である母の胎内を死の墓場とする権利は母親にも父親にも、医師、看護婦にも、だれにもありません。堕胎が重大な罪悪であるのは、神が最も安全な命の場として胎児に与えた母の胎内を、神の計画と期待に反して、死の場所とするからです」。とありました。堕胎罪とされた胎児殺しが、今は優生保護法とか、女性へ産む権利、産まない権利とかで、望まれない命は、生きる権利が与えられず、助けを求めることも叫ぶことも出来ずに、全くの無抵抗のまま、闇雲に葬り去られていきます。マザーテレサも「母がわが子を殺すなら、どうして人々が殺し合うのを防げるでしょうか、小さな命を守ることから世界平和は来ます。」と言われました。これは神の願い、期待でもあるのです。 

すてきな詩

大勢の方がご存じと思いますが、「天国の特別なことも」の詩です。
会議が開かれました。
地球からはるか遠くで
「また次の赤ちゃん誕生の時間ですよ。」
天においでになる神さまに向かって、天使たちは言いました。
「この子は特別の赤ちゃんで たくさんの愛情が必要でしょう。
この子の成長は とてもゆっくりに見えるかもしれません。
もしかして 一人前になれないかもしれません。
だから この子は下界で出会う人々に
とくに気をつけてもらわなければならないのです。
もしかして この子の思うことは
なかなか わかってもらえないかもしれません。
何をやってもうまくいかないかもしれません。
ですから私たちは この子がどこに生まれるか
注意深く選ばなければならないのです。
この子の生涯が しあわせなものになるように
どうぞ神さま
この子のためにすばらしい両親をさがしてあげてください。
神さまのために特別な任務を引き受けてくれるような両親を。
その二人は すぐには気づかないかもしれません。
彼ら二人が自分たちに求められている特別な役割を。
けれども 天から授けられたこの子によって
ますます強い信仰と豊かな愛を
いただくようになることでしょう。
やがて二人は 自分たちに与えられた特別の
神の思し召しをさとるようになるでしょう。
神からおくられたこの子を育てることによって。
柔和でおだやかなこのとうといさずかりものこそ
天から授かった特別な子どもなのです」

この詩に出会って間もなく、新聞の声欄に、目がとまりました。「切なくつらい新生児の医療」という、ある医師が書かれた記事でした。不妊治療の後にやっと授かった赤ちゃんは重い障害をもっていて、この障害は手術によっても正常な形と機能に戻すことは不可能で、直ぐ必要になる手術と、将来にわたって継続していく治療について説明されました。父親は、思いもかけなかったわが子の姿に、動転し、泣き崩れていましたが、治療への同意は得られませんでした。心優しい親は「自分ならばとうてい耐えきれないほどの子どもの障害であり、幸せになるとはとても思えない」とのこと。膀胱と肛門に重い障害があって、自分では排泄が出来ず、日ごとに膨らんでいくおなかをかかえた子を見続けながら、手術に同意しない親を嘆く思いはないが、生きるために残された時間はもうあとわずかしかない、今の心優しさから次の一歩を踏み出して手術に同意して欲しい。これほどの肉体的な重荷をもってきたのだから、この子は強い心を授かって生まれていることを信じて、と。医師としての切ない思いを吐露されたものでした。

その後、もう一つの記事が載りました。長い間待って、やっと授かり、難産の末に生まれてきたわが子に対面した父親は、驚きました。重い障害を持つ、見るに忍びない程の姿だったからです。まだ意識不明の妻に、どう知らせるべきかに悩んだ末、やっとの思いで、その側に連れていきました。しばらく沈黙していた妻は、はっきりとした声で応えました。「私たちが、長い間、赤ちゃんを待たなければならなかった意味が、よくわかりました。神さまは、この子を迎えるために、心の準備をさせていてくださったのですね。大切に育てましょうよ」と。

「天国の特別な子ども」の詩と、前回の医師の思いを満たしてくれる、この記事に、私も深く心を打たれ、幸せでいっぱいになり、その両親と赤ちゃんのために、感謝のお祈りを捧げました。そしてお願いしました。 「神さまの豊かな祝福と見守りがありますように」と。

ともに

一人ひとりの誕生は、なによりも、神に望まれ祝福されたものです。人は神に似せて創られ、男と女に創られて、祝福され、産めよ増えよ地に満ちて地を従わせよ。との使命をいただきました。そして、「見よ。それは極めて良かった。と、神の喜びと満足を聖書は描写しています。

私たちの一生は、互いに愛し合うこと(助け合い、赦し合い、信じ合い、補い合って__)によって、どのような苦しみも乗り越えて、生まれてきたことに感謝出来る者になること。そして、その後に続く、死後の永遠の幸福の世界に迎え入れられる者であることを信じ、感謝しながら、人間らしく生きて、かけがえのない人生を、共に全うしていきたい。そんな思いに満たされていました。

「神の計らい限りなく、生涯私はその中に生きる。
あなたの業を、私たちのうえに、あなたの輝きを子孫に現わしてください。
私たちの神、主がその恵みを注がれ、
私たちの手の業が実り豊かなものとなるように」(典礼聖歌52・5節)祈ります。

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「生命を大切にすること」について-その(3)

国際生命尊重会議

九年前の一九九一年の四月二十五日から二十七日までの三日間、東京で国際生命尊重会議が行われました。この会議は生命尊重の実践活動を推進する国際組織(事務局はローマ)が世界各国に呼びかけて行われるようになったものです。科学や医療技術が急速な進歩を遂げ、人間の生命操作が可能になり「人間の生命とは何か」という根本的命題に立ち向かう必要があったからです。

第一回はノルウェーのオスロで開催され、「見失われていく生命の原点」がテーマでした。それは、失われた「生命の畏敬」の復活を願うものでした。世界各国から代表として集まった参加者全員は、会議の重要さを知り、これからも発展的に世界会議を開いていくことで意見が一致しました。そして、ヨーロッパに続き第二回目は、アジアの日本と決定されたのでした。

日本での開会の初頭、生命尊重運動に携わる代表者の現状のレポートがありました。

外国からは14人、日本からは�明るい家庭を築く会�赤ちゃんの生命を救う会�日本マザーテレサ共労者会�プロライフ.ムーブメント�愛のファミリー協会�生命尊重の日実行委員会�小さないのちを守る会の七人でした。生命尊重を推進し、実際に行動している多くのグループがあることに感動しました。

大会参加は自費によるので、外国からの参加は、時間的にも経済的にも大変な犠牲が伴います。

東京大会での討議事項は、オスロの大会で採決出来なかった「胎児の人権宣言」についてでした。生命の原点について「受精の瞬間から」と「受胎の時から」に分かれて一致しなかったからです。

医療関係者や科学者、倫理関係、生命尊重実践グループなど、知性と人間性豊かな方々の、愛と責任ある見解には、多くのことを学び、いろいろな方に出会えて恵み多い大会となりました。言葉は大切です。受精と受胎とでは大変な違いがあることに気づかされました。受精したときが命の始まりなのです。

熱のこもった討議の結果によって、最終日の三日目には「胎児の人権宣言」が高らかに宣言されました。

人間、一人ひとりが、受精の瞬間から自然死にいたるまで、生来の尊厳と固有の価値を有するので、今日我々は公に以下の六カ条の宣言に同意する。という前文に続いて、以下の六カ条はこれらの精神と実践の方法を具体的にうたったものでした。

第一回のオスロ国際会議での決定をふまえ、東京大会の最終日の四月二十七日を「世界生命の日」とすることを確認しました。

菊田昇先生のこと

第一回の国際生命尊重会議では、マザーテレサに世界生命賞が授与されました。第二回の東京大会では菊田昇先生でした。産婦人科医の菊田先生のことはご存じの方が多いと思いますが、胎児を中絶から守るため、日本のおくれた親子(養子)法とたたかい、婚外子の赤ちゃん斡旋を続けたため、仲間の医師会から告発され、最高裁まで争って敗れましたが、特別養子法の産みの親となり、世界でも讃えられました。救われた多くの赤ちゃんは外国で養子として、愛深い家庭で幸せに育っています。

先生は大会運営のため一千万円を寄付され、癌と戦いながら同志の方々と大会準備をされました。大会には、奥様と看護婦同伴とい病苦を忍んでの参加でした。そしてその四カ月後に他界されました。

もっとも弱い、無防備な「大切ないのち」を守るために、ご自分のいのちを賭けて闘われた先生は、殉教者のような愛と苦難に満ちた崇高な道を駆け抜けて行かれました。大会会場に響いた、先生を讃えるナレーターの美しい声に、多くの人が涙しました。今でも生前のお姿が彷佛とします。

結び

七十二歳のご婦人が「神をも畏れぬ科学文明が怖い」と題して、精子バンクや、それを利用する女性の存在を嘆いておられました。自分の親が何者か、自分は何者か、受精する前から閉ざすことを前提にシステム化されて生まれてきた人間は、自分をどうあやしたり、なだめたりしてゆけばよいのか、と。

楽園での、へびの誘惑は「それを食べると目が開かれて神のように善悪を知るようになる」ということでした。「なんでも出来る」と、神の分野である神秘ないのちの誕生にまで踏み込もうとする科学万能の時代。人工受精やクローン技術によって自然界の営みまでも奪おうとする人間のエゴや奢りは、楽園の悪魔の姿を変えた誘惑のように思えます。自然破壊や人間の諸悪の現象が失楽園を物語っているようです。

次回は人間の原点である「いのち」の尊厳に立った、愛ある生活の道を、神の恵みとご計画に沿って見てみたいと思います。

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「生命を大切にすること」について-その(4)

ビリングスご夫妻のこと

「ビリングス・メソッド」をご存じでしょうか。このビリングスご夫妻が開発なさった排卵法のことをWHO(世界保健機構)でこのように名づけました。ご夫妻はオーストラリアの方でお二人とも医学博士でいらっしゃいます。初来日は一九八九年、十一年前でした。NHKでは翌日の九月二十六日朝のニュースで五分程、エベリン夫人とのインタビューの形で紹介しました。

十五分程してNHKからカトリックファミリーセンターに電話があり、「ひっきりなしの問い合わせにパニック状態です。ニュースでこのような反響があることに驚いています。東京の方に問い合わせましたら、お宅が招待されたそうで、わたしどもではこの問い合わせにお答えすることができませんのでそちらで受け取っていただけませんでしょうか」とのことでした。一時間後にと時間を決めて、東京と福岡で受け取ったのですが、昼食の間もひっきりなしの問い合わせが延々と続いて、嬉しい悲鳴をあげました。しかも問い合わせの三分の一は男性でした。

ご夫妻は二十六日からの十五日間、北海道から鹿児島に至る中心箇所で十五回のセミナーや講演会を精力的に行ってくださいました。この様子は朝日、読売、毎日新聞、またそれぞれの地方新聞でも家庭欄で大きく取り扱いました。これらの新聞報道による質問や資料の注文は「新聞で見ましたが」ということで一年半以上も続き報道の影響力にも驚いたことでした。

ご夫妻は、大切な未来を担う幸せないのちの誕生と、そのいのちの誕生と育てにあずか与る夫婦の、深い愛と尊厳に満ちた関わりのために、ひたすらビリングス・メソッドの普及に全力を注いでおられます。今年八十二歳のご夫妻は、一年の大半を講演会やセミナー、センター設立のために世界申を旅しておられます。

この道一筋に四十年間、百ケ国以上を廻ってビリングス・メソッドの指導やセンターの設立に努めてこられたご夫妻ですが、この間八人の子供さんと一人の養子も引き受けて育てられました。いのちの大切さ、いとおしさのためにです。

このような生き方に加えて、おしどりのような仲睦ましさと謙虚さ、人を大切に尊敬されるお優しさは多くの人を惹きつけます。来日の折りお会いした方たちの偽らざる印象と感想です。

ビリングズご夫妻が残されたもの

このことがあってから、カトリックファミリーセンターでは、このビリングス・メソッドの普及に力を入れてきました。強い確信と使命感をもって!

ビリングス・メソッドを知った人の感想(中・高・大学生から若者・カップル・若夫婦から老夫婦)は、*初めて聞いて驚いた。*ビリングス排卵法を知って良かった。*友人、知人にもぜひ知らせたい。*もっと多くの人が聞けるようにして欲しい。*女性としての誇りと責任感がもてるようになった。*自分の人生観・価値観が変わった、女性は素晴らしい。*生まれて来たことを両親に心から感謝したい。*自分の性を大切にし母親予備軍としての今を励みたい。・・・

結婚準備セミナーに参加されたカップルの中には産婦人科の医師の方もおられますが、初めて知った、ということで資料を色々求めて帰られました。公立の看護大学や助産院の先生からの資料の注文もいただきます。

ビリングズ・メソッドとは?

自然な家族計画の方法です。世に言う「人工的避妊法」の一つではありません。NHKのニュースを思い出しますと、わずか五分足らずの間に、アナウンサーは避妊法と言う言葉を数回使われましたが、エベレン夫人は、「わたしたちはこの方法を避妊法とは言いません。妊娠も自然の営みもなんら妨げられることのない健康的な方法だからです。人工的な方法による副作用や不幸は現に現われています。受胎可能な期間を人工的に取り去るからです。自然な家族計画は荻野先生によって、日本から始まりました。今わたしたちはお返しにきた気持ちです。」ニコニコと美しい笑顔で語られたお姿が目に浮かぴます。

「ビリングス・メソッド」とは、女性が生理の後のおりものを観察することによって排卵の時期(受胎可能期間)を知る方法です。この観察を通して女性は自分の体の中に備わっている受胎可能な神秘な力に驚き、女性性こ目覚め、やがては母親になることへの使命・責任感を培っていきます。結婚したら、この観察によって、いつ赤ちゃんを迎えるか夫と相談しながら「出産計画」をたてます。ビリングズご夫妻もおっしゃるように、夫婦が一緒に自由な選択をすることが可能になり、夫と妻の尊厳を大切にするものです。こうして、夫婦相互の愛を強め、また、二人の愛と受胎への忠実な一致において生命を得、受け入れられた子どもたちへの愛をも強めることになります。

次号では、この「ビリングス・メソッド」を詳しく見てみたいと思います。

「生命を大切にすること」について-その(5)

(ビリングス・メソッド(一))

ある電話

関東からの男性の声でした。「わたしはプロライフの一員です。次号はビリングス・メソッドについて書かれるとありましたので、その原稿をいただけませんでしょうか。メンバーの皆に配りたいのです」ということでした。その翌日、今度は京都の男性からで「結婚を考えている者ですが、お宅で紹介されているビリングス・メソッドに関する本を読んで、自然な家族計画に関する理解と確信を深め、結婚相手の彼女とこのことについて話し合いたいのです。大切なことなので」と言うことでした。「生命を大切にすること」についての原稿について思いめぐらしているときでしたし、この十年余「ビリングス・メソッド」の普及を一つの使命として力を入れてきた者にとって、この二つの電話は何より嬉しい新年の贈り物でした。新しい二十一世紀の初頭に男性の方から「ビリングス・メソッド」に関する電話をいただいたのですから。

死の文化を招いた二十世紀を振り返って、新しい世紀には豊かないのちの文化を築いていきたい。これは心ある人の一様の願いであり、祈りであると思います。それで、それにつなげる貴重な励ましの声を聴く重いがしました。かけがえのない尊い一人の人間の誕生に大きく貢献する自然な出産計画である「ビリングス.メソッド」に男性の方が関心をもっておられるという現実を見せていただいたのです。

ある便り

二年前になりますが、「ビリングス・メソッド」を推進しておられる北九州の助産院の先生から、お役に立つようでしたらお使い下さいと、貴重な一通のお手紙のコピーをいただいたことがありました。その助産婦の先生をとても尊敬しておられる方からのものでした。「前略里帰りの際、お世話になった一歳の娘を連れて助産院に行き、そこで頂いた小冊子の中で紹介されていたビリングス・メソッドに驚きました。今まで聞いたことのない自然な家族計画、そして女性の体のリズム。昔段の生活ではあまり気に留めていないおりものの色や量にも、自然の摂理にかなった役割があるというのです。早速観察を始めると、自分の体もリズムを刻んでいるのが分かりました。その頃二人目の子供を考え始めていましたので観察を続けていくことにしました。夫婦で話し合って出産の時期を決め、自分の体のリズムに気持ちを傾けると、不思議なことにかすかな排卵痛やおりものの量など、体からのサインが感じとれるようになりした。そして、夫婦が子どもを望んで受け入れる気持ちができた時に授かったのです。この時の喜びは、これから先も二人心にずっと残っていくと思います。」というものでした。

このことについて一つのことを思い出しました。ビリングスご夫妻を初めて日本にお迎えした翌年、あるカトリック幼稚園講演を頼まれてお話させて頂いた時でした。終了後一人のお母様が可愛い三歳位の坊やを連れて来られました。最初の言葉が「この子はビリングスの子です」でした。子どもが欲しいと思っていた矢先、新聞でビリングス・排卵法の記事を読み、早速その記事に従って観察を始めて授かったのがその子どもさんだったそうです。「もう本当に可愛くて良い子です。」しっかりと母親に寄り添ったその坊やの、母親を信じきった姿が印象的でした。親孝行な素敵な子どもに成長する!目を細めたくなるほどの美しい母子像でした。

前者は助産院に立ち寄って頂かれた小冊子で、後者は新聞記事で理解でき直ぐ実践して子どもさんが授かったように、ビリングス・メソッドは非常に簡単に女性の身に付き、自然な家族計画が実践でき、望んで二人のいのちを迎えることが出来て、夫婦や親子関係にも素晴らしい実りをもたらすのです。科学の発達によって、胎児は多くの可能性をもち、驚くほどの早さをもって成長していくことも明らかになりました。科学を知らない昔の人は「胎教」といって胎児を愛情をもって見守り、その誕生を楽しみに待ったものでした。

結婚準備セミナー参加者は?

ビリングス・メソッドー排卵法ーを身に付けた、結婚前の女性は「結婚前にこのことが身についたことを非常に喜び、より多くの女性にこのことを知ってもらい、女性の神秘さ、素晴らしさを認識し、しっかり歩んでいって欲しいし、夫となる男性にも真剣な姿勢で学んでもらいたい。」と訴えます。また、実際に学んだ男性は、女性に対する姿勢や価値観が変わったと喜び、このことはもっと公の場で学ぶチャンスを設けて欲しいと言います。

なぜ広がらないビリングズ・メソッド?

物や経済優先の日本では、快適な生活と同時に、道徳や倫理の乏しい、欲望のままに生きようとする傾向が強くなりました。欲望を優先させて命を邪魔者にする、人工的な避妊法が定着し、失敗したら人工中絶(これは親がわが子を殺すことです)ということになります。若者の純潔・夫婦の貞潔が意味を持たくなった社会の現実の中では、むしろポルノや性風俗関係の産業にダメージを与えるこの自然な家族計画ービリングス・排卵法は排斥され、歓迎されないのです。ここに二十一世紀の大きな課題があると思います。このままでは、ますます少子化に拍車がかかり、家庭は破壊されていきます。

新しい二十一世紀に向けて

いのちの尊厳と、そのいのちの誕生につながる性の尊さをしっリ認識出来て人間らしく生きていくなら、現代の社会面を賑わす暗いニュースは陰を潜めるのではないでしようか。現代は歪められた性と愛によって、性を遊びや金儲けの対象とした様々な商売まで出現し、この現実の中で、将来性のある若者は犠牲になり、大切な家庭は破壊されていきます。

このような中で、日本の二十一世紀が、いのちの文化を高らかに謳い、誠実で責任感のある人間性を育み、世界からも尊敬と信頼を受けて、素晴らしいリーダーシップを発揮していくことが出来るなら、真の人間の幸福と平和に貢献して明るい未来を展望していくことができるでしょう。このことのための一つの鍵をこの「ビリングス・メソッド」が持っていると信じます。ただ現在の日本の現状では結婚準備セミナー参加者がどうしてこの素晴らしい「ビリングス・メソッド」をもっと公の場で普及させないのですか、と不審がる地盤があります。この「ビリングス・メソッド」の素晴らしさを知った人たちが先ず口込みで伝えて行くことから始まると思います。

次号は、生命を大切にすることについての、大切な鍵を握るこの「ビリングス・メソッド」について、もっと深く見つめてみたいと思います。今年の初めに二人の男性からの電話があったことに感動し、二十一世紀の最初の「愛」誌にこの「ビリングス・メソッド」について書くように導いて下さった愛深い方「神」に感謝と祈りを献げたい気持ちでいっぱいです。そして読んで下さった皆様にも深く感謝しています。

この「ビリングズ.メソッド」について相談問い合わせなどがありましたら、どうぞ電話092−541−6207のカトリックファミリーセンターにご連絡ください。

Index

「生命を大切にすること」について-その(6)

(ビリングス・メソッド(二))

自然な家族計画とは?

自然な家族計画とは、いのちに対する愛と責任を基盤にした人間らしい責任ある行為だと思います。

命の誕生は、排卵された卵子と卵管に到達した精子が出会って起こります。それで受精が起こる可能性のある期間は、精子が排卵前に女性の体内で生存している時期と排卵後の卵子が生きている約一日間の計八日間前後です。妊娠を望むならこの期間を利用し、望まないなら、生まれるかもしれない命への敬意と愛のために、薬や器具、手術等の人工的な手段は一切使わないで禁欲すると言うことです。従って排卵の時期を知ることが大切になります。

ビリングス医学博士ご夫妻は、自然な家族計画のために四十年もの年月をかけて研究と臨床を続けられ、遂に最新の科学による「ビリングス・メソッド(排卵法)」を開発されました。この観察によって、女性は自分の体に備わっている生殖能カを知り、女性であることの喜びと責任を自覚します。

また、この「ビリングス・メソッド」によって女性の素晴らしい力や神秘さを知った男性は、女性を尊敬し大切にして、よりよいパートナーシップを身に着けるよう努力します。この「ビリングス・メソッド」を出産計画に生かし合っている夫婦の離婚がOに近いのをみても理解できると思います。

百カ国以上を廻って、「ビリングス・メソッド」の普及に奉仕しておられるビリングスご夫妻ですが、奥様は、講演会やセミナーの後で必ずおっしゃいます。「皆さん、今日から早速、頸管粘液の観察をなさってくださいね!」と。

ビリングス・メソッド(排卵法)とは

大切な排卵の時期を知るための観察から始まります。女性は生理が終わると、人によって異なりますが、乾いた感触のドライの日が四、五日続きます。その後で湿り気を感じるウェットの日が来ます。この湿り気が始まるのを注意深く意識していて、かすかでも湿り気を感じたら、ティッシュに取ってみて粘液があるのを確認するのです。この粘液を頸管粘液といいます。

この頸管粘液は、卵巣内の卵が成熟して排卵が近づくと、卵巣から子宮頸管(子宮の入り口部分)に指令がいって作られ始め、この粘液が下りてきて、膣口に湿り気を感じさせるのです。

次の日からは、毎日立っている姿勢の観察しやすい時刻、例えば寝る前とかに決めて、湿り気のある間は毎日同じ時刻に、ティッシュに取って、その日の粘液の変化と膣口の感触の具合を意識します。

最初の日の粘液は、不透明でクリーム色をした、ねばっこいもので水気も伸びもありません。それが日毎に水気を増し、約四~五日でツルツルした透明で卵の白身のような伸びのあるものに変化します。そしてある日突然、この粘液は最初の日のような不透明で水気のないゼリー状に急変します。ある人は、湿り気も感じられず、粘液も観察されなくなります。この粘液が突然変わった日の前日がピークの日だったのです。ピークの日は当日には分からず、粘液の状態が突然変わって初めて、その前日がピークの日だったとわかるのです。

このピークの日から約二週間後に生理が始まれば、ピーク日の観察は正しかったということになります。女性の八五%は第一回目の頸管粘液の観察で、ピークの日を正しく捉え、残りの人も三回目、約三カ月間でピークの観察が正しく出来るようになったと統計に出ています。神が、女性に与えてくださった自然の仕組みは、実に識別しやすいように出来ています。

大切なのは膣口に於ける湿り気の感触の変化です。粘液の質が日に日に変わり水気を増していくと、膣口での感触も当然変わります。水っぽくなったとか、すべすべするとか_。それで、目の不自由な人にも簡単に出来ます。

頸管粘液の働き

頸管粘液が出始めると、排卵日が近づいたという印ですが、この粘液には素晴らしい働きがあることを、スウェーデンのオーデブラート教授の40年に亙る研究によって発見されました。

精子は一回に数億も放出されると言われます。頸管粘液は、�この数億の精子のうちの、異常な精子をフィルターのようにふるい分けます。そして、�正常な精子を「川をさかのぼるサケ」のように卵管まで導きます。�また、千分の四ミリという小さな精子が、一日しか生きていない卵子と出会うために、卵管の先端まで泳いで行くということは大変な作業です。頸管粘液は、この精子が子宮を泳いで登り、卵管の先端にまで到達できるよう、活力を与え養分を補給します。

このようにして頸管粘液は、受精しようとする精子を助ける大切な役割と能力をもっているのです。

これによって、女性の不妊期は生理の周期の中で、膣口の感覚がドライで頸管粘液が観察されない期間であること。反対に、妊娠可能期間は、頸管粘液によって膣口に湿り気が感じられるウェットの時期に入ってから、ピーク後の三日間まで。ということになります。女性の生理の周期の表を参考にして、ご自分でも観察して記録表をお作りになってみてください。表の色は赤色は生理。茶色は膣口が乾いているドライの日。白色は湿ったウェットの日。▲はピーク日。1、2、3は排卵と卵が生きている期間。

湿り気を感じるウエットの日が全くなく、頸管粘液も観察されない女性は、不妊症ということになります。ただ女性の体は非常にデリケートで、体が不調とか、ストレスがあるとか、授乳期間など、長短の差はありますが一時的に、この頸管粘液が作られないこともあります。

ごくまれですが、頸管粘液が一年に一度位、それも一日だけと短く、量もごくごくわずかという人もいます。ただどんな人でも忍耐強く意識をもっていれば、頸管粘液が作られさえすれば、膣口で湿り気を感じ、粘液も観察できるということです。その証拠に、十年以上も子どもに恵まれなかった人が、この観察によって子どもを授かったという話はよく聞きます。

以上が、ビリングス・排卵法のあらましです。

女性が、このリズムを知り観察を続けるなら、命と性の素晴らしさを自覚して母親予備軍としての独身の時代を純潔を守り、性を大切に生きて行くでしょう。結婚したら、このリズムを生かし、夫婦で相談しながら出産の時期を決め、ウエットの時期を利用するか、先に延ばすためには禁欲して、お互いを尊敬し、いたわりながら愛と誠実な心を育んでいくでしょう。

このようにして、望まれてこの世にやって来る赤ちゃんは、胎内にいるときから両親の愛をいっぱいに受け、良い環境の中で豊かな可能性を種としていただき、信頼と自身と希望を持った肯定的な人生を生きるようになるでしょう。

「ビリングス・メソッド」を教えてあげることも大切です。参考の本とか分かりやすいビデオテープもあります。ビリングス・排卵法は、単なる出産計画の方法だけでなく、むしろ、初潮後の女性、妻、母、奉献者としての意識を助けるものです。

ビリングス・メソッドについてのご相談・間い合わせ・本等
の注文は、カトリックファミリーセンターへ
住所: 〒811-1365
福岡市南区皿山4-14-27
TEL 092-541-6207
FAX 092-552-5022

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「生命を大切にすること」について-その(7)

(ビリングス・メソッドに生かされて)

ローマでの「家庭の祝祭」

昨年十月十四日サンピエトロ広場では、「家庭の祝祭」として教皇様が招集された、第三回家族の世界集会が行われました。二十五万の人々が世界中から集まった集会は、特に子どもの存在に光が当てられ、「子どもたち−家庭と社会の春」がテーマでした。その中で、教皇様は「お父さん、お母さんである皆さん、皆さんは、命の伝達という、創造主に協力するまでの高い使命に呼ばれています。どうか、命を恐れないでください!そして夫婦揃って、家庭と命の尊さを広く宣べ伝えてください。こうした価値観を抜きにして、私たちは人間にふさわしい将来を望むことはできません。」とおっしゃいました。

日本では「胎教」とか「三つ児の魂百まで」と言われて胎児の時期から幼少期の関わりは大切なものとされて来ました。最近の新聞やニュースを賑わす犯罪や非行を見ると、このことの、欠如故の、満たされない人の心の根っこにある、孤独・疎外感が引き金になっているように思われてなりません。

神に似せて造られた人間の命は、両親に望まれ愛されて、この世に生を受け、親との温かい関わりを通して、他者との関わりや人間としての生き方、価直観を身につけていく。その親の責任の重大さを教皇様は語っておられると思いました。

あるフランス人のご夫婦

五、六年前、若いフランス人のご夫婦と三人の子どもさんの訪問を受けました。「ビリングス・メソッド」を生かしているご夫婦ということでした。お母さんのお腹には四人目の赤ちやんがいました。正直いって私はぴっくりしました。「ビリングス・メソッド」とは出産計画を生かす方法で、こんなに子どもさんがいるということは考えられなかったからです。話し合って分かったのですが、奥様は結婚と同時に医者の仕事を辞め、女性としての最も素晴らしい天性の仕事として専業主婦になられたということでした。

二人で迎える新しい命にとって、一番望ましい時を選ぶために「ビリングス・メソッド」を生かして、夫婦で話し合って、二人の心身の状態、環境や季節などいろいろ考慮して、出産の時期を決められるとのことでした。

ご主人の奥様に対する心配りの優しさ細やかさ、そして男性としての力強さは、即、子どもさんのお母さまに対するそれになっていました。もう微笑ましい限りで私の顔はほころびっぱなしでした。なんと温かく、伸びやかで思いやりに満ちていたことでしょう。こんな家庭に育つ子どもさん、また奥様、そしてご主人の仕合わせ(幸せ)をしみじみと見せていただきました。そして私の「ビリングス・メソッド」はこの日を境に大きく変わりました。素晴らしい命のよりよい誕生のためにある、肯定的積極的な恵みの道としてです。

ある日本人のご夫婦

その後、ある日本のご婦人に出会いました。彼女は三人の子どもさんに恵まれて三十代になられ、家族計画を考え始めて「ビリングス・メソッド」に出会われたとのこと。これでいこうと決意されて、ご主人との話し合いになりました。問題は受胎可能期間の禁欲についてでした。この期間だけコンドームにしてはとの逡巡もあって、とことん話し合われた結果、受胎可能な期間にコンドームを使用することは子どもを望まない性関係であって、お互いが快楽の道具になっているだけ。受胎不可能な期間が多く与えられていて、待てばその時が来るのに欲望を優先させ、子どもを邪魔者扱いにしている。この時二人は手袋をして握手しているようなもの。世間には性欲は解消すべきもので、他人がとやかく言うことではないという消費文化の価値観がはびこっていますが、でも真理を知り、命の大切さを悟り、愛を知る人は単なる生き物ではなく人間です。コンドームをめぐっての話し合いの結果、本当に大切にすべきは何かを悟られ「人間」としての禁欲にチャレンジされました。それからは「人間」としての意識や親としての使命感、教育方針もしっかりとして、思いやりや忍耐強さが培われていきました。子どもは両親がお互いを大切にし合い、子どもを恵みの存在として温かく見守る眼差しに、とても敏感です。それで、以前よりも家族がしっかり寄り添っているのを感じられる由。命に開かれている「ビリングス・メソッド」を生かし合ううち、もっと子どもがいてもいいなという気持ちになられ四人目を出産されました。物と快適さにどっぷりつかって、少子化傾向にある日本の皆さんに、ぜひこの素晴らしい命の感激を知って欲しいとおっしゃいました。母親の胸に抱かれる赤ちゃんと家族のぬくもりが伝わって来るようで、周りの人まで幸せのお裾分けをいただきます。そしてなんと、またまた五人目の赤ちゃんの訪問です。五人の子どもさんに囲まれてそれはそれは幸せそうにしていらっしゃいます。

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「生命を大切にすること」について-その(8)(最終回)

(大切な命につながる性の尊さについて)

生命と性の尊さ

かけがえのない一人ひとりの尊い生命の故に、「生命を大切にすること」をテーマに七回に亘って考察して参りました。最後になります今回は、尊い生命故にその命を産み出す性の尊さと、その性の在り方について考えてみたいと思います。

結婚準備セミナーを30年近く続けていますが、八セッションの中の二セッションはこの生命と性の尊さを取り上げています。五時間かけたセッションの後で宿題として、カップルに感想を書いてもらっていますが、毎回、彼らの感想を見て深い感動を覚えます。それは軽視されがちな命と性の尊さに驚き、人間としての尊厳、使命感をもって結婚に望み、「ビリングス・メソッド」によって、命の誕生に責任のある家族計画をたて、胎児を殺すという中絶は絶対にしない、と言う決意を訴えているからです。心から神と参加者に感謝しています。

自由奔放に生きている感じの学生も、「命と性の尊厳、人間らしい生き方の真実」をはっきりと誠実に訴えるとき、「価値観が変わった。若者の純潔は大切にすべきです」と反応してくれます。

「家庭の福音化」をモットーに活動しているカトリックファミリーセンターですが、ますますこのことの重大性を感じながら、若者の純潔と夫婦の貞潔を訴え続けていかなければとの決意を深めるのです。それで最後の今回は次のテーマについて考えてみたいと思います。

ピル及び性行為感染症(性病)について

先進国の中で日本はピル解放がもっとも遅かった国です。ピル解禁が早かった先進国の女性は、当初そんな日本を笑っていました。ところがいろいろな弊害や副作用に苦しむようになり、日本を見直し始めた矢先、日本ではピルが解禁になりました。

実は、長い服用によってピルは、身体のどの器官にも影響を与える可能性があり、医学雑誌や政府の保健情報、指導的な医学機関、WHO(世界保健機構)その他によると、わかっているだけで30種類以上の副作用があげられています。

ピルの服用開始直後または服用中の短期的合併症として、心臓、血管、胎内化学物質に関する障害の多いことが知られています。症状としては、血栓症・心臓発作・高血圧・胆嚢疾患・肝臓腫瘍.子宮外妊娠・生殖器官の癌・月経不順・感染・体重増加・吐気・糖尿病・うつ状態・精神不安定など多種多様です。

特に若者への副作用が大きく、長年ピルを服用してきたヨーロッパや米国では、死亡した若者の訴訟や補償問題が起きて、製薬会社がピル製造を中止するケースも起こっている程です。

大量に生産されたピル購買のお得意先に、日本が目につけられるようになり、いろいろな戦略や政治的圧力もあって、日本でのピル解禁が実現したようです。日本の政治体制を見る時、企業に結びついた歪んだ実態が明らかになっている現状です。

ところで、ピルには排卵を抑制して妊娠を避けさせる合成ホルモンの働きと共に、避妊に失敗して妊娠した場合、受精卵が子宮に着床出来ないようにする中絶作用もあります。その上この合成ホルモンのピルは、飲んだ女性の体から排出されて残り、環境を汚染し破壊し続けます。しかし、コマーシャルはマイナス要因は伏せて、まるで最高のものであるかのように宣伝します。消費者側は、このようなピルの副作用や環境を破壊する継続的な恐ろしさを自覚し、決して服用しない賢さが必要です。

次は性行為感染症(性病)についてです。

ポルノ産業は、性の享楽を謳歌し、非合法な薬物使用やアルコール飲料の乱用、性倫理の乱れが加わって、その結果、性病(エイズ・人パピロマウイルス、クラミジア、性器ヘルペス、梅毒、淋病__)が多発しました。多くの性病は、抗生物質によって治療できますが、損傷は残り、不妊、癌などの合併症や、胎児への感染も引き起こします。各地で急増しているウイルス性の性病は、今のところ治療法は無く、本人が自分がかかった性病について無知であったり、感染の危険を意識しなかったりすることも日常茶飯事です。

そのうえ、ウイルス性の性病は潜伏期間が長く、発病に気づいた時には病状は進み手遅れの場合が多いのです。またこの病魔は知識の乏しい若者を襲います。朝日新聞は、朝刊で性行為感染症を四回に亘って取り上げ、週刊誌「AERA」は、性行為感染症はいまや国民病だとして、この病気の蔓延の恐ろしさを警告しました。

WHOの報告では、世界の10~20代の若者の20人に一人がエイズの原因になるウイルスに感染していると推定し、米国の社会保険連盟によると「合衆国とカナダでは五秒毎に二人が性病にかかる」とのことです。これは、アジアの場合にも言えることです。

最新の情報では、人パピロマウイルスの蔓延が最もひどく、このウイルスに侵されると癌になる危険が多く、今のところ治療法は全くないといわれています。

エイズのウイルスは精子(○・○〇四�)の四五〇分の一という微小さです。コンドームの材料であるラッテックス・ゴムにはエイズウイルスより少なくとも50倍の大きさの穴があると言われます。WHOの報告によると、コンドームを使用しているHIV保持者と、非感染者パートナーについての失敗率は約四〇%ということです。このようにHIVは、人から人に伝染し安全な防壁など存在しないのです。コンドーム使用の増加にもかかわらず、感染が爆発的に増加していることがこのことを証明しています。その上、人パピロマウイルスには全く効果がないのです。

根本的治療法のないHIV及び性行為感染症の大流行を食い止める存在可能な唯一の方法は、結婚前の若者の純潔と、夫婦の貞潔以外にはありません。高いお金を使って苦しい治療を続けても治癒の見通しのない現実を見るとき、この若者の純潔と夫婦間の貞潔の実践こそが、真にお互いを大切にすることであり、人間としての品位と責任のある行為であるといえるでしょう。このことを知った若者は、純潔の必要性を認め決意を表明します。

或女子高校生は「私たち女性が妊娠能力を頂いている女性の素晴らしさを自覚し、自分の性を大切にして純潔を守るなら、男性も従わかければならないのですよね!これは、私たち女性に責任のあることです。」と胸を張って応えてくれました。

前号で考察しました、「ビリングス・メソッド」の開発者ビリングスご夫妻は、「命と性の尊厳のために、神が人間に備えられた自然の仕組み『ビリングス・メソッド(排卵法)』を知り生かすことによって、若者は純潔を、夫婦は貞潔を大切にし、家庭は明るく安定したものになり、子どもは親からこの基本的な命と性の尊厳を学びます。」と言われました。また、女性は初潮期前にこの「ビリングス・メソッド」を学ぶことの必要性を訴えて、日本の若者宛にメッセージをくださいました。

「十代の少年少女が大人になるためには、自分の受胎(受精)能力の成熟について知ることは有益です。この知識は、性的に成熟すれば自分も親になる可能性があることを理解し意識する助けになります。このような認識や自覚があれば、自分の受胎(受精)能力の素晴らしさと価値を大切にし、守りたくなるでしょう。このようにして、性行為によって傷つけられることなく、人間一人ひとりの尊厳にたいする尊敬と責任を基盤とする健康な友情も芽生えるのです。」また夫婦のためには「ビリングス・メソッド」の実践により、夫婦相互の愛を強め、また、二人の愛と受胎への忠実な一致において生命を得、受け入れられた子どもたちへの愛をも強めることになります」と。

最後に、お一人おひとりのかけがえのない尊い人生の旅が、神様の祝福とご加護のもと、有意義な幸せなものでありますようにと心からお祈りいたします。

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