危機にある赤ちゃんを救うために

Hitomi Shigeki (ヒトミ シゲキ)
人見 滋樹
「こうのとりのゆりかご IN 関西」理事長
日本カトリック医師会名誉会長
京都大学名誉教授
許可を得て複製

皆様も、嬰児や乳幼児の遺棄事件、家庭内での虐待事件、虐待の末に死亡させてしまう事件などに、 心を痛めて居られることと思います。嬰児殺しの実行犯の90%は実母です。事件の数が多く、新聞も全国版では無く、 その地域の地方版にしか掲載されなくなっています。

体内で育ちつつある胎児を、吸引管子で粉々に潰して、未だ固い子宮口から引きずり出すなどの中絶手術は、 届出数だけで昨年で年間に16万4千件です。産婦人科医が届けないで、闇で行う中絶手術も多く、中絶実数は、 この倍はあると言われています。その内、10代の中絶件数は約1万5千件です。

中絶で断たれる赤ちゃんの人権は無視されています。中絶をした妊婦さんの心には深い傷が残ります。 悩む妊婦さんに親身になって寄り添って話を聴き、電話だけではなく、更に面談して相談に乗り、支える必要があります。

出産や育児に耐えられない10代の少女などが、本人にとっては思いがけない妊娠に驚き、相談する人も無く、 一人で悩む事例があるのです。熊本にある赤ちゃんポストを用意している慈恵病院には、 関西からの相談電話が1年間で2千件もあります。例え電話が出来ても、熊本まで行く旅費の無い人も沢山います。

関西に「こうのとりのゆりかご」がある意義は大きいのです。

子育て世代の経済状況が悪化しています。生活保護法を受ける子育て世代の世帯数が、この20年間で倍増しています。 若い世代に非正規社員の率が高まっています。離職率も高くなっています。婚前妊娠、気楽な離婚も問題です。

私達の大切な仕事として、年齢に応じた性教育を確りしていくことが、挙げられます。

赤ちゃんは産んだが育てることが出来ない人に代わって、特別養子縁組を促進するのも私達の任務だと思います。 私達が特別養子縁組を促進する仕事を行う資格を取得することも目指しています。

国民優生法(1940〜1947)は遺伝性疾患の断種法(優生手術)を認めた法律で、強制力が有り、 38件施行されました。思想はナチス政権の人種政策と同じです。                           

優生保護法(1948〜1996)は、遺伝性疾患以外に、ハンセン氏病、精神病、知的障碍者などへの断種法(優生手術 )を認めた法律で、強制力が有り、16,000件も施行され、本人だけでなく、家族の苦しみも甚大でした。 最近になって、やっと家族への補償が進む方向に動いています。

母体保護法(1996 年〜現在)は、1996年に優生手術・断種のみを削除しました。この点は進歩しましたが、母体保護の名のもとに、 経済的理由でも妊娠中絶が出来ることは続いています。日本を中絶天国へとした法律です。 第2次世界大戦後の貧困の極にあった時代の経済的理由と物の豊になった現代の経済的理由は全く実態が異なります。 しかも、経済的理由の判定は、産婦人科医が行うのです。 産婦人科医の大きな収入源となっていることも見逃してはなりません。 経済的理由による妊娠中絶を認めている法律は廃案にすべきであると思います。

ドイツをはじめ、全ヨーロッパに、2014年に内密出産法が出来ました。匿名出産を望む妊婦は、子どもは病院、医院、 警察、消防者などに産み落し、同時に自分の名を封をして届出、子どもが16歳になった際に子どもが希望すれば、 封を切り、出自を知ることが出来る法律です。

アメリカでは、赤ちゃん避難所法が、全州で認められています。これはテキサス州で始まり、 僅か10年で50州の全てに広がったものです。経済力のない女性が生んだ子どもは国が育てる、 国民皆で育てるという考えが全国民に受け入れられているのです。

豊かな国の日本は、一日も早く、経済的中絶を非法とし、子どもは国の宝という考えを広めて行かねば、 国際的に非難されると思います。

私達の理念や希望について、小林和副理事長が手紙に認め、フランシスコ教皇に謁見会場で5月1日にお渡ししました。 6月14日にヴァティカンの大使館を通してお返事があり、私達の運動に共鳴し、 応援して下さるとのメッセージを戴きました。電話相談室に額に入れておくことになりました。励みになります。

「こうのとりのゆりかご in 関西」の仕事は山積しています。

相談員に応募して下さる皆様と一緒に、美しい日本を心の優しい国へしていきましょう。

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