中絶後に女性の自殺率が上昇、新たな調査結果

Reardon, David (リアドン・デビッド)
エリオット研究所
2005年11月29日
許可を得て複製
英語原文より翻訳: www.lifeissues.net

前年に妊娠していない女性と比較して、中絶の翌年は自殺、事故及び殺人による死亡が24%増加することがフィンランドの女性全体を対象に新たに実施された13年間の調査で判明した。

この調査では、中絶した女性の死亡原因の過半数が自殺であることも判明した。中絶した女性の自殺率は前年に出産した女性の6倍、流産した女性の2倍だった。

ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・パブリックヘルスに発表された疫学研究が、フィンランド国立福祉保健研究開発センターにより実施された(STAKES)。この調査では、生殖年齢(15歳から49歳)の女性の死亡について、1987年から2000年のデータを検証した。

自殺、事故、殺人による死亡リスクが前年に中絶した女性で最も高かった一方、前年に出産した女性では死亡のリスクが最も低く、妊娠していなかった女性の死亡率の半分未満だった。ただし、流産や子宮外妊娠後の死亡リスクと妊娠していない女性の死亡リスクに有意差はなかった。

フィンランドと米国で記録に基づいて以前行われた調査では、中絶した女性で死亡リスクが上昇するという結果が明らかになったが、新しい調査の結果はそれを支持している。政府の支援により1997年にフィンランドで行われた調査では、出産した女性と比較して中絶した女性では翌年の死亡率リスクが3.5倍以上になることが判明した。

また、カリフォルニア州の173,000人の女性について出産と中絶の医療費支払から死亡記録を調査した結果、調査した8年間で中絶した女性は出産した女性と比較して死亡の可能性が62%高いことが判明した。また、調査では自殺と事故による死亡リスクの増加が最も顕著で、自殺による死亡リスクは154%、事故による死亡リスクは82%高かった。

カリフォルニアの調査の代表執筆者であるデビッド・リアドン博士は、妊娠に関係する死亡率の正確な実態を把握するには記録に基づく調査が特に重要であり、「ほとんどの場合、検視官には亡くなった人が最近中絶を行ったかを知る手段がなく、だからこそこうした記録に基づく調査が重要である」と述べている。

事実、政府の保健担当官がフィンランドで最近行った別の調査では、中絶に関係する母親の死亡理由の94%は死亡証明書を検証しただけでは特定できないことがわかっている。この調査結果は、米国疾病対策センターが発表したデータに当てはまる。

過去の調査でも、薬物乱用、不安症、睡眠障害、自殺念慮、精神疾患、人間関係の問題、危険覚悟の振舞いと中絶との関係が指摘されているが、そのいずれかによって自殺や事故により女性が死亡するリスクが高まると考えられる。また、フィンランドで新たに行われた調査の執筆者は、人工流産と事故外傷による死亡に共通するリスク因子があると推測し、医療専門家にそうしたリスクの認識を呼びかけている。

「中絶を考えている女性に対して、中絶は心身の健康に重大な危険を及ぼす可能性があり、出産により心身にもたらされるさまざまな健康上の利益が失われることを知らせるべきである。特に医療提供者では、こうしたリスクやリスク因子を理解し、きわめて高いリスクにさらされている女性を特定することが重要である。過去の中絶に伴う精神的問題を解決すべく手助けを行うことで、彼女らの安心感が高まるだけでなく、その生命をも救えることがある。」とリアドンは述べている。

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