『純潔』

Takamura Koutarou (タカムラ コウタロウ)
高村 光太郎(1883.3.13.〜1956.4.2.)
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許可を得て複製

純潔をまもってくれ、青年よ。
生まれてまだ二十年にもならないだらう青年は
まるで天からもらった水晶玉のやうにきれいだ。
その純潔をまもってくれ、青年よ。
君の素直な生一本な精神を大事にしてくれ。
君の濁りに接せぬ体を断じて汚すな。
面白さうな誘惑を軽蔑してくれ。
誘惑から君自身を守る事に興味をもってくれ。
自分の知らないやうな暗い事は いさぎよく蹴飛ばしてくれ。
きれいでいる事のたのしみを知ってくれ。
天から貰った叉と無い此の水晶玉を
むざむざ汚してはもったいない。
自分を高く考えてくれ、青年よ。
からだを汚すのは一切の不幸の初一歩だ。
青年期を必ずきれいに護り通して
のびやかに丈夫に晴ればれと大人になってくれ。
これが大人からの切なる願いだ、青年よ。
(昭和十五年九月二十日作)

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