超低用量ピル「ヤーズ」で日本初の死者

Hirata, Kunio (ヒラタ・クニオ)
医学博士 平田 國夫
生命尊重ニュース 2013年10月号掲載
許可を得て複製

2013年6月、月経困難症でバイエル薬品の超低用量ピル「ヤーズ」を処方された20歳代の女性が死亡しました。 メーカー発表の、死亡に至るまでの経緯は次の通りです。

『年齢20歳代、妊娠歴無し、喫煙無し、ホルモンレベル正常。婦人科で月経困難症の診断で超低用量ピル「ヤーズ」 を毎日1錠内服するように処方された。2日目に頭痛が起こり、6日目には頭痛、吐き気、 動悸など体調不良がひどくなったため内科受診し、吐き気止めと胃腸薬を処方された。9日目に頭痛・嘔気・ 食欲不振が続くため、内科受診し精神安定剤を処方された。当初の婦人科も受診した所、ヤーズ内服中止( 総内服量7錠で中止)と脳外科受診を勧められた。嘔吐、歩行困難もあったが検査予約して帰宅。10日目体動困難となる 。11日目の朝ベッドの上で失禁状態で発見され、病院へ搬送された。意識レベル低下し痙攣もあり、 CT所見より脳静脈洞血栓と診断された。抗凝固剤のヘパリン治療開始。12日目に呼吸不全となり気管挿管施行。 13日目に死亡した。』

ヤーズは2010年11月日本で販売が開始されてから、2013年6月まで2年半に、 本例を含め重い副作用である血栓塞栓症が87例も報告されていて、多くの例で, 今後も血液の抗凝固剤を飲み続けなければならないのです。

超低用量ピル「ヤーズ」は、いわゆる低用量ピルと同様に、合成エストロゲン(合成卵胞ホルモン)とプロゲストーゲン( 合成黄体ホルモン)の二つの強力な化学物質による合剤です。ピルの高容量、中容量、 低用量の区別は1錠中の合成エストロゲンが50㎍より多いものを高容量、50㎍を中容量、50㎍ 未満を低用量としています。現在の低用量ピルの多くは35㎍です。ヤーズは20㎍ですので超低用量ピルといわれます。 しかし重要な注意点としてはプロゲストーゲンについては触れられていないことです。 低用量ピルでも第一世代はノルエチステロン、第二世代はレボノルゲストレル、第三世代はデソゲストレルと、 より強力になっています。デソゲストレルは黄体活性がノルエチステロンより9倍も強力で、 容量は少なくても血栓症のリスクは2倍も多くなっています。超低用量ピルのヤーズは第四世代ピルと言われ、 さらに強力なドロスピレノンが使われております。今回日本で他に疾患の無い20代の女性が、 たった7日間内服しただけで、血栓症で亡くなってしまったわけですから、 さらにリスクが高くなっていることが考えられます。

低用量だからとか、超低用量だから安全とは言えないのです。日本での適応症は月経困難症となっていますが、 これを勧める産婦人科医は、避妊ピルとしても使えることをうたっています。 ヤーズは現在日本で14万人にも処方されていますが、一人年間の薬代が8万円余ですので、 薬代だけでも1年間で112億円の売上になるのです。1999年9月に低用量ピルが日本で解禁される前から、 生命尊重センターは英国での死亡例を含む深刻な副作用の実例と、環境ホルモンとしての危険性についてのビデオを作り、 その解禁に強く反対してきました。今まさにその警告通りのことが日本で起こっているのです。

全てのピルは自然な女性ホルモンではなく、強力な女性ホルモン作用を持つ合成化学物質で出来ています。 肺や脳の血栓症などの急性の副作用のみならず、10代からの服用による30代での乳がん発生リスクの増大、 生殖器の発育不全による不妊や早産の増加、極めて分解しにくいために下水に排出されることによる環境ホルモン公害など 、服用女性のいのちのみならず、次世代のいのちにも重大な影響をあたえているのです。

低用量ピルや超低用量ピルを処方するお医者さんに聞いてみましょう。

「先生ご自身の娘さんや孫娘さんが月経困難症だったら、超低用量ピルを処方しますか?またその方が中高生であっても、 低用量避妊ピルの使い方を積極的に教え、使わせておられるのですか?」と。

この記事の上へ