「性教育について」

Valko, Nancy (ヴァルコ、ナンシー)
英語原文より翻訳: www.lifeissues.net


私は看護婦なので、エイズ患者を看ることもあります。エイズ患者を看る時は、患者のいかなる体液でも自分にはねかかる危険性が少しでもあれば、必ず手袋と防水白衣とゴーグルを着用するようにと病院から命令されています。ところが世間では、エイズ感染を防止するにはコンドームが良い、とされています。もしそれが本当なら、私がエイズ患者を看るのに必要なのは、コンドームだということになります。

 もちろんそれは馬鹿げています。にもかかわらず、コンドームだけで充分だと人々に信じ込ませ、いのちを預けさせてしまって本当に良いのでしょうか?今のところコンドームの使用は、ほとんどの公立学校で、「安全な性」の教育の要になっているのです。

 そういう教育をする「性の専門家」達の影響力が一部のカトリック系の学校にまで及んできていますが、私達は彼等を本当に信じても良いのでしょうか?

資料を見て

私が住んでいるのは割と伝統的な公立学校の学区域で、学校では生徒に「過不足ない事実に基づく情報を与えながら禁欲を奨励する」と言っています。しかし、使用されている資料などをいくつか見ると、避妊の利点についての項には、過不足ない情報が載っているはずなのに、欠点として載っているのは色々な避妊法の失敗率(そのいくつかは間違っている)だけでした。流産につながる可能性や、ピルなどで起こりうるうつ症状のような副作用の可能性については、何も書かれていなかったのです。しかも、避妊法として「受精期禁欲法」は特に非効果的と書かれており、自然な家族計画はまったく無視されていたのです。

 中学のプログラムを見ると、胎児の発育のページに、産まれる前の胎児の小さな写真が何枚か載っていて、どの段階でどの部位が先天的欠損症になるかの説明が付いていました。しかもその章の導入となっていたのは、羊水穿刺した女性の話でした。これらは私が見つけた不正確で不適当で偏った情報の内のたった二つですが、何がもっと情けなかったかと言えば、学校側の対応です。校長は礼儀正しく丁寧で、私の意見について真剣に考えると言いました。けれど、もちろん何も変わりませんでした。いえ、実は何年かの間に変わったことが一つあります。それは、子どもに性教育の授業を受けさせないようにする手続きの方法です。

 私の最初の子どもの時は、もし親が子どもに性教育の授業を受けさせたくなかったら、手紙と一緒に家に届く非参加願いの用紙にサインして学校に渡すようになっていました。私はそれにサインし、息子はそういう授業を受けませんでした。

 私の二番目の子は少し反抗心のある子だったので、娘の非参加願の用紙は学校に提出されませんでした。私がそれに気が付いた時には、その授業コースは半分進んでいました。すると学校側は、学校で配った資料を使って、私が残りの授業を家で教えればいい、と言いました。

 3番目の子の時は、不参加願いの用紙は全く配られることなく、私がそのことを尋ねると、校長が電話してきました。私は宗教的背景などをもとに自分の反対理由を説明しましたが、娘を不参加にさせたかったら、電話では不十分なので学校宛に手紙を書くにようにと言われました。それが中学でのことです。

 今、私の娘は15歳で高校生です。性教育は今では家庭生活や健康プログラムの一部になってしまっているので、私は早めに異議を唱えなければならないと思っています。薬物教育、性教育、健康生活などをひとつのコースにまとめてしまえば、親は反対することがあってもプログラムの内容を知らされることもありません。逆に、親は考え方や方針を子ども達と共にするようにと奨励されているのです。

 ある一人の親が、「公立校で、神に触れた事が気に入らない」と怒って学校の方針を変えさせたことがありましたが、多くの親達が「性教育で教えられる内容が気に入らない」と言っても無視されている、というのは皮肉な話です。

一枚岩の性教育

去年、オクラホマ州の共和党議員で産科医でもあるトム・コバーン氏が、HPV(human papilloma virus)の危険性を知らせるラベルをコンドームに表示することを法律化すきだと提案した時、彼はすぐにも米国産科婦人科医学会(ACOG)、家族計画連盟、婦人科腫瘍医学会から非難されました。

 コバーン議員/医師は、HPVをエイズの様に報告義務のある病気に指定し、コンドームのパッケージに「コンドームはHPV防止に対してほとんど効果はない」と注意書きに明記するようにと、一年以上戦ってきました。国立疾患管理センターによる研究で、HPVは子宮頸癌の原因の95%を占める性病であり、今では「最も蔓延している」性感染症であると分かっているのです。

 しかし、ACOGは議会への手紙の中で、コンドームはHPVの防止にならないと世間に発表するのは反対と書きました。彼等の理由は、そういう注意書きは「医学的に不適切」で、「コンドームの利用を減少させる」からでした。

 こういうグループに言わせると、性教育においてコンドームの使用が減少するということは、どうも究極の「罪」らしいのです。たとえそれが私達の子ども達に間違った安全感覚を与えてもそうなのでしょうか?

 コンドームを使用しても防止できない、又は少ししか防止できない性病は、他にいくつもあります。家族計画連盟のホームページでもそのことは認められていて、唯一の防止策として「性交渉の回数を少なくすること」とアドバイスしています。しかしHPVに関しては、コンドームには少なくともいくらかの防止効果はあり、どちらにしても「HPV感染から子宮頸癌になるケースは統計的に少ない」と主張しています。「みんなに幸せで健康的な性生活を送って欲しい」と唱っているグループが、そう言っているのです。

 コバーン氏が訴えるこれら法律化への要望は、思った通りですが却下されました。しかし、性教育支持者達とのこの小さな衝突に負けたとしても、私達には小さな希望が見えています。

 禁欲のみを良しとする性教育に国や州の予算を使っても良いとする法律のせいで、性教育に関する論争は最近になって再び盛んになっているのです。

 一九九六年以降、禁欲教育に対するそのような財政的支援は3000%増え、家族計画連盟のようなグループは動揺しています。これらグループは、「ほとんどとは言わずとも多くのティーンエイジャーはどちらにしてもセックスするし、避妊や性病の正しい情報を与えなければ傷付き死ぬことだってある」と主張し、禁欲プログラムは「危険」で「無責任」だと言うのです。しかし、私が個人的に調べて分かったことは、子ども達に「事実」を話すといっても、彼等はすべての事実を話しているわけではないのです。

 禁欲教育の勢いに対抗するために出てきた新しい言葉は「総合的性教育」という、禁欲と「安全なセックス」の両方を教えるとするものです。ほとんどの大手のメディアがその言い分を取り上げるのも無理はなく、新聞の論説では、最近の調査で75%の親が学校での「総合的」性教育を望んでいるとする記事を載せています。

 しかし親自身の中にも、避妊や性病について詳しく知っている人は少ししかいません。絶えず増えていく情報をすべてキャッチし、その中から事実とプロパガンダを正しくより分けるのは不可能に近いです。性について自分の子どもに教えるのにメディアや性教育者にたよってしまうのは、子ども達の健康にも情緒や道徳的健全さにも危険な事なのです。

貞潔教育

禁欲オンリーのプログラムはただ良いだけでなく、十代の子ども達に結婚までセックスするのを待つべき、と悟らせるのに驚くほど効果を上げています。しかしこの社会がもう一つ本当に必要としているのは、貞潔を基本とする教育です。貞潔とは、「性」という賜物を賢く使うという、一生にわたった決意です。それは、独身者にも既婚者にも若者にも年寄りにもあてはまる、道義と真の目標に基づいています。十代というのは独立心、責任感、抑制、人間関係を学ぶ、特に難しい年頃です。結婚して親になっていく責任のある大人になるための準備期間なのです。

 「総合的」性教育というのは、本当は情報を与える教育うんぬんではなく、むしろ性の「専門家」達の苦肉の策で、十代の妊娠や性病について禁欲教育が行き詰まるよう彼等が望んだものなのです。しかし新しい性病や中絶、離婚、未婚の母、働かない父親、幼児虐待などの増加を見ても、又若者が人間関係を冷ややかに見るようになっていることを見ても、彼等のやり方が上手くいかない事はすでに分かっています。もし子ども達が、セックスは何の意味もないただの娯楽と同じような物だと考えているとしたら、その子ども達が大人になった時に、夫や妻をだまして浮気する誘惑にどうして勝つことが出来るでしょうか?又、子どもを育てるのに払わねばならない犠牲をどうして我慢できるでしょうか?

 性の「専門家」に対抗していくのは大変ですが、私達は学校や地域社会からより良いものを要求し続けなければなりません。そして忘れてならないのは、私達が子ども達に与え得る一番効果的な性教育とは、どういう立場であれ、私達自身が良い参考例となることです。

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