「いのちを懸命に育てまもる生き物の感動物語」

Komiyama,Enko (コミヤマ・エンコ)
小宮山 延子
カルメル在世会日本管区顧問
許可を得て複製

この地球の陸上、そして海中では刻一刻と新しい命がうまれ、はぐくまれている。 自然環境とその生きとし生ける命の大切さに関心が寄せられている今、 二つの生き物の雄が命の誕生にかかわる物語を皆さんと分かち合いたいと思います。

奄美の海底にミステリーサークル出現!

図面もなしで美しい模様を描く小さな魚の雄の巣作りの秘密

大阪大学大学院教授で生命科学者の近藤 滋 博士によると、今から25年ほど前に、奄美大島の海底で不思議なサークルが見つかったとのことである。 このサークルは砂地に描かれていて、直径2mもあり、放射状の多数の溝が中心部からサークルの縁に向かって走っていた (ミステリーサークルの写真 ここをクリック)。

不思議なサークルは4月から8月頃に現れ、現地のダイバー達によってミステリーサークルと呼ばれていたが、 どのようにしてミステリーサークルができるのか、あるいは、何者が作るのかは謎のままであった。  

その後2011年に水中写真家の大方洋二氏が、見慣れない小型のフグがミステリーサークルを作る現場を目撃し、 ようやくミステリーサークルの作成者が判明した。そのフグの正体は分からなかったが観察と研究調査の結果、 2012年の7月初旬に写真家やダイバーが水深25mの海底に潜るとミステリーサークルが現れ、 サークルの中心部に全長12cmくらいの小型の雄のフグがサークルの中心部で忙しそうに砂地に体全体をつかって微妙に かき回しながら、サークルを作っているのを見つけた。そしてこの季節に、雌のフグはこのサークルを見つけて訪れ、 中心部でこの雄のフグと寄り添って産卵することが分かった。ミステリーサークルは産卵巣だったのである。 テレビで報道されると、この小さなフグが新種であり、 ミステリーサークルという複雑な幾何学模様の産卵巣を作ることに多くの人が驚いた。そして、新種のフグは、 アマミホシゾラフグの雄(写真はここをクリック )で、1週間もかけて、小さな貝殻を歯で砕いて、直径2mもある産卵巣となる円形の土手を創り、 その上に貝殻の小片を置いて飾りつける。

雌がやって来て、産卵巣の中心部に産んだ卵は、5日後にふ化するが、産卵巣を見ると、 中心部から縁に向かって多数の溝が放射状に走っている。このため、どの方角から流れが来ても、 中心部に海水が集まるようになる。その結果、中心部の海水がよどむことはなく、常に新鮮な海水が卵に供給される。 卵が孵化しヒナが成長するためには酸素を含んだ新鮮な海水が必要であることは言うまでもない。 放射状の溝は卵にとって快適な環境を与えている。

雄はその後もこの巣の卵を見守り続け、ヒナが育つのをたすけるのである。

身を削るイクメン!南極の皇帝ペンギンの雄の子育ては非常に過酷

皇帝ペンギンと赤ちゃんが、パパの体から覗いている写真はここをクリック )黒と白のコントラストで、凛とした立ち姿の「皇帝ペンギン」は、別名「エンペラーペンギン」とも呼ばれており、 ペンギンの中で最も大きく、まさに「皇帝」にふさわしい堂々とした風格をしている。

この皇帝ペンギンは、世界一過酷な子育てをする鳥といわれている。零度以下の寒風が容赦なく吹き荒れる極寒の南極で、 ひたすら卵を抱いてあたため続けるのは雌ではなくて雄である。

実は皇帝ペンギンが卵からヒナにかえるまで、まさに雄が身をけずって子育てをする。雌はというと、 海からの大移動と産卵で体力を失っているため、卵を雄にたくしエサを求めて海へと戻り、体力をとり戻す必要がある。 そして雌は卵からかえるヒナに与えるために栄養をつけ、南極の陸上で待つヒナを育てるために、 胃の中にエサをため込まなくてはならないのだ。

驚くのは、雄の皇帝ペンギンが卵をあたため孵化し、自分でヒナにはじめての{ミルク}を与えることである。 ようやくヒナが雄に忍耐強く暖められた卵から産まれると、雄はヒナを体に抱え込んで守り、雌が帰ってくるまでは、 おなかをすかせたヒナを自分の体の液で養う。雄がヒナに与えるのは、なんとミルク! このミルク実は、 雄の胃や食道の粘膜がはがれたもので、このペンギンミルクをヒナに与え、雄は命がけで雌を待っている間ヒナを育てる。 雌が海から戻るころには、雄の胃の中はからっぽ。雄はもう何ヶ月も絶食していて体重は40%以上も減っているという。

皇帝ペンギンのイクメンパパとは…過酷すぎて泣ける…。やっと雌が戻ってきたら、 ようやくオスは育児を雌にバトンタッチして、やせ細った体でエサを求めて荒海へ向かう。

宇宙万物の創造主なる神は、すべての命をはぐくみ育て愛し、知恵と力を与えられる。 私たちの父なる神は、とこしえに賛美されますように。奄美大島の海底にすむアマミホシゾラフグの雄さん、 南極に住む皇帝ペンギンの雄さん、すばらしい子育ての物語、 それもまだ赤ちゃんとして生まれ出ていない卵の状態からの子育ての物語、 科学万能といわれる現代社会に生きる私たち人間にいのちの尊さを贈ってくださって、ありがとうございます。 神に感謝!!!

読者の皆様の一人でも、海の底と地の果てに生きるこれらの動物の命の営みを知って、 明日からのひとのいのちの生活の癒しと励ましにしていただければ、ありがたく思います。

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