コマツ・ヨシヒコ Komatsu, Yoshihiko

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先端医療の論じられ方

まず、脳死・臓器移植についてです。御存知のように1968年8月8日に札幌医大で、和田寿郎氏率いるチームが、日本ではじめて心臓移植を行います。当初マスコミは大絶賛をしたのですが、移植後83日目にレシピエントとなった高校生が死亡してから評価は変わります。和田氏は殺人罪および過失致死罪で告発されますが、証拠不十分で不起訴処分になりました。しかし、きわめて黒に近い灰色というイメージがつきまとい、日本ではそれ以降、心臓移植や脳死・臓器移植一般について話すことすら憚られるような雰囲気が蔓延しました。ところが、1980年代初頭から空気が変わってきます。それまでは欧米でも技術的に脳死・臓器移植はうまくいかなかったのですが、1978年に比較的安全で効果的なシクロスポリンという免疫抑制剤が開発されたために、80年代初頭から、まずはアメリカ、そしてヨーロッパと、心臓移植や肝臓移植などの脳死・臓器移植が急増していきます。