『殺戮へのチェンジ』加筆

Hirata, Kunio (ヒラタ・クニオ)
2009年5月2日
許可を得て複製

異常なまでの熱狂のもとに2009年1月20日バラク・フセイン・オバマ・ジュニアは米国の第44代大統領に就任しました。米国の国内においては長引くイラク問題による疲弊感からの、世界各国においては未曾有の金融恐慌からのチェンジを期待され、またアフリカ系としての初めての大統領としてアフリカ諸国やイスラム系の各国からも心情的な応援が得られた結果と思われます。しかし選挙運動中においても彼の本当の人間性、特に最も大切な、どんなに小さくても人のいのちを尊ぶという倫理観を持っているかどうかについて論じられることはありませんでした。就任わずか三日目の1月23日に彼は、人工妊娠中絶を支援する国際団体に対する公的資金援助規制を解除する大統領令に署名したのです。また主に開発途上国に経済援助をする条件としてその国で妊娠中絶を推進させるために使われる、国連人口基金への予算拠出も再開される見通しとなりました。

またそれに続いてヒトの受精卵を破壊して行われるES細胞研究も承認したのです。難病治療の研究のためと言ってもヒトのいのちを奪って行われる研究は、ナチスドイツが医学研究のために行ったユダヤ人への生体実験と同じことなのです。その直後に一応今までは処方箋が無ければ購入出来なかった性交後に使われるモーニングアフターピル(受精卵を流すことを目的とした錠剤)を処方箋無しで17歳の少女でも自由に購入出来ることを容認しました。さらに今彼は「選択の自由法」Freedom Of Choice Act(FOCA)制定しようとしています。これは現存するあらゆる中絶を容認する法律よりはるかに残酷で悪辣なものです。これが制定されると全ての産婦人科医院や病院は中絶手術を断ることが出来なくなり、また妊娠が分かった女性全員に化学的に中絶する中絶薬購入の手段を教えなければならないというものです。これに違反すると罰せられ資格の剥奪も有り得るというものです。カトリックの医師、看護師、薬剤師は職を失い、カトリック系の病院は閉院に追い込まれるわけです。彼は決してリベラリストではなく、信仰や良心による拒否を一切認めず極めて重大な悪を全員に強制する悪の全体主義者なのです。中絶反対派のレーガン大統領やブッシュ前大統領の時に生命尊重派が必死の努力で勝ち得たものを、中絶容認派のオバマ大統領はこともあろうに就任直後に破棄し、米国をひいては世界をいのちの文化から死の文化へとチェンジさせたわけです。

自爆テロを含め開戦以来の死者が十数万人を越えるとも言われるイラク戦争は決して行われるべきではなかったし、一刻も早く各国の協調と努力でその悲劇を終結させねばならないことは万人の認めるところです。しかし、オバマ大統領の今回の決定によってもたらされるいのちの抹殺は、彼の在任中に米国と世界各国を合わせると数千万を超えることは確実でしょう。特に非常に弱い立場にある経済的援助を受け入れざるを得ない最貧国のまた最も弱い立場にある、あと数ヶ月で可愛い赤ちゃんとして明るい光を浴びることができる、私達と完全に同じ権利を持った幼いいのちが、膨大な数消されていくのです。

原因が戦争であっても中絶であってもその悲惨さに変わりはないのです。日本は経済的には勿論、文化的にも米国の大きな影響力のもとにあることは、ご存知の通りです。近い将来日本でも政治勢力の大きな変動が予測されます。

生命尊重を伝える立場に立つ私達は、ブーム的な報道や情報を鵜呑みにすること無く、いつも、最も弱く声を上げることも出来ないちいさないのちを守る立場から、物事を判断し行動して行く必要があると思います。私達全ての者は、その昔「受精卵の時から」母の胎内でしっかりと守り続けられたからこそ、今の自分があることを決して忘れてはならないし、それゆえ感謝の心で次の世代のちいさないのちを守るために働く必要があるのです。今こそまた気合を入れてマザーテレサが灯した光を高く掲げましょう。周りが暗くなればなるほど光はより輝きを増し、幸せへの道を正しく歩むことが出来るように多くの方々を照らすことが出来るのです。

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