「終末期鎮静」を意図された殺害(「第3の方法」)と混同すること

Panzer, Ron (パンザ−・ロン)
2010年6月1日
許可を得て複製
英語原文より翻訳: www.lifeissues.net

Wesley Smithは先日、終末期鎮静が誤った使い方をされ、終末期を迎えている人の死を早めている危険性について論文を発表した。以下の論文:「自殺幇助となる「終末期鎮静」とは異なる適切な苦痛緩和のための鎮静」を参照のこと: http://www.lifenews.com/bio3100.html

Wesley Smithが述べていることは正しいが、ホスピスで働き、終末期の患者に対応した経験のある看護師でないことは明らかである。彼は「終末期鎮静」、「苦痛緩和のための鎮静」、そしてこれらの名の下に何が起こり、何が行われているかを混同している。

「終末期鎮静」や「苦痛緩和のための鎮静」は疼痛緩和の主たる方法として使われていたわけではない。興奮状態の患者、あるいは頻度は少ないがそれ以外に疼痛を管理する方法がない患者に対して使われることが大半であった。

かつて「終末期鎮静」は、特定の臨床症状すなわち他の方法で管理できず、本人又は周囲を危険にさらしたり、本人の苦しみが継続するような極端な興奮(「終末期の末期興奮」と呼ばれた)、妄想や幻覚状態、又は極度の疼痛に苦しむ患者の鎮静に対して適切に適用される処置を示すものであった。この「終末期鎮静」は、患者自身を守り、悲惨な症状の緩和に役立つ適切なものである。本来の意味で使われていた「終末期鎮静」では、栄養管、静脈への点滴などの経路を通じた輸液や栄養剤の投与が否定されることはなかった。

意図的に生命を断つ行為として新たに使われるようになった「終末期鎮静」は、多くのホスピスや一部の病院などで行われている「第三の方法」である。誤った終末期鎮静では、末期的な興奮状態、妄想や幻覚状態に陥っていない、あるいは臨床的に鎮静の理由がない患者に対して鎮静を行う。患者は昏睡状態になるまで鎮静されるため、安全な飲食に必要な意識を失ってしまう。肺への誤嚥を理由に経口での栄養や液体の摂取が意図的に中止される。この種の「終末期鎮静」では患者が永久的に昏睡状態に陥り、脱水で死亡する。循環系が機能しなくなるまで血液の量が減少し、それによって血圧を維持できなくなるため、心臓のポンプ機能が失われる。

「終末期鎮静」を不適切に利用して患者の生命を意図的に絶とうとするホスピスの職員は、モルヒネなどのオピオイド鎮静薬を過剰投与して患者を昏睡状態に陥らせたり、単に必要以上の鎮静剤を投与することがよくある。そして彼らは患者の家族に患者が「明らかに死にかけており」食事や液体を与えることはできない、あるいは「肺への誤嚥が生じる」と説明するのである!私は、患者の家族から、鎮静処置を受ける直前まで飲食や話ができ、場合によっては歩き回っていたのに、ホスピス、あるいは特定の看護師が関与した直後に昏睡状態に陥ったという訴えを聞いている。

正しい終末期鎮静を「苦痛緩和のための鎮静」と呼び、鎮静により患者を意図的に殺すことを「終末期鎮静」と呼ぶことは、この言葉を使用し、理解する方法として正しくない。「終末期鎮静」は「苦痛緩和」医療のひとつの方法であり、したがってそれを行う場合は「苦痛緩和のための鎮静」と呼んで良かったはずである。Wesley Smithは誰よりも先にその違いを明らかにしたが、論点がずれている。

苦痛緩和医療の臨床基準によると、終末期鎮静は他の方法で緩和できない場合にのみ使われるものというのがこれまでの考えであり、今もそうあるべきである。そして、必ずしも死が間近に迫った終末期に限定しなければならないものではない。その他の方法では緩和できない場合に使用される単純でわかりやすい方法であった。

The National Hospice and Palliative Care Organization (国立ホスピス緩和ケア機構)の記述は概して正しいが、多くのホスピスやそのスタッフが液体や栄養の供給停止を目的に終末期鎮静を不適切に使用し、それによって死を招いていることは指摘していない。ホスピスのスタッフは(昏睡状態に陥らせた後)このように述べる:「患者は昏睡状態です。飲食すると肺に入る可能性があります。患者が溺れると困りますよね。」

こうして、家族は医学的に誘発された昏睡、その結果として医学的に誘発された飲食機能の喪失、さらには脱水による死亡という形で愛する人がゆっくりと殺されていくのを黙って見ているしかない状況に追い込まれる。

私はこのシナリオを何回となく聞いている。筋書きはいつも同じである。これは米国で最も一般的に行われている殺人の方法である。これは「第三の方法」である。安楽死や自殺幇助に関する法律の網をくぐった殺人の方法なのである。

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