「生命の尊さ」についての報告(2)


ファミリーセンター

4) 第三セッション「ナチュラルウェイ−ビリングス・メソッド」

神に似せて創られた人間は,いただいたその能力の故に,命の誕生に責任のある生き方が出来るようになっている。今回はその生き方についてご一緒に考えて見たい。

そのために先ず,人間の誕生をつかさどる女性の受胎能力の素晴らしさについて「ナチュナルウェイ−ビリングス・メソッド」のビデオを見てみたい。

このビデオは,オーストラリアの医学博士ビリングス夫妻が開発された排卵法について,美しい映像と,分かりやすいことばで説明されているので理解しやすい。

このビデオを結婚直前に見た若者は、「もっと早く見ることが出来れば良かった。ぜひ早い時点で見るチャンスを作って上げて欲しい」と提言し,産婦人科の若い医師は「医科大学でこんなことは教わらなかった,素晴らしい。」と篤いて資料を買い求めていく程である。

それで,先ずこのビデオを一緒に見て,その後で「ナチュラルウェイービリングス・メソッド」の本でふりかえりをし,理解を深め身につくようにしたい。 ビデオ「ナチュラルウエイ一ビリングス・メソッド」を見る。

この後,アンナ・カペラ著「ナチュラルウェイービリングス・メソッド」を読んで解説をして行く。ビリングス夫妻の言葉,産婦人科医アンナ・カペラの言葉,ビリングス排卵法を実施した大学生の感想,自然界の生命の誕生の仕組みと似た女性の体の仕組みについて読んでいく。頸管粘液の働きと,その観察によるビリングス排卵法を,説明する。この観察を今から知ることは女性としてのリズムを知ると同時に,女性としてのアイデンティティの自覚と成熟のためにも役立つ。女性としての神秘や能力を大切にすることにより,命を育むという使命の自覚がもっと深まればと願っている。

参考文献

「ナチュラルウェイーヒリングスメソッド」
アンナ・カペラ著,ファミリーセンター出版,1997年


最後に主催者より

3時間にわたる研修会は,講師の先生方の熱意,わかりやすい解説,ビデオ,見やすいパンフレット,黙想などヴァライェティに富んだ資料の提示の仕方で,あっという間に過ぎ,学生達は,関心を持って参加していた。最後に学生の反応をみるため,2,3の学生のふりかえり文を載せる。

学生Aふりかえり

第一セッションで,私が誕生出来たことはとても喜ばしいことであること,そして,命の尊さを感じました。私たちは,60兆分の1の確率で生まれました。また誕生するということは,先祖から,命のバトンを受け継いているのです。バトンでもある遺伝子は,1グラムの2,000億分の1の大きさの中に30億の文字があり,1日に二つの細胞が生まれています。これを聞いた時,私がこの世に命を受けたことは不思議で,運命的なことだと感じました。このような確率で,選ばれ,生まれてきた私には,何か意味がある,自分でしかできない何かがある,だから,自分の中での可能性を見出して,人間の社会に貢献しなければならないのではないか。命は大切なものとは,前から思っていましたが,人間の尊厳についての講師の先生のお話をお聞きし,命に対する畏敬,愛おしさ,責任感,そして言葉では上手く表現できないのですが,命の計り知れぬ重さをずっしりと感じ,生きている限り,命を大切にしていこうと思いました。

第二セッションでは,中絶の仕方や中絶された子供達の生々しい映像を見て,すごくショックを受けました。年々中絶する女性の数が増加していることを聞き,それだけ中絶に対する考え方も安易になってきているのではないかと思います。あのような奇跡的な確率で,この世に生を受けたことを思うとき,自分たちの都合で戴いた胎児の命を断ってしまうのは罪だと思いました。又日本に蔓延しつつある性行為感染症の危難について,始めて聴き驚きました。日本では,学生のアンケートにもあるように,いまだにコンドーム教育が重要視されていますが,アメリカでは純潔教育が大切にされてきつつあると聞いて,改めて日本の性教育のあり方について考えさせられました。あまりにも性を軽く考えて後のことを考えていない今の性の捉え方を,もう一度考え直さなければならないと思います。現在,日本で解禁になっているピルは,わかっているだけで30種類以上の副作用があると聞いています。性を大切にすることは,命を,自分たち自身を,大切にしていくことにもなります。そうすれば,HIV患者も減ると思うし,性行為感染症も減少するのではないでしょうか。考える能力を持っている人間として,正しい判断力を失ってはならないと思いました。

第三セッションでは,命と性の尊厳のために,神が人間に備えられた自然の仕組みであるビリングス法という排卵法について,始めて学びました。このビリングス法は粘液の様子や,膣口の乾燥状態を観察し,妊娠しやすい時期を見分けます。この女性の体に供えられた素晴らしいリズムと神秘を知った時,この自然のリズムを大切にして,お互いが相手をいたわり,かかわる事が大切であると思いました。自分が誕生したことが偶然ではなく,先祖代々から受け継いだ命であるという感謝の気持ちも忘れないようにしたいと思います。

最後にこの世には飢え,戦争,憎しみから命を脅かされている人,中絶,児童虐待等で命を絶たれた子供達がいます。この研修会では改めて命を大切にした文化,社会を築く必要性を感じました。今まで家族と命について話したことがありませんでしたが,今回始めて家族と話し合う機会を持てたことも嬉しいことでした。

学生Bふりかえり

第一セッション「素晴らしい命と性」

第一セッションでは2つの事を強調してはじめられたのが印象に残っています。1つは,創世紀の言葉から,人間は皆祝福されてこの世に生まれてきたということ。2つ目は,人間は「分かる能力」「望む能力」「愛する能力」「真善美を求める能力」などを与えられていて,「人格の尊厳,権利と義務,責任」など動植物にはない特徴があるために人間の命は「尊い」ということです。

ビデオでは,受精から胎児がだんだん人間らしく成長し産まれるまでの過程を分かりやすい説明で見せていただきました。受精は中学校や高校でも習いましたが,受精されてから胎児がどのくらいの期間でどのように成長していくかを見るのは初めてのことでした。母親が妊娠に気づく前にすでに胎児は人間らしい形になり,心臓も動き,一人の人間として育っていました。胎児が成長していく過程を見るにつれ,当たり前のことですが,本当に人間の命は不思議なもの・素晴らしいものだと改めて感じました。

1/60兆の確率で自分が生まれてきたことを考えると,吉永先生の「生まれてきただけで素晴らしい」という言葉が素直に受け止められる気がしました。「私たちは生かされているのであって,命が尊重されれば社会は向上する」ということをいつも忘れず,命を大切にしていきたいと思いました。

第二セッション「忍び寄る死の文明」

「忍び寄る死の文明」では,赤ちゃんの中絶シーンを超音波で撮影したビデオを見せていただきました。一人の人間を殺してしまう中絶が簡単に行われている現状にとても驚きました。自分の命の危険を感じた胎児が一生懸命逃げまどう姿が忘れられません。それでも医師は胎児を捕まえ,粉々にし子宮から引きずり出してしまう中絶自体に疑問を感じました。第一セッションで吉永先生が話されたとおり,人間の命は尊く,どんな小さな命でも私たちと伺じ人格ある一人の人間なのに,その意思に関係なく命を絶たれてしまう中絶は殺人と同じだと思います。命を絶たれポリバケツに捨てられている胎児たちの映像が今でも頭から離れません。

私も今までこのような中絶の現状を知りませんでした。心のどこかで自分には関係のないことだと思っていたのだと思います。しかし私たちもいずれ結婚し,赤ちゃんを授かることになります。この中絶問題も自分に関係のない問題ではないのです。でも,将来自分が妊娠したときには絶対に中絶という考えは持たないと思うし,持ちたくありません。そして,もし自分の周りの人が中絶を考えていたならば,この研修会のことを思い出し,命の大切さを周りの人にも伝えていきたいと思います。

第三セッション「ビリングス法」

第三セッションでは「ビリングス法」というものを学びました。これによって,若者は純潔を,夫婦は貞潔を大切にし,家庭が明るく安定したものになるというものです。今回のお話で自分の排卵の周期を知ることはとても大事なことだと気づきました。このビリングス法によって,本当に望まれ,祝福された子供を迎えることができるのだと思います。そうすれば中絶という悲劇も行われずにすみます。最近では低年齢層の女性の中絶が多いそうですが,彼女たちは自分の体を十分に知らないのです。だからこそ低年齢にこういった方法を教えていく必要があると思います。

ピルや性行為感染症。エイズについてのお話がありましたが,これも同じことが言えると思います。10〜20代の若者たちをはじめ,まだまだこの恐ろしさを理解していないのではないでしょうか。ピルには副作用があり,また性行為感染症は妨げないということ。そしてコンドームは完全ではないということをしっかりと頭に入れておきたいと思います。本当にお互いのことを大切に思っているならば出来ることです。私もこの知識を活かし,周りの人たちに伝え,少しでもエイズや性感染症が蔓延するのを止められるよう努力していきたいと思いました。

学生Cふりかえり

第1セッションの「素晴らしい命と性」でのビデオで,赤ちやんが実際に産まれてくる瞬間を見て驚いたのと同時に,私も同じように母から産まれてきたのだと改めて実感し,本当に命とは素晴らしいことだと思いました。

母1憶2千分の1×父数億分の1 つまり私は60兆分の1というすごい確率で生まれてきたということが分かりました。そして命はずっとつながっているということを学びました。だから私も次にバトンをわたすためにも,自分の命を大切にしていかなければならないと思いました。また,受精の時からもう人間なのだということをしっかりと覚えておき,責任をもった生き方をしていかなければならないと,改めて感じました。

また今日の研修会で1番印象に残ったのは,第2セッションの「忍びよる死の文明」です。中絶の方法や実際に中絶手術を行っているビデオを見て,中絶の恐ろしさがわかりました。現代では数多くの女性が毎日にように手術を受けています。その中には,子供ができたらおろせばいいという考えの人や,あるいは以前にも中絶手術を受けたという人もいるのではないかと思います。命の尊さをそれほど大きいものだとは考えていないのかもしれません。また手術で赤ちゃんが吸引によって手足をバラバラにされたり,最後に残った頭をガチャッとつぶされたりするのを見て本当に驚きました。手術を始めた時に必死で抵抗している姿を見て,あんなに小さくても一生懸命生きようとしているのだということにとても感動しました。どんなに小さな胎児であっても,命をあたえられた1人の人間なのだ,ということを忘れてはならないと思いました。マザー・テレサのいう通り,妊娠中絶は世界の平和を抹殺し,また破壊するものであること,「母がわが子を殺すなら,人々が殺し合うのをどうして妨げるでしょうか。」というように,中絶をするということはわが子を殺すことと同じ行為なのだと思い,改めて罪の重さを感じました。

また第3セッションの「ビリングス法」(排卵法)についても詳しく知ることができました。このビリングス法ならだれでも簡単に調べることができると知った時に,改めて人間の体は素晴らしいと思いました。この方法を生かすためにも若者たちは純潔を大切にし,夫婦は貞潔を大切にしていかなければならないと思います。

またピルについてはこんなにも副作用があるとは思っていませんでした。以前新聞でピルについて読んだことがありましたが,毎年ピルを飲む人が増えていてピルの服用を勧めていたので,まさか副作用があるとは思っていませんでした。ピルの恐ろしさを知ることができたので,今後も決して飲まないようにしようと思います。

そして最後に命と性の尊厳を忘れずに,自分1人で考えるのではなく,自分のパートナーとなる人と共に,新しい生命を大切にしたいと思います。

(全体の構成とまとめ 上野 寿枝)
平成12年度人間学研究所活動報告

平成12年度は,短大の移転に伴い,残念ながら,定期的研究会を持つ事が出来なかったが,「環境問題」と「かかわり」というテーマで,各自及びグループで,研究をしていく。人間学研究所としては,全教員対象に,「かかわり」のテーマで,一日研修会を実施,また,学生対象の研修会として,12月に「生命の尊さ」についての研修会を実施した。今後,この「命の尊厳」の問題は,人間学研究所としても深めていきたい課題である。

人間学研究所所長 上野 寿枝
桜の聖母短期大学人間学研究所所報 Vol.8
平成13年(2001年)3月20日
発行者  柴田 香代子
編集委員 上野 寿枝、小笠原 正薫
発行所  
桜の聖母短期大学人間学研究所
福島県福島市花園町3番6号 (〒960−8585)
電話 福島(024)534−7137番 (534−7138番)


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