人間の受精卵は「小さな生き物」であって「小さな物」ではない。

Pfeifer, Michael (ファイファー・マイケル)
英語原文より翻訳: www.lifeissues.net

一番初めに人間が受精した細胞のことを“ザイゴート”(受精卵)と言うが、これはギリシャ語で「小さな生き物」を意味する。この受精卵には、私たちの身体のあらゆる特徴を形成する染色体や遺伝子などが含まれている。一つ一つの細胞には百科事典よりも多くの情報が盛り込まれている。受精卵、胚または胎児のことを「それ」と呼ぶことは、彼らを完全に非人間化している。(生まれてきた)子どもが「それ」などと呼ばれることがないのと同じように、(まだおなかのなかにいる)胚も決して「それ」ではない。

現在、「生殖クローニング」と「治療クローニング」の違いについて議論している科学者や政治家がいる。生殖クローニングにおいては、クローンとして発生した受精卵が女性の子宮に着床し、出産に至るまで成長し、最終的には赤ん坊となって生まれてくる。治療クローニングにおいては、受精卵は研究室のペトリ皿の中で培養され、胚になるまでの間だけ成長し、その後幹細胞を取り出すためにばらばらにされる。これらの2種類のクローニングの違いは生物工学的なものであって倫理的なものではない。いずれも人間のいのちに対する本質的な尊厳を物質主義的に操作したものにすぎない。

ほとんどの人が、生殖クローニングで出来た子どもには父親の遺伝子が入っていないし、母親の遺伝子とは姉妹関係になるという理由で、生殖クローニングに反対している。しかし、中には胚の幹細胞を取り出すためだけに使われるということで治療クローニングは問題ないと勘違いしてしまう人がいる。倫理的な側面から考えれば、なんの罪もない人間のいのちを殺すこと、例えそれが誰かの病気を治すためというとても立派な理由があっても、許されないことなのに。

昨秋、アメリカ議会の下院は、二つの人間クローニングを禁止する法案を通過させた。ブッシュ大統領も頑固として人間クローニングには反対している。まもなく上院も人間クローニングを禁止するかどうかの結論を出すことになっている。上院議員の多くが生殖クローニングに反対する一方で、『治療』クローニングを支持する議論がすでに進みつつある。この言葉の罠に陥らないことが極めて重要である。幸運なことに、神は人間のいのちを一切破壊することなく人間クローニングと胚の幹細胞に代わる選択肢を与えて下さっている。

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