コンドームの難問
事実がカトリック教会の教えの知恵深さをあかしする

Zenit (日本語)
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エイズ問題への対処としてのコンドームの使用をカトリック教会が拒否していることに対し、批判が続いている。最近の批判の一つは、医学雑誌The Lancetに掲載されている。「信仰は、病気の予防に対して乗り越えがたい障害を置くようである。HIV/AIDSほど緊急な問題はない」と同誌の3月12日付社説は伝える。

同社説は、コンドームの使用に反対した教皇ヨハネ・パウロ二世を厳しく批判し、教皇がアフリカの歴史、文化、その日常生活の現実に対して無知である、とした。 5月8日には、ニューヨーク・タイムズの論説ページでコメンテーター、ニコラス・クリストフ氏は、教会がコンドームの使用を拒否したためにおびただしい人々の命が失われた、と教会を非難。

クリストフ氏は、新教皇ベネディクト十六世がこの問題に対する教会の立場を変え、実に「コンドームの使用を奨励する」ことを期待し、それが「勇気ある選択」となる、と述べている。

アメリカ政府がコンドームのための資金援助を制限する決定を下したことも批判を受けている。イギリスのガーディアン紙Guardianに8月30日に掲載されたリポートによれば、国連事務局長のアフリカHIV/AIDS問題特使スティーヴン・ルイスは、アメリカの資金削減はアフリカに打撃を与えていると述べたという。同特使はまた、ブッシュ政権がこの問題に関して「ドグマに駆り立てられて政策」を打ち出している、と語った。  ニューヨーク・タイムズ紙は、9月4日の社説で再びこの問題を取り上げ、[アメリカの援助に関する政策などのために]コンドームが手に入りにくくなることによって、ウガンダでのエイズ発症率の低下が危機にさらされる、と論じた。

カトリック信徒の増加によって、感染が減少

しかしながら、エイズ問題を解決するためにコンドームに頼ることには深刻な限界があることを、多くのデータは例証している。オーストラリアを拠点に活動する生命倫理学者アミン・アブード博士は、British Medical Journalに掲載された書簡で、コンドームに関してカトリック教会が何らかの形で立場を変えたならば、アフリカ諸国にとって悲劇的なことになるだろう、と指摘する。

アブード博士によれば、アフリカ大陸の状況に関する統計分析によって明らかになるのは、いずれの国でも、カトリック信徒の割合が高ければ高いほど、HIV感染の率は低くなるということである。「カトリック教会がそれらの国々でHIVに関するメッセージをひろめているならば、成功しているようである」と博士はつけ加えている。

WHO世界保健機構(国連機関)の資料によれば、スワジーランドのエイズ感染率は42.6%であり、同国のカトリック人口は5%にとどまる。ボツワナでは、成人人口の37%が感染しており、カトリック人口は4%。しかし、人口の43%がカトリック信徒であるウガンダでは、HIVに感染している成人は4%に止まっている。

アブード博士は、ヨハネ・パウロ二世の死去後、「多くのアフリカ人の死の責任を同教皇に押し付ける……各方面からのキャンペーンが興っている」とし、しかし、「そのような非難は、常に堅固なデータに支えられたものでなければならない。今のところ、そのようなデータは何ら見いだされていない」と解説する。

コンドームに頼るだけでなく貞潔を勧めることの価値を認めた記事は、昨年の11月27日付のThe Lancet誌に掲載されている。ある医療専門家たちのグループによって書かれ、医療や福祉に携わる多く専門家たちが賛同してリストに名前を連ねているこの記事は、まだ性交渉の体験をしていない青少年を対象とする教育キャンペーンの場合、「第一に優先すべきことは、貞潔、あるいは性交渉の開始を遅らせることを勧め、そうすることで、望まない妊娠だけでなく、HIVやその他の性感染症を予防する最良の方法として、リスク回避を強調することにある」としている。

同記事はコンドームの使用を支持してはいるが、すでに性交渉の体験をした者でも、「貞潔な生活に戻るか、あるいは感染していない相手と互いに忠実にとどまることが、感染を避ける最も効果的な方法である」と指摘する。このことは、大人についても当てはまる。「性生活をしている大人を対象とする場合、第一に優先すべきことは、HIV感染を確実に避ける最良の方法として、感染していないパートナーとお互いに忠実を守ることを促進することである」と記事は述べている。

この主張は厳密な医学的根拠に基づく、と執筆者たちは言う。「HIV感染が低下した国々の経験は、性交渉の相手を減らすことが、HIV感染の顕著な減少をもたらすために中心的な疫学的重要性を持つことを、疫学一般においても、より分化した疫学においても、示している。」

正統派?

ウガンダは、貞潔とパートナーへの忠実を勧めるプログラムがいかにエイズ感染を減少させることができるかということを示す例として、よく紹介される。ウガンダの状況についての最近の情報は、コンドームに頼ることに疑問を抱く人々の立場を裏付ける。

エイズに関する情報を発信する英国のウェブサイトAidsmapに9月13日に掲載されたリポートは、9月1日付のJournal of Acquired Immune Deficiency Syndromesに掲載された研究の結果をまとめて報告している。

同研究によれば、ウガンダでコンドームを配布し促進するキャンペーンによって、確かにコンドームの使用は増加したが、一貫性のある使用に至らせることはなかった。さらに、キャンペーンがターゲットにしたグループの男性たちはその後、「キャンペーンの対象とならなかったグループに比べて、より多くの相手と性交渉を持つようになり、一時的な相手とは、コンドームを使用しない傾向が見られた。」

Aidsmapは、この研究結果が、「現行の国際的な正統派HIV予防策を支えるはずの根拠に対し、居心地の悪い疑問を呈するものとなっている」と指摘。   この研究は、カンパラの都市部の貧困層から選ばれた二つのグループを比較したもの。もう一つの結論は、「ウガンダでコンドームが手に入りやすくなったことは、実際の使用に至らせるにはわずかな効果しかなかった」ということであった。

行動を変える

この最新の研究は、エドワード・グリーン博士が2003年の著書「Rethinking AIDS Preventionエイズ予防の再考」で論じたことを再確認する。グリーン博士はハーバード大学人口と開発研究所のシニア研究員で、HIV/AIDSに関する大統領諮問委員会のメンバーでもある。

グリーン博士は、倫理的な立場からコンドームに反対してはおらず、過去において、人工的な避妊や家族計画を促進する組織と共に活動したこともある。しかしながら、コンドームの配布に頼ることでエイズと闘うことについて、深刻な疑問を呈している。

アフリカで、繰り返し行われてきた人口調査によれば、エイズに広まりによって起こる最も一般的な行動の変化は、自分の伴侶に対する忠実が増し、性交渉の相手の数は減少し、貞潔が広まる、ということがわかる。この自然な反応に加え、キャンペーンによって、同様の行動の変化が促進されれば、人々が自然と向かう方向性の上にさらに築き上げることになる、とグリーン博士は論じる。しかし残念なことに、外国の専門家たちがあまりにもしばしばやって来て、行動の変化がもたらす有益な実りを無視し、コンドームを配ることに頼るキャンペーンを繰り広げる、と。

このことに加え、グリーン博士は、コンドーム促進キャンペーンがコンドームの長期的な一貫性のある使用には至らせないことを、いくつもの研究結果をもって示している。一貫性のない使用は性感染症のリスクを高めることになる、と。事実、コンドーム使用率の最も高い、あるいは手に入る数の多いアフリカの国々、ジンバブエとボツワナは、HIV感染率の最も高い国になっている。

しかもコンドームには完全な予防効果もない、特にアフリカの国々で典型的に出回っている種類は、とグリーン博士は言う。実際、コンドームは、避妊法として最も非効果的なものとされているにもかかわらず、おかしなことに、エイズを予防する答えとして専門家たちによって促進されているのである。グリーン博士は次のように言っている。このことは、コンドームの使用がエイズを引き起こすと言っているのではなく、「ただ、コンドームによって男性たちが、その実際の効果が保証する以上に安心感を持ってしまうということなのである。」

こういった議論とは全く別に、新教皇は、教会の教えを変えるようにと求める声に対し、いち早く答えている。6月10日、アフリカ南部諸国からの司教団へのあいさつの中で、ベネディクト十六世は、引き続き家庭を支援し、エイズに苦しむ人々を助けてほしい、と促した。  教皇は次のように述べた。カトリック教会は、「この病の予防においても治療においても、常に最前線に立ってきました。教会の伝統的な教えは、HIV/AIDSの広まりを予防する、唯一の失敗しない方法であることが証明されています。」

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