国家、社会、経済の発展にHIV/エイズが与える影響を理解する

HIV/AIDS (HIV/エイズ)
HIVおよびエイズの攻撃
APLF
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HIV/エイズの経済に対する悪影響が、ますます明白になっている。罹患率が高い国では、国内総生産の成長率が低下し、主要産業における人材不足、孤児の増加、世帯貧困の深刻化が起こっている。こうした国々は、HIV/エイズによる経済的影響の緩和という難題に直面している。

貧困とHIV/エイズの関係

アフリカで行われた調査の結果、国内でのHIV/エイズ流行の初期には、HIV感染と、教育、収入および職業に基づいた社会経済的状態との間に疑問の余地のない相関関係が認められた。これは、自由に使用できる金額の増加や交通手段の向上により、行きずりのセックスの機会が増えたためと考えられる。この関係は、HIVの罹患率が低いアジア諸国において今も見受けられる。しかしながら、アフリカおよびラテンアメリカでHIV/エイズが流行するにつれ、この相関関係がなくなってきた。例えば、1980年代初期のブラジルでは、新たにエイズと診断された患者の3/4が中等教育または大学教育を受けていたが、1990年代初期までに、この割合は1/3にまで減少した。流行が拡大するにつれ、貧困層において感染が増加している。それはなぜか?

  1. 低所得者は、性産業など、収入を得るためにハイリスクな仕事に従事すると考えられる。
  2. 性産業で働く人は、値段が高いという理由でコンドームを使わないでセックスすると考えられる。
  3. 低所得者は、仕事を求めて都市部や近隣諸国に移動し、結果的にリスクの高い性産業に従事すると考えられる。
  4. 貧困層では教育レベルが低いため、リスクや効果的な予防法に対する認識が低いと考えられる。
  5. 貧困層では、別の性感染症(STI)を十分に治療していない場合が多く、STIの多くが民間セクターで治療されている国では特に、HIV感染のリスクが高い。
  6. アジア諸国では、貧困層において薬物注射の機会が増加している。さらに、薬物注射を行う人が貧困層の場合、注射器具を共有する確率が高い。

個人および家庭に対するHIV/エイズの影響

感染した人は、医療および社会福祉を得るために、直接的な費用として高額な経済負担を負う他、生産性や収入の損失による間接的な負担も負うことになる。ザンビアでは、父親がエイズで死亡した家族の2/3において、毎月の自由に使える金額が80%以上も減少している。家庭は、必ずといっていいほど収入の減少に直面している。稼ぎ手の喪失と余命の短縮という事実に加え、家庭や地域社会が直面している最も深刻な問題は、孤児の増加である。このように孤児が増加したことで、伝統的な大家族への援助がなくなり、彼らは限界まで働かざるを得なくなっている。アジアでは、2002年までに、エイズによって孤児となった子どもの数が190万人を突破した。

労働力に対する影響

国際労働機関によると、罹患率が高い国では、今後15年以内に労働力の1030%が失われると言われている。これらの国では、教師の最大1/3が死亡するか、病気で働けなくなっている。HIVの罹患率が15%の国では、毎年、医療従事者の23%を喪失すると予想されている。一定の産業において、感染率が特に高くなっている。例えば、南アフリカの鉱山労働者の約25%がHIVに感染している。ある調査では、農業や天然資源管理などのセクターにおいて十分な資格を持つ専門家の補充に、一人当たり約40,000米ドルかかると見積もられている。

予算および管理に対する影響

HIV/エイズが拡大すれば、多くのセクターにおいて、医療、研修、補充費用の膨張により経常予算が引き上げられ、資本計画に投入できる資金がほとんどなくなると考えられる。例えば、教師の補充費用には、教育予算のかなりの部分が割り当てられる。スキルの低下により、すべてのレベルにおいて引き受け能力が不足し、財務省からの資金分配ができなくなると考えられる。高いスキルを持つ3550歳の中間管理職が不足することで、高齢の意思決定者と入社間もない若い人員との間で、価値観や考え方の相違が広がると考えられる。罹患率の増加による影響として、適切な訓練を受けた補充人員を用意できないことで、そのセクターが麻痺してしまう可能性がある。

エイズによる貧困の誘発と深刻化はどのように起こるか?

  1. タイで行われた調査の結果、エイズに感染した農村部の家族の1/3において農業生産高が半減していることがわかった。さらに15%の家庭では子どもの就学をあきらめ、高齢者の半数以上は、誰にも介護してもらえない状態に置かれている。エイズ患者の人生の最後の一年間に家族が支払う医療費は平均1,000米ドルで、平均年収の1年分に相当する。
  2. コートジボアールの都市部では、学校教育費が半分になっている。食品摂取量は一人当たり41%も減少し、医療費は4倍以上に増加している。都市部では、家族の誰かが病気になると、故郷に帰って他の家族が面倒を見る場合が多いため、少ない資源への負担が増すことになる。
  3. 農業生産に対する影響も深刻である。西アフリカでは、換金作物や食料品の生産量が減少するケースが多く報告されている。これには、ブルキナファソでの市場向け野菜栽培やコートジボアールの一部で行われている綿花、コーヒー、カカオのプランテーション農業が該当する。
  4. アフリカでは、いくつかの企業のバランスシートにHIV/エイズの影響がすでに現れている。ケニアの製糖産業の経営者は、長期欠勤者の増加(1995年から1997年で労働日が8,000減少)、生産性の低下(1994年から1997年で50%減少)、病気の同僚の分まで長時間労働を強いられる労働者の時間外労働費の増加を指摘している。葬儀や医療費の負担により、社内でHIV感染に対する社会給付金の費用が急増している。

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